活動報告
電池製造技術分科会 報告
2023年3月1日
-
講演の様子(会場:京都リサーチパーク)
-
①Northvolt Japan K.K. 阿武保郎氏の講演
-
②京セラ株式会社 三島洋光氏の講演
-
③BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社 矢野貴利氏の講演
-
④大阪産業技術研究所 斉藤誠氏の講演
-
交流会の様子
我が国は、1992年のリチウムイオン電池(LIB)の商品化以来、電動車や携帯機器、電池、材料、製造装置などの電池産業において世界をリードして参りました。それらの功績により、2019年には、吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞されました。ただ、最近では、この優位性は急速に失われつつあります。
中国やEU、米国を中心に、電気自動車(EV)の本格的な普及と車載電池の量産が急速に進んでいます。従来のLIB技術は飽和しつつあり、中国や韓国メーカーが大量製造で主導権を握りつつあります。ただ、EVにとって重要な、安全性や急速充電特性、エネルギー密度などの課題は残されています。EUでは、「電池規則」を施行して、電池及び電池構成材料の二酸化炭素の発生量の開示や、一定比率のリサイクル材料の使用を義務付けるなど、「標準化」で主導権を握りつつあります。今後、この分野の産業競争力を向上させるためには、次世代電池を早期に実用化する必要があり、そのためには電池や材料、装置などの企業連携が不可欠です。
第1回分科会においては、量産EVの蓄電池や燃料電池の分解調査、チタン系酸化物系負極の発展、硫黄系正極の開発状況、リサイクル技術の動向について、第2回分科会においては、電池業界を取り巻く状況、インクジェットプリント製造技術、発泡材料技術、固体電池技術について講演を頂きました。また、講演会後には、いつもの交流会と名刺交換会を開催しました。
【ご講演内容】
①「グリーンなバッテリーを作ることに拘るNorthvolt」
講演者:Northvolt Japan K.K. 代表取締役 阿武保郎氏
欧州(SWEDEN)のCOOを務められ、現在、Northvoltジャパンの代表取締役である阿武様から
Northvoltのグリーンバッテリーへの取り組み、設立からの経緯、各自動車会社とのJointでの取り組みを講演されました。また、将来的な技術展開を講演頂きました。(特に負極材での変革)
②「クレイ型LIBと京セラ製蓄電システムEnerezza®の紹介と今後の技術展開」
講演者:京セラ株式会社 エネルギーシステム研究開発部 蓄電デバイス開発部 主席技師 三島洋光氏
京セラ独自のクレイ型電池の講演をしていただきました。
京セラの会社概要、京セラ出資の24M社の概要からクレイ型LIBの特徴
クレイ型は乾燥工程の簡略化により40%CO2削減が見込める画期的な製造工程、特徴。
クレイ型LIBの量産設備のご説明(製造ライン・検査工程)のご説明
【今後の技術展開】
1)電解液をプロセス溶媒として利用
2)クレイ型電極によるバインダーフリー圧膜電極
3)独自セル→シングルパウチ構造
③BASFグループの正極材に関わる将来展望」
BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社 テクノロジー ディビジョンヘッド 矢野貴利氏
BASFグループの概要、触媒ディビジョンの正極材取組みについて講演頂きました。グローバルのバッテリーバリューチェーンの戦略。BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社の正極材ラインの取り組みについて講演頂きました。
④「シリコン負極用無機バインダーの開発」
地方独立行政法人 大阪産業技術研究所 金属表面処理研究部 表面化学研究室 主任研究員 斉藤誠氏
電解液添加剤(電解液分解抑制剤)による効果のご説明をしていただき、サイクル特性(放電容量比)が向上する成果を講演頂きました。
⑤「タナベロータリーキルンの特徴と電池分野の実例紹介」
株式会社タナベ 東京本部 エネルギー事業推進グループ 青木太三氏
タナベの電池用ロータリーキルンの販売実績、グローバル戦略を講演しました。
次回開催予定日:2023年6月2日(金) 場所:東京
開催案内はこちらよりご確認いただけます