かんかん地蔵とねずみ小僧の墓
“鐘一つ売れぬ日はなし 江戸の春”、榎本(寶井)其角作
の俳句ですが、景気も悪くないのでしょう。桜の花が咲く中、
大勢の人が繰り出した浅草寺境内が眼に浮びます。
その浅草寺本堂の西北、境内の石塔の下に銭が埋められている
ということからこの名前が付いたといわれる銭塚地蔵堂があります。
そして、その隣には小石などで叩くと「かんかん」と音がする
「かんかん地蔵」が祀られています。昔から、叩いた時に出る石の粉、
これを財布に入れておくとお金が貯まるといわれていたため、
削りに削られ、お地蔵様は形のわからない石像になってしまいました。
今では削ることは禁止、前におかれた小石で叩いてお金が貯まることを
お願いするだけになっています。運がよければ叩いた時に微量の粉が
出るかもしれません。大金を手に入れるより、この粉自体を手に入れる
ことの方がズ~ッと難しくなってしまった、貴重な粉のお話です。
もう一つ、両国の回向院境内には「ねずみ小僧」の墓があります。
ここも激しく削り取られたのか、墓石は二代目となり、墓石の代わりに
削り取り専用の石柱があります。簡単に削れませんが、それを削って
出た石の粉は受験、商談にご利益があるそうです。
(2016.3月メルマガより)