活動報告

造粒分科会 報告

2026年3月27日

  • 会場風景
    会場風景
  • 高井先生 基調講演
    高井先生 基調講演
  • 能村先生 講演
    能村先生 講演
  • 安永先生 講演
    安永先生 講演
2026年3月6日、中央大学後楽園キャンパスにおいて、「造粒とは?粒子の表面改質・複合化粒子」をテーマに、技術討論会を開催しました。以下に報告いたします。
「造粒便覧」では「造粒とは、粉状、塊状、溶液あるいは溶融液 などの原料から、ほぼ均一な形状と 大きさを持つ粒をつくる操作」と定義されているが、造粒ハンドブックには、「形態をコントロールして、利用価値の高い粒状品や小成型物をつくること」とも定義されている。このことからいうと、母粒子の表面に子粒子を付着させる「複合化」や「表面改質」も造粒の一部と定義し今回の講演会のテーマを「造粒とは?粒子の表面改質・複合化粒子」とした。
基調講演として「粉の魅力を引き出す粒子設計と評価技術」を名古屋工業大学 高井先生に、「高速気流中衝撃法を用いた相変化マイクロカプセルの開発と応用展開」を北海道大学大学 能村先生に、「乾式微粒子コーティング技術の確立に向けた材料設計と装置開発について」を愛知学院大学 安永先生に講演いただいた。
 
また、装置メーカのホソカワミクロン様、大川原化工機様、徳寿工作所様、奈良機械製作所様には、装置の構造や開発秘話、実例などをご紹介いただいた。
講演は、色々な分野の内容があり装置メーカの話とともに興味深い話が聞けた。参加者同士の意見交換は、意見交換会だけでなく昼食時間、休憩時間も活発に行われていた。
 
基調講演「粉の魅力を引き出す粒子設計と評価技術」 名古屋工業大学・東北大学 教授 高井千加 氏
シリカを用いた中空粒子を例に、粉のポテンシャルをいかにして引き出すか、できあがった粉をどのように評価するかをご紹介いただいた。
中空ナノシリカ断熱フィルムへの適用することで断熱効果を10倍にできる実例。
シリカとポリマーの相性を見極めるのに時間領域核磁気共鳴(TD-NMR)装置での評価。
食物残差からセルロースナノファイバーの製造やカブトムシの糞の形状を用い雌雄差を機械学習で判別する。
などをわかりやすく、ご紹介いただいた。
 
講演 1:高速気流中衝撃法を用いた相変化マイクロカプセルの開発と応用展開」
北海道大学大学院工学研究院付属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター エネルギーメディア変換材料分野  教授 能村貴宏 氏
潜熱蓄熱について実例を交えてご紹介いただいた。
蓄熱は二次電池などと並んで注目されていて、太陽光などの変動性再エネを蓄熱して運んで使うことができる。全エネルギーの51%が過熱・冷却などの熱として使われている。産業においては74%が熱。省エネを考えるにあたり熱を有効利用するための蓄熱技術が必要になる。
蓄熱技術には、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学蓄熱があり、蓄熱量の多い 潜熱蓄熱に注目。
マイクロカプセル化することで固液の相変態潜熱を利用でき、内部が液体に変化しても見た目は個体として利用できる。
マイクロカプセル化は、奈良機械のハイブリタイザーを使用。
カプセルの中に入れる材料により、蓄熱温度を変更することが可能。
排熱の有効利用、変動性再エネを溜めて使う有効な技術であることが認識できた。
 
講演 2:「乾式微粒子コーティング技術の確立に向けた材料設計と装置開発について」 愛知学院大学 薬学部 製剤学講座 講師 安永峻也 氏
溶媒を使用せずコーティング剤のガラス転移温度を変え、振動ふるいを改造した低加速度振動場を用いてコーティングを行った実例をご紹介。
ガラス転移温度が低いとコーティング剤が柔らかくなり被覆率は上がるが被膜が不均一になり一部が剥離。ガラス転移温度が高いと表面が滑らかで均一なコーティングができるが変形性が悪く被覆率が下がる。
薬物、コーティング剤、コーティング装置(方法)を検討し被覆速度の数理モデル構築まで複合的な検討に感銘を覚えた。
 
