活動報告
電池製造技術分科会 報告
2025年11月12日
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講演会の様子(講演会場全体)
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開会挨拶:境名誉コーディネータ
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(株)本田技術研究所 白井様のご講演
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マクセル(株)山田様のご講演
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TeraWatt Technology(株)川口様のご講演
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産業技術総合研究所 倉谷様のご講演
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プライミクス(株) 樅山様よりご発表
本分科会は、20年以上前に設立されましたが、自動車や電力、モバイル機器、電池、材料、装置などの電池産業において、交流と連携の場を提供して参りました。我が国では、1990年にはニッケル水素電池を、1992年にはリチウムイオン電池を世界に先駆けて商品化し、情報通信端末のモバイル化から、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)、水素燃料電池車(FCV)、電力貯蔵用蓄電池などの実用化と普及に貢献してきました。近年、EV産業の成長が著しく、2020年以降の伸び率が大きく、2020年4.4%、2021年9.3%、2022年15.0%、2023年18.0%、2024年22.0%と上昇を続けています。また、リチウムイオン蓄電池の廃棄・再利用問題が世界規模で浮上しています。経済産業省も2025年3月の「蓄電池産業戦略」で蓄電池のリユース・リサイクル推進を柱に掲げ、世界各国でも益々その規制は強まると考えられます。
他方、世界的に蓄電池の量産が進められた結果、様々な電池材料の研究開発 或いは、次世代二次電池の開発も加速して進んでいます。しかし、それに伴う高容量化や大型化、普及化に伴い電池由来の事故も多発しており、蓄電池の安全性評価試験の重要性はもとより、安全性の高い全固体電池への転換も進められています。更に、電池製造の省エネルギー化に向けて、従来の湿式製造プロセスから、乾式製造プロセスへの転換も進みつつあり、製造技術も大きな転換期を迎えています。第2回分科会では、全固体電池開発、xEV及び電池業界動向、蓄電池開発の方向性などについてご講演いただきました。また、講演会の後では、交流会を開催しました。今回の2025年度第2回講演会参加者は、143名となりました。
①「Hondaにおける全固体電池の開発状況」
株式会社本田技術研究所 先進技術研究所 技術・プロセス領域 チーフエンジニア 白井敦史 氏
白井講師から同研究所の全固体電池の開発状況についてご講演頂きました。
車載用全固体電池を取り組むコンセプト、1月に竣工した全固体パイロットラインの状況。正極材(単粒子)、負極材(リチウム金属)を採用し、特徴である固体電解質のロールプレスによる緻密化(注液工程をプレス工程に集約)など開発コンセプトをご講演頂きました。
②「硫化物系固体電解質を用いた全固体電池の開発と量産化」 マクセル株式会社 新事業統括本部 担当本部長 山田將之 氏
山田講師から同社の硫黄系全固体電池の開発状況をご講演頂きました。
開発ターゲットである安全信頼(温度105℃、寿命:10年への取り組み状況、有機電解質同等の安全性を得られる硫化物系(アルジロダイト型)Li-P-S-X)を採用
0.62Vの安定した作動電圧を形成する開発コンセプトをご説明頂きました。また、用途に特化したB to Bビジネスで独自の用途開発についてご講演頂きました。
③「xEV及び電池業界動向」
TeraWatt Technology株式会社 川口竜太 氏
川口講師からご自身の経歴をご紹介いただき、世界のxEV・電池の業界動向として、EV市場、電池生産の供給バランス、BEVが普及するための課題として、電池資源と価格変動、電池リサイクルについてご講演頂きました。
④「蓄電池開発の方向性と産総研の取組」
国立研究開発法人産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域電池技術研究部門
副研究部門長(兼務)電池システム研究グループ研究グループ長 倉谷健太郎 氏
倉谷講師から車載用電池の市場動向について経産省の資料をベースにご説明頂きました。正極材、負極材の高密度化、Naイオン電池、硫黄系電池の将来性、自動車各社の電池セルエネルギー比較など全固体含めた電池特性について全般について発表頂きました。また、NEDOのEV用革新型蓄電池開発プロジェクト、JSTの各取り組み状況についてご講演頂きました。
⑤「研究機~量産機まで 次世代LIB電極スラリー製造システム「CDMプロセス」」
プライミクス株式会社 カスタマー・リレーションズ本部 カスタマー・リレーションズ大阪 部長 樅山貴志 氏
今回の世話人を務めたプライミクスの樅山様から同社の二次電池の電極塗工の連続プロセス(CDM Process)の紹介・PRの発表がありました。
以上
本分科会の開催案内は、こちらよりご確認いただけます
2025年度第3回 電池製造技術分科会 開催予定
開催日 2026年2月5日(木)
開催場所/名古屋プライムセントラルタワー