菜の花漬と花粉

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京都には、季節ごとにその季節を代表する漬物があります。
今の季節=春を代表するのは「菜の花漬」です。
発祥の地は滋賀県といわれ、菜の花のつぼみや若い葉・茎を摘み取り、
水洗いをして、食塩で1週間ほど浅漬けにしたものです。
鮮やかな緑の中に点々と黄色い花の色が見られ、
まさに春を感じさせてくれる食べ物です。

しかし、このような形の菜の花漬は比較的新しいものであり、
本来はつぼみではなく満開時の菜の花の穂先を摘み取り、
これを水洗いして数ヶ月漬け込んで古漬けにしたものでした。

主原料の菜の花の黄色に加え、古漬けの過程での乳酸発酵作用によって
全体が黄色になることが特徴です。
加えて、その黄色を鮮やかにするため漬け込みの時、花粉が失われないよう
特に丁寧に扱われ、花粉も主役になっている珍しい食べ物です。
この黄色い古漬けは「黄金漬(おうごんづけ)」と呼ばれ、夏の終わりから秋に
かけて賞味することができます。

そしてもう一つ、粉の効用もあります。
それは菜の花にはビタミンBやビタミンCが多く含まれ、これが花粉症のアレルギー
症状を軽減する効果を持つといわれていることです。
春は「菜の花漬」でスギ花粉症を、秋は「黄金漬」でブタクサ花粉症を、
花粉を以て花粉症を制するというのは大げさでしょうか。
(2017年3月メルマガより)

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