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合同分科会 報告(微粒子ナノテクノロジー&晶析)

2017年9月27日

  • 合同分科会の様子
    合同分科会の様子
  • 金沢大学 教授 内田博久先生のご講演
    金沢大学 教授 内田博久先生のご講演
  • 日本大学 准教授 松本真和先生のご講演
    日本大学 准教授 松本真和先生のご講演
  • 大阪市立大 講師 五十嵐幸一先生のご講演
    大阪市立大 講師 五十嵐幸一先生のご講演
平成29年8月29日、第1回分科会として、晶析分科会と合同分科会を開催いたしました。
近年、微粒子・ナノ材料の合成・制御手法に関しては、さらなる高機能化とあわせて環境への親和性も求められています。この目的のために、粒子の合成される環境(反応場)をさまざまな手法を用いて工夫・制御する研究開発が盛んに進められています。また、制御された粒子を精密に評価する手法についても徐々にではあるが進みつつあります。今回は、晶析分科会と合同で、その「特殊反応場」をテーマとし、大学での各種研究事例、及び産業界からは新規な評価手法について、4件の講演を開催しました。

1)「晶析溶媒としての超臨界二酸化炭素の溶媒特性と有機微粒子製造への応用」
金沢大学 教授 内田 博久氏
各種産業より排出される二酸化炭素を超臨界下において溶媒とし、機能性材料を創生する技術は、環境面への配慮だけでなくその機能から既に様々かつ身近な分野において利用されている。その機能面の基礎となる晶析溶媒としての特性についてまずは解説をいただいた。さらにその技術の中から超臨界溶体急速膨張(RESS)法、超臨界貧溶媒添加晶析(SAS)法、及びガス飽和溶体噴霧乾燥(RGSS-SD)法による有機ナノ粒子の創製について報告を受けた。様々な要望に対し同一の手法にて対応することは困難であり、都度適した系・技術の探索が求められることが示された。また、超臨界二酸化炭素を用いた材料創製の近年の動向や、今後の展望・戦略についても示された。

2)「ファインバブルを用いた新規晶析場の創成と結晶品質制御」
日本大学 准教授 松本 真和氏
近年活用事例が増えているファインバブルを晶析場として用いる事例について解説を受けた。この事例の効果として、気-液界面積の増大、平均滞留時間の増大、気-液界面での相互作用が挙げられる。これらの効果を応用し、CO2/NH3ファインバブルを用いた炭酸カルシウムの多形・粒径制御、N2ファインバブルと貧溶媒の併用によるグリシンの多形制御、CO2/N2ファインバブルとマイクロ波照射を併用した系における炭酸リチウム粒子の製造事例を紹介された。
3)「mL連続晶析装置による粒径と多形の制御」
大阪市立大 講師 五十嵐 幸一氏
水難溶性物質の溶解性向上のための手法として用いられる手段の一つに微粒子化がある。微粒子化に際しビルドアップ法を選択する場合、従来の晶析装置ではその機器のサイズから曹内での温度・濃度が不均一となる問題があった。これに対し、スケールをmLスケールと少量としかつ高速攪拌機を備えた晶析装置を開発し、各種条件について検討を行った。結果、従来型機器と比較し均一な微粒結晶を得ることが可能であることが示された。また、滞留時間の調整により粒径、多形のパラメータを制御できること、さらには冷却晶析法も有効であることが紹介された。

4)「制御された晶析物のための解析技術」
スペクトリス株式会社マルバーン事業部 舩戸 美幸氏
1)~3)にて述べられたような各種合成手法に対し、最終的な結果としてどのような粒子が合成されたのか評価することが当然求められる。今回は多々ある手法の中から、精密な粒度分布だけでなくその形状、さらにはラマン分光装置との組み合わせで化学成分・結晶多形まで評価が可能な粒子画像分析装置モフォロギG3-ID、及び液中ナノ粒子の粒度分布だけでなくその濃度まで測定を可能としているナノトラッキング法を採用したナノサイトシリーズについて紹介を受けた。ナノサイトシリーズについては実際に機器を動作させ分析する様子についても見学することが出来た。

【総括】(晶析分科会)
微粒子ナノテクノロジー分科会と共通テーマをどうするか企画の初期においては試行錯誤でしたが、微粒子ナノテクノロジー分科会のお気遣いもあり、微粒子製造技術の一つとして、特殊場を用いた晶析を今回の分科会のメインテーマとさせて頂きました。晶析技術を知っていただく良い機会を与えて頂いた微粒子ナノテクノロジー分科会の幹事メンバー方々に感謝するとともに、今後も技術交流の場を持ち、双方の技術に刺激を与える活動に取り組んでいきたいです。

以上
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