活動報告

粒子積層技術分科会 報告

2022年2月14日

  • 講演3「自反応溶液中の触媒粒子の自発運動」
    講演3「自反応溶液中の触媒粒子の自発運動」
2022年1月27日、「粒子積層制御に向けた微粒子設計と挙動解析」をテーマに第1回分科会をWeb開催しました。まず初めに、副コーディネータの瀬戸先生(金沢大学)より開会の挨拶があり、事務局よりWeb開催に関する注意事項および12月7日~9日に開催される“国際粉体工業展東京2022”の案内を行いました。続いて、乾式手法による粒子合成および分級技術、湿式塗布工程で非常に重要となる粒子と溶媒や分散剤との親和性評価手法、反応溶液中での触媒粒子の自発運動の発現と制御、およびシミュレーションを用いた粒子分散液を塗布・乾燥工程の構造形成メカニズムの予測に関して、4名の方に講演していただきました。講演概要を以下に示します。

1.講演内容
1) 「熱プラズマ法によるナノ粒子の合成および分級技術に関して」株式会社日清製粉グループ本社 生産技術研究所 直原 健司 氏
乾式によるナノ粒子作製手法の一つである熱プラズマ法による粒子合成技術について、プラズマ法の原理や粒子径制御手法、種々のナノ粒子の合成例が紹介された。続いて、乾式粉末をサブミクロン領域で分級する技術を紹介し、二次電池などの電子部品材料を高付加価値化できることが示された。

2) 「パルスNMRによる高濃度粒子分散体の分散終点決定及び界面特性評価」マジェリカ・ジャパン株式会社 池田 純子 氏
大半の粒子積層工程において粒子を分散させる操作が必要となる。分散処理を行う場合に、粒子-溶媒間、粒子-分散剤間などの親和性を把握することが重要であるが、本講演ではパルスNMR法を用いて短時間で親和性を評価できることを、測定原理や評価例を交えながら紹介された。従来の手法では希薄系における測定に限定されるものが多いが、本手法では濃厚系かつ短時間での評価が可能であり、プロセスの連続モニタリングへの適用を検討していることなども示された。

3) 「反応溶液中の触媒粒子の自発運動」同志社大学 理工学部 化学システム創成工学科 山本 大吾 先生
一般的な物質(平衡論に基づいた静的システム)と異なり、エネルギーを消費して運動を持続する物体(エネルギー散逸を伴うため非平衡系の動的システム)やその集合体をアクティブマターと呼ぶ。これまで液中の白金/金の複合棒状粒子などに過酸化水素(燃料)を加えると、白金の触媒作用によって分解して酸素が発生し、自発運動が発現することが知られているが、本講演では単成分の白金球形粒子を用いて自発運動のメカニズムを明らかにし、添加する燃料をアルコールに変えると、粒子の運動やクラスターの生成・成長が制御できることを紹介された。

4) 「コロイド系の特異な乾燥現象の理解に導くメソスケール数理モデル」東京大学 環境安全研究センター 辰巳 怜 先生
メソスケール (数nm~数十ミクロン)サイズの粒子を用いた分散液を基板上に塗布し、溶媒の乾燥によって成膜する場合、最適条件を探索することが重要である。本講演では、粒子凝集系や大小粒子混合系などの分散液を用いて塗布・乾燥する際の構造形成メカニズムを、シミュレーションによって予測できることが紹介された。

2.閉会挨拶
粒子積層技術分科会・山村コーディネータ(九州工業大学)より閉会の挨拶を行った。

以上
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