鱗粉(りんぷん)
春本番、アゲハチョウやクロアゲハには少し早いようですが、
よく見ればモンシロチョウやシジミチョウなど馴染みのある蝶々
は飛んでいます。
捕った蝶々の翅を指でつまむと、粉が付きました。鱗粉です。
この鱗粉を実体顕微鏡で見ると、花びらのような形状、大きさは
長径で約0.1mm、短径はその半分、0.05mmくらいです。花びら
と同様、根もとは細くなっています。翅側にはソケットと呼ばれる
ポケットが規則正しく並んでおり、ここに鱗粉の根もとが差し
込まれ、ちょうど瓦が重なるように並んでいます。鱗粉はその
色素によって翅を発色させていますが、その他に撥水、発香、
保温などの役割も果たしています。
一方、南米に生息するモルフォ蝶は、その翅の青色金属光沢で
有名ですが、鱗粉はモンシロチョウなどと同程度の大きさながら
形状はもっとシンプルです。しかも、その表面には200nm間隔で
格子状のヒダが刻まれていて、独特の青色金属光沢はその微細
格子構造による反射光の干渉によって生じる構造色であり、色素
によるものではありません。
(2015年4月メルマガ)