活動報告
粉体ハンドリング分科会 報告
2025年3月28日
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講演会の様子
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懇親会の様子
開会挨拶 当番幹事 東和制電工業(株) 入山 雄太 氏
2024年度第4回通算197回粉体ハンドリング分科会を開催させていただきます。と述べられ、配付資料の確認と会場施設についての案内がおこなわれた。
コーディネータ挨拶 コーディネータ 京都大学 名誉教授 松坂修二 氏
今日のテーマは付着です。付着はどの分科会でも重要ですが、特にハンドリングという意味では重要です。限られた時間ですが、田中先生はシミュレーションをテーマに、島田さんは企業の立場から講演されます。それぞれ数時間なければ話ができない内容ですが、1時間前後という時間ですので、その内容はエッセンスとなります。エッセンスでありながら深くなるのだなというような感触をみてもらうことでベテランの方も「そうか」ということもあると思います。今日はエッセンスとなりますが、このような観点で分かっている人も分かっていない人も聴いてもらえたらと思います。どうぞ楽しんでください。と述べられた。
技術講演①【粉体・粒子の付着メカニズムとは? 基礎的な理解とその重要性】
コーディネータ 京都大学 名誉教授 松坂修二 氏
付着は様々な力で引き起こされ、その力としてはファンデルワールス力、静電気力および液架橋力が代表的である。ガラス管内面へのフライアッシュの付着/沈着の例が示され、沈着層が粒子径と流速に依存すること、静電気力が生じると膜状沈着層が形成されることが説明された。代表的な付着力であるファンデルワールス力、静電付着力および液架橋力による付着の発生について、それぞれ関係する要素や効果の解説とともに説明され、付着力の測定方法の紹介では、解析方法や表面改質による付着力の制御などが説明された。
技術講演②【粉体処理における付着・凝集問題の解決:DEMシミュレーションによるアプローチ】
コーディネータ 大阪大学大学院 教授 田中敏嗣 氏
離散要素法(DEM: Discrete Element Method)によるシミュレーションについて説明された。
このシミュレーションは、接触力をバネとダッシュポットで構成される基本型でモデル化したものであり、数値流体力学法(CFD: Computational Fluid Mechanics)と組み合せることで、流動層内の気泡流動化状態の表現が可能と説明された。シミュレーション時の計算負荷を低減するためにばね定数を低減する方法を採用。また、ばね定数低減の影響を取り除くために動的付着力モデルを考案。動的付着力モデルを用いることで、計算負荷を低減し、かつ粒子の衝突支配流動および衝突支配流動から接触支配流動への遷移を良好に表現できることについて説明された。
技術講演③【粉体付着力測定の実務とデータ駆動型開発について】
(株)ナノシーズ 代表取締役 島田泰拓 氏
粉体物性測定に関する技術および測定方法について説明された。分析にはミクロな分析とマクロな分析があり、ミクロな分析とはプリンタのトナーなどのように1個1個の粒子の動きに注目して1個粒子の付着力や粒子強度の測定をおこなう分析、マクロな分析とは輸送などに代表されるバルク粉体を対象として粉体層せん断力測定などをおこなう分析である。ミクロな分析については、トナーを例とした付着力の測定方法、接触針を用いた付着力の直接測定方法などが説明された。また、マクロな分析については、下部セル直動型粉体層せん断試験装置による粉体の摩擦特性測定などが説明された。
製品紹介①【静電気拡散率測定装置と粉体摩擦帯電量測定装置のご紹介】
(株)ナノシーズ 代表取締役 島田泰拓 氏
静電気拡散率測定装置NS-Dシリーズと粉体摩擦帯電量測定装置NS-K100型が紹介された。NS-DシリーズはJIS C 61340に準拠した静電気電荷の減衰速度を測定する装置であり、固体試料だけでなく、液体試料の測定も可能。NS-K100型は粉体を摩擦させてファラデーゲージで帯電量を測定する装置であり、製薬会社などにて容器を選定する際などに使用される。
製品紹介②【新粉体排出ソリューション】
ロス・アジア(株) 梶尾宗一 氏
ホッパー(サイロ)内の粉体の排出時に発生する粉詰まりや内容物の残留を解消するソリューションとしてAirSweepが紹介された。AirSweepは材料と壁面の間にエアスイープノズルから360度エアを瞬間的に発射することで容器を損傷することなくブリッジやラットホールを解消することができる。また、米国農務省の承認を受けた製品もあり、飲料や食品でも使用可能。
閉会挨拶 コーディネータ 大阪大学大学院 教授 田中敏嗣 氏
皆さま今日はお疲れ様でした。講師の皆さまありがとうございました。
また、立地、設備とも大きな価値があるすばらしい会場をありがとうございました。粉体は付着や凝集などトラブルや難しい問題を引き起こしますが、研究の対象として彩を添えてくれるものだなと思っています。懇親会もありますので、懇親会では引き続き皆さんとお話しをさせていただき懇親を深めさせていただけたらいいなと思っています。今日はどうもありがとうございました。と述べられた。
本会合終了後、懇親会会場へ移動。懇親会では、代表幹事 岸本 武志氏が乾杯の挨拶をおこなわれ、参加者の親睦、交流および名刺交換などが和やかにおこなわれました。
閉会にあたっては、副コーディネータ 河府 賢治氏より閉会の挨拶がおこなわれました。
以上
本分科会の開催案内は、こちらよりご確認いただけます