はったい粉
それは年配の人にはなつかしい、粉のおやつでした。
世の中があまり豊かでなく、子供たちにもなかなかお菓子
が与えられなかった昭和20年代~30年代の初めまで、京都
の町の家々には農家のおばさんが「はったい粉ありますけど」
と言って売りに来ていたと聞いています。お母さんが
それを買って、少しだけ砂糖をまぜて、おやつとして
子供に食べさせてくれました。
この「はったい粉」、関東地方では「麦こがし」と
呼ばれていたそうですが、その名前からも分かるように
大麦の粉=乾煎りした大麦を石臼で挽いて粉にしたものです。
麦の収穫期に合わせ、初夏になると出てきたようです。
最近、スーパーでも見かけることがありますが、香りは
よいものの、甘くはありません。そこで砂糖を混ぜたの
ですが、やはり、あまりおいしいとはいえません。しかし、
昭和30年代初めに小学生だったおじさんに御馳走したところ
「このまずさがうまい」と訳の分からないことを言いながら、
100g入りの袋の1/3くらいを食べてしまいました。
「吸うと咳き込むから、粉を吸い込まないように食べること、
コツが要る」との解説つきでした。
(2015年6月メルマガより)