講演 3:「機械的複合化処理による粒子の表面改質・複合化の多様な事例」
ホソカワミクロン株式会社 経営管理本部 経営企画部 兼 サステナビリティ推進室 課長 井上義之 氏
湿式が多いコーティングを乾式で行うメリットは、有機溶剤不要、湿式でできない種類の原料を使用可能、プロセスが簡単、低ランニングコスト、短時間で処理ができるなどがある。
乾式機械的複合化処理装置のメカノフュージョン、ノビルタ、ノビルタベルコムのご紹介。
当初は、微粉砕機としてメカノフュージョンを開発。熱の除去を容易にするため、ノビルタを開発。
トナー、金属材料、LiB正極材・シリコン負極材、医薬品の実例を紹介。
 
講演 4:「噴霧乾燥法による粒子の複合化・形態制御」  大川原化工機株式会社 開発部 部長 根本源太郎 氏
スプレードライヤー特長、液の微粒化の原理などのご紹介。
スプレードライヤーの場合、他のコーティングの様に粒子の周りに別のものを付けるのではなく、乾燥速度によって内部の粒子の移動に差が出て、乾燥が遅いと細かい粒子が水と一緒に動き外側に集まりやすくなるなどの調整で目的の機能を持った粒子を作る。
コアシェル型:脱脂粉乳に高級脂肪酸を混ぜて造粒すると外部に脂肪酸がコーティングされる。
マトリックス型:医薬品では、ナノ化して効果を得るが、ナノ粒子は凝集しやすくなるためマイクロカプセル化することで内部にナノ粒子を閉じ込める。径肺投与(1~5µm)などでも使用されている。
 
講演 5:「混合機を粒子複合化装置として適用させるには」  株式会社徳寿工作所 研究開発部 部長 朝日正三 氏
混合と粒子複合化はどちらも均質化が目的。複合化の方が、精査のスケールが小さく粒子一粒の状態に着目する必要がある。粒子複合化は、混合機の中でも高いシェアを与えられる装置を用いる。
粒子複合化を行うには第Ⅲ群のシェアの高い装置を使用する。 高速撹拌型混合機でも複合化まではいかないが母粒子に子粒子が付着する。
シータコンポ―ザーの開発。楕円形の回転する容器の中で、楕円形のロータが回転し狭いギャップの部分でシェアをかける。
シータコンポ―ザーの開発やスケールアップの難しさなどをご紹介。
PMMAと酸化チタン、澱粉と乳糖、精製塩とワックスなどの実例を交えたご紹介。
 
講演 6:「製品価値を高める粒子改質技術:表面処理と複合化の実践」  株式会社奈良機械製作所 プロセス設計部 指田将孝 氏
ハイブリタイゼーションシステムは、自由粉砕機からコスモマイザー、ハイブリタイゼーションシステムと進化していった。
ハイブリタイザーの用途としては、母粒子に子粒子を固定化、母粒子に子粒子を成膜化、粒子の球形化がある。
固定化は、シェアをかけることで母粒子に子粒子を付着させ、さらにシェアをかけると子粒子が母粒子に埋め込まれるなどして表面に固定化する。
実例としてナイロンに二酸化チタンを固定化、ニッケルに酸化チタンを固定化などがある。
製膜化は、付着した子粒子にシェアをかけることで展延させ成膜化する。
実例としては、マグネシウムにPMMAを製膜することで防湿性の改善、ポテトスターチにインドメタシンを製膜、さらにWAXを製膜することで溶出制御が可能。
球形化は、シェアをかけることで粒子の角が取れたり変形することで、球形化が可能。
実例としては、電池材料の黒鉛の球形化。黒鉛では剥離した微粉の取り込みも見られた。
乾式コーティングは、原料の組み合わせは無限、乾燥工程が不要、短時間で処理が可能。幅広い分野で実績がある。

以上

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