活動報告
晶析分科会 報告
2023年3月28日
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株式会社カネカ 福田氏の講演
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日本大学大学院 松本先生の講演
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塩事業センター・海水総合研究所 加留部氏の講演
1.講演1 カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet と炭素循環システム構築への取り組み
株式会社カネカ Global Open Innovation企画部 福田竜司氏
脱炭素社会に貢献する素材としてバイオプラスチックへの期待が高まっている。カネカ生分解性バイオポリマーGreen Planetは植物油から微生物が産生するバイオマスポリマーである。プラスチックと同様に成形加工でき、使用後、コンポストや嫌気条件下や、土壌、海水等の自然環境下で生分解される。バイオプラスチックの概要、Green Planetの特徴を紹介され、二酸化炭素を介した炭素循環システム構築について提案いただいた。
2.講演2 CO2ファインバブルを用いた産業廃棄物からの炭酸塩の製造と無機蛍光体への転換
日本大学大学院 生産工学研究科 応用分子化学専攻 教授 松本真和氏
海水淡水化、ガス・油田、および製塩プラントから排出される廃かん水と、廃コンクリートおよび鉄鋼スラグ中のCa・Mgの全てを炭酸塩に転換すれば、世界規模で約15億t/yのCO2削減が見込める。社会実装に向けて、炭酸塩化プロセスの高効率化を図るためには、CO2ガス吸収の促進にともなう炭酸塩への転換率の増大および得られる炭酸塩の結晶品質の向上や機能性材料への転換が不可欠となる。講演では、これらを達成するためのKey Technologyとしてファインバブル技術を紹介され、CO2削減ポテンシャルの観点から見た炭酸塩化プロセスの位置付け、および微細な気−液界面における局所過飽和場の創成と炭酸塩化プロセスへの活用について述べられた。
3.製塩副産物を利用したCO2排出削減に向けた取り組み
公益財団法人塩事業センター・海水総合研究所 主任研究員 加留部智彦氏
塩事業センター海水総合研究所では、製塩工程から、塩の主成分である塩化ナトリウムだけでなく、マグネシウムやカルシウム、カリウム塩等の有用資源(製塩副産物)を効率的に分離・回収する技術について研究している。また、近年では脱炭素化に寄与する研究も実施している。講演では、日本のイオン交換膜法製塩における製塩工程、副産物回収工程について紹介いただくとともに、海水総合研究所における、製塩副産物を利用したCO2排出削減に向けた取り組みについて紹介いただいた。
海に纏わるCO2フリー技術について、様々な角度からの取組みについて紹介していただき、参加するものにとって理解が深まる分科会となりました。今後も対面での講演会にプラスし、見学会も再開できるように、参加者にとって有意義な分科会活動となるよう、企画していきます。
以上
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