活動報告
第3回晶析分科会 報告
2014年12月11日
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講演会風景1 東京農工大学滝山先生
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講演会風景2 東京農工大学滝山先生
2014年11月28日、同志社大学 東京オフィスにて、2014/5に引き続き、粉体工学会 晶析研究会と共催で、合同晶析シンポジウムを開催しました。今回も大学、企業から講師を招き、様々な観点から晶析に関する最新技術の講演をしていただき、参加者含め討論を行いました。
①基調講演「Anti-solvent晶析法での結晶粒子群の多形・形態の創り分け」
東京農工大学工学部 化学システム工学科 滝山 博志 先生
-相図を用いた晶析操作の基礎解説から始まり、非溶媒晶析法での機能性結晶作成操作について、添加速度、温度変調操作、組成変調操作など最新の事例を用いながらわかりやすく解説いただいた。針状結晶を太く扱いやすい形にする技術の紹介もあり、同じ悩みを持つ企業研究者へのヒントにも繋がった。
②「マイクロ波照射中の無機塩溶液の特異現象~貧溶媒晶析、バブル生成、表面張力等~」
兵庫県立大学工学部 機械システム工学科 朝熊 裕介 先生
-マイクロ波照射がアルコール滴下の貧溶媒効果に及ぼす影響、マイクロ波照射中のバブル発生挙動の観察、マイクロ波照射中の水溶液の表面張力観察、の3トピックについて解説いただいた。マイクロ波の効果は熱効果だけでなく、バブル生成や拡散促進に効果があることや、非接触で撹拌、分子拡散を促進するなど、マイクロ波のプロセスへの応用もお話しいただき、今後の工業化の期待も持たせる内容であった。
③「晶析モデリングツールを用いたバッチ晶析プロセス開発検討事例の紹介」
味の素株式会社 バイオ・ファイン研究所 小山 知朗 氏
-Gcrystal社のモデリングツールを用いた、晶析プロセス開発検討事例を紹介いただいた。カリ明礬晶析を例に、ラボ、ベンチプラントスケールで実施した結果(粒度分布、最大平均粒径)と、基礎的な晶析に関する数式を用いた本シュミレーション結果がよく合致する例を紹介された。まだ使いこなすには、モデルの改良や各製品への応用も必要であるが、今後に向け注視していく分野である。
④「膜を用いた晶析・尿路結石とタンパク結晶への応用」
早稲田大学先進理工学部 応用化学科 小堀 深 氏
-質の良いタンパク質結晶の作成方法(膜濃縮、遠心濃縮)の紹介や、バイオミネラリゼーションの事例である、尿結石、痛風のメカニズムと晶析との関係についてわかりやすく説明された。生体内の結晶化現象を化学工学的に解析し、将来への治療法の開発を期待させる最新の技術紹介であった。