活動報告

電池製造技術分科会 報告

2022年3月15日

  • ④トヨタ自動車株式会社 先端材料技術部 CPE 射場英紀氏のご講演
    ④トヨタ自動車株式会社 先端材料技術部 CPE 射場英紀氏のご講演
  • ③日本電気硝子株式会社 開発部 山内英郎氏のご講演
    ③日本電気硝子株式会社 開発部 山内英郎氏のご講演
  • ②APB株式会社 CEO 堀江英明氏のご講演
    ②APB株式会社 CEO 堀江英明氏のご講演
  • ①大同特殊鋼株式会社 技術開発研究所 木村優太氏のご講演
    ①大同特殊鋼株式会社 技術開発研究所 木村優太氏のご講演
  • リモートによる分科会開催(幹事会場:名古屋プライムセントラルタワー)
    リモートによる分科会開催(幹事会場:名古屋プライムセントラルタワー)
2022年2月10日、第3回分科会を開催しました。2020年度は、コロナ感染が拡大して、1年間活動を停止させて頂きましたが、その間に、欧米中においては電気自動車(EV)の本格的な普及と蓄電池の生産拡大が急速に進みました。車載用蓄電池の技術が飽和しつつある中で、低コスト化が一挙に進み、韓国や中国メーカーが大量生産で主導権を握りつつあります。また、欧州連合(EU)では、電池製造者に、その構成材料と製造プロセス、二酸化炭素の発生量の開示と、一定比率のリサイクル材料の使用などを義務付ける「電池規則」を2022年から施行するなど、標準化で主導権を握りつつあります。これまでわが国では、電動車や携帯機器、電池、材料、製造装置などの電池関連産業において、世界をリードしてきましたが、その優位性は急速に低下しつつあります。早急に次世代車載用蓄電池の開発商品化で主導権を握ることが必要です。そこで、本年度の第1回及び第2回分科会においては、WEB講演会として、ポストリチウムイオン電池の最新の研究開発状況について、学会でご活躍の先生方からご紹介を頂きました。今回の第3回分科会においては、次世代蓄電池の開発商品化に取り組まれている企業関係者に新型コロナ オミクロン株の感染急拡大を受けまして、現地(対面)での開催を取りやめ、全面的にWEB上での開催しました。本分科会では、WEB 講演会として、108名近い参加者のもと、ポストLiB電池の最新の開発状況・今後の動向について、学会でご活躍の先生方から講演頂きました。

    【ご講演内容】

  1. 「特殊溶解プロセスにより作製したLiイオン電池負極用Si合金の開発」 講演者:大同特殊鋼株式会社 技術開発研究所 木村優太氏
    幹事会会場にお越しいただき、通信不良により講演順番を繰り上げでご講演頂きました。
    LiB負極材は黒鉛での高容量化は限界があり、Siの潜在能力、実用化について開発し、課題となるSiの膨張(3.8倍)による繰り返し特性に対して同社の高周波誘導炉を活用して液体超急冷法(析出プロセス)によりシリサイド/Siコンポジットを開発した。これによりサイクル特性の安定性を改善した。
  2. 「全樹脂電池(APB)の開発と今後の展望」 講演者:APB株式会社 CEO 堀江英明氏
    リモートにてご講演頂き、現状のLiBの構造における下記課題
    ①現状の電極厚みの限界(塗工、切断、プレス工程)
    ②パッケージングによる課題(現状のセル→モジュール→組電池の構造でケーシング、端子部材増による課題)
    上記課題から改善するため同社で取り組みをしている”全樹脂電池“(構造説明・開発状況)をご説明頂きました。
    新たな大容量集電体(LSiP:Large Scale integrated Polymer)とバイポーラ構造の必然性について講義いただきました。(同社では2025年から量産出荷を予定している)
  3. 「特殊溶解プロセスにより作製したLiイオン電池負極用Si合金の開発」 講演者:日本電気硝子株式会社 開発部 山内英郎氏
    リモートにてご講演頂き、固体型Naイオン電池材料の開発状況と将来展望についてご講演頂きました。全固体Naイオン二次電池の開発内容についてご講演頂き、酸化物固体電解質による安全性、電池特性(充放電、長期サイクル、出力)評価、正極活物質としてNa2FeP2O7の結晶化ガラス粉末を使用することでLiB資源の有効利用、LiBコスト低減に有効であることをご説明頂きました。
    ガラス質を使った新しいコンセプトで全固体電池を開発。従来の全固体電池の課題となる活物質と固体電解質の一体化について結晶化ガラスを使った酸化物固体電解質で課題を解決した。
  4. 「次世代車載用電池の将来展望」 講演者:トヨタ自動車株式会社 先端材料技術部 CPE 射場英紀氏
    リモートにてご講演頂き、同社のEV開発状況、将来の展望についてご講演頂きました。LiB開発では従来のLIBから全固体電池(硫化物系)への取り組み、セル開発では従来型からバイポーラ型へのコンパクト化に向けた取り組みをご説明頂きました。

次回(2022年度第1回)は、2022年6月下旬、東京地区での開催を予定しています。

以上
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