活動報告
粒子加工技術分科会 報告
2024年7月18日
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講演会の様子
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集合写真
- 見学先企業:株式会社ファンケル美健千葉工場
- 演会会場:東京理科大学/カナル会館
1.見学会
開会挨拶 代表幹事 ㈱ダルトン 浅井直親 氏
ファンケル美健千葉工場工場は、防腐剤を含まない無添加化粧品の生産を担っています。菌や異物による汚染防止のため、医薬品製造レベルの高い清浄度を持つクラス1000や100のクリーンブースで充填しています。また、「新鮮・作りたて」を顧客に届けるため、需要に応じて週単位で生産計画を見直し、必要な量とタイミングで効率的に作る独自のフレキシブル生産体制を整えておられます。厳しい管理基準に加え、医薬品(固形製剤)製造レベルの衛生環境を整えています。製造途中に製品が外気に触れることを防止するため「クローズドシステム」も構築されていました。ロボットメーカーと二人三脚で作り上げたマルチロボットは製品ごとにことなるパッケージにも先端ツールを装着させることで対応する等、生産量向上にも日々研鑽されている状況が確認できました。
2.講演会
開会挨拶 コーディネーター 竹内洋文 氏
講演1:講演1 「健康食品の製剤技術」 株式会社ファンケル 総合研究所
機能性食品研究所 製剤・加工技術開発グループ 足立知基氏
座長:(藤田創 氏)
高品質なサプリメントを安定的に届けるべく、有効性、ユーザビリティにこだわった独自の処方設計に取り組み、約100品目のラインナップを製造、販売しており、その剤形は錠剤、ハードカプセル、ソフトカプセル、顆粒など様々である。講演では、サプリメントの剤形選択や添加剤に関する内容、粉体物性の数値化の取り組み、体内効率設計について解説いただいた。
講演2: 「医療用経口配合剤の製剤開発」 第一三共株式会社 製剤技術研究所 研究第四グループ 早川良一氏
座長:(小島宏行 氏)
同社が取り組む医療用配合剤について解説いただいた。配合剤は製品ライフサイクル戦略の選択肢の一つであるが、当該剤の要件に患者様利便性の向上(コストや服薬アドヒアランス)に資することが2005年に追加された以降で配合剤の承認が急増している。配合剤を開発する際には原薬特性に関する知識に基づき、開発スピード、安定性、製造性、製造コスト、製剤サイズを評価し、総合的にその剤形を決定する。近年では生活習慣病関連から抗ウイルス薬等へ開発領域が変化しており、多様な投与剤形にて技術開発が行われているとのことであった。
講演3: 「医薬品品質評価の視点と東京理科大学の取組み」 東京理科大学 薬学部特任教授 鹿野真弓氏
座長:(山崎淳治 氏)
医薬品の品質確保が重要であることは言わずもがなである。消費者は使用する医薬品の安全性や機能性を五感で確認することができない。品質確保があらゆる製造プロセスで組み込まれ、構築されるためにはGMPで要求される条件下で医薬品を製造することが重要である、一方でQuality Culture(品質文化)は形式的なマネジメントレビューでは解決が困難であるため醸成されていない事例が散見される。自発的に潜在的なリスクに気づき、スピークアップ(遠慮なく物申す)が日常的に行われている、継続的改善が活発な組織つくりが重要である、等々の品質確保について解説いただいた。
講演4:「大学から発信する根拠に基づく臨床製剤(EBHF)」 東京理科大学 薬学部教授 花輪剛久氏
座長:(山本浩充 氏)
臨床のニーズに応えるEvidence-Based Hospital Formulation(EBHF)について、医療現場にいた立場、また、大学に身を移した立場のそれぞれの視点から紹介いただいた。「院内製剤」は医療現場における様々なニーズをもとに調製され、患者が医薬品を服用(使用)する段階で直面する「既存の剤形では物理的に服薬(使用)困難な場合や、低アドヒアランスによる服用(使用)上の問題点を解決し、薬物治療を支えてきた。このような院内製剤を臨床応用するには医師とともに薬学的見地から有効性、安全生評価を行い、その臨床使用成績をフィードバックする事によりエビデンスを構築する必要があるとのことであった。
閉会挨拶 副コーディネーター 山本浩充氏
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