活動報告

粒子加工技術分科会 報告

2025年7月23日

  • 講演風景①
    講演風景①
  • 講演風景②
    講演風景②
  • 集合写真
    集合写真
6月27日(金)、第1回の見学・講演会を沢井製薬株式会社 第二九州工場 新固形剤棟にて開催しました。以下に報告いたします。
沢井製薬株式会社第二九州工場は2024 年7月に竣工し、生産能力20億錠を実現、2027年には35億錠を、さらにその上を目指して生産ラインの強化を進めておられます。また、各製造工程(入荷~出荷)を管理し製造活動をサポートする製造管理システム(MES)、品質に関わる試験や設備を管理する品質管理システム(LIMS)、工場全体の資源を一元管理するシステム(ERP)を導入することで、ヒューマンエラーや不適切な製品出荷を防ぐための体制を備えておられます。見学会では整備された見学コースをたどり製造ラインや品質試験設備を見学させていただきました。
 
講演1:「固形製剤の工業化における製剤技術の活用」 沢井製薬株式会社 技術部 製剤技術Ⅱグループ 長村崇史 氏
固形製剤における代表的工程として造粒工程、混合工程、打錠工程を挙げてご説明いただいた。造粒工程では流動層造粒機のスプレー条件が造粒物粒子径に与える影響を明確にし、混合工程では滑沢混合条件が混合粉体の流動性ひいては錠剤物性に与える影響を比較的容易な方法である流速変化試験(FRI)により明確にすることで最適な打錠末の生産を実現している。打錠工程では各種表面処理された臼杵と打錠末の付着の関係を明確にすることで、打錠障害を回避されている。これらの膨大な検証により安定的な製造を実現されている。
 
講演2:「固形製剤工場の計画のポイント(最新固形製剤工場計画事例の御紹介)」 
大成建設株式会社 エンジニアリング本部 エンジニアリング第2部 医薬品施設第2プロジェクト室 榎本大樹 氏
より良い工場の実現にはユーザーである製薬会社と早い段階に将来を見越した必要機能や運用の協議、保管やハンドリング方法の整理、交差汚染に対する評価と対策の協議、そして自動化技術のレベルに関する打合せを実施することが重要である。また、製剤機械メーカーとはユーザーニーズを共有し、機器周辺のみならず工場全体のシステムの考え方を共有し、医薬品業界で求められている技術の共有を進め、最新設備に関する情報も交換する。ユーザー、機器メーカー、エンジ会社間のニーズの共有も重要となる。
 
講演3:「福岡大の製剤実習紹介と製剤関連試験を活用した予期せぬ原薬混入の検出の試み」 福岡大学薬学部 創剤学研究室 瀬戸口修一 氏
原薬混入を取り扱いが容易なパウダーレオメータを用いて測定する粉体の流動性の差により検出できることを示唆された。異成分原薬が流動性に強く影響する物性を持つ場合に検出されやすく、滑沢剤の存在下ではその影響がマスクされる傾向にある。クリープメータでは抜圧後の弾性を確認することができ、異成分薬物が混入した場合、崩壊時間自体の変化は小さいが弾性指標は大きく変動することが認められた。今後も検討例を増加させ有用性を確認する。
 
講演4:「効率的・効果的なGMP監査のポイント」 QAタスカル 伊井義則 氏
GMP監査は、製造販売業者と製造所が連携して、製造所のGMP体制を確認し、必要に応じて適した改善を図るための場であること、効率的なGMP監査の実現には製造販売者が実施するGMP監査の質の向上も受ける側の製造所の監査受け入れ体制の向上も必要であることを認識する。指摘することは手段であり目的ではなく、監査の目的は確認された問題を解決させて製造所のGMPレベルを向上させることである。指摘の理由や背景を分かりやすく説明し、表面的ではなく根本的は原因究明に繋がることを意識する等々について解説いただいた。
 

以上

本分科会の開催案内は、こちらよりご確認いただけます

PAGE TOP