活動報告

トップページ > 活動報告 > 分科会活動 > リサイクル技術分科会 > リサイクル技術分科会 報告

リサイクル技術分科会 報告

2025年7月15日

  • 講演会① 広吉教授の講演風景
    講演会① 広吉教授の講演風景
  • 講演会② 伊藤教授の講演風景
    講演会② 伊藤教授の講演風景
  • 施設見学会 VRシアター
    施設見学会 VRシアター
  • 分科会時の集合写真①(北海道大学 工学院キャンパス前)
    分科会時の集合写真①(北海道大学 工学院キャンパス前)
  • 分科会時の集合写真②(北海道大学 クラーク像前)
    分科会時の集合写真②(北海道大学 クラーク像前)
2025年6月26日(木)、北海道大学工学研究院において、資源リサイクル技術、選鉱技術の研究に関するテーマにて講演会および北海道大学工学研究院 環境循環システム部門の研究室や施設の見学会を行いました。以下に報告いたします。
 
■講演会①:「選別研究の最前線:AIを用いた選別予測」
講演者: 北海道大学 工学研究院 環境循環システム部門 教授 広吉直樹 氏
鉱物資源⽣産の現状・将来と選別予測のためのAI開発について講演を頂いた。先ず、カーボンニュートラルと金属資源について、世界的にEV化が進む中で、従来と比較してレアアース流通量を17%増やさないと成立しない状況となっており、それに伴いCu(銅)は更に10%多く必要になる。但し、ここ20年、新規鉱山は発見されておらず(質の悪い小規模鉱山は除く)、2050年にはCu供給不足に陥ると想定されているとの事。
今回の講演では、AI技術を用いた小規模鉱山でも価値の高い鉱物を「選鉱」する浮選研究について説明頂いた。内容として、異なる鉱⽯の浮選に対するオリジナルモデルを作成し、予測精度検討を行い、KEY特徴量(粒子の疎水度)を導入し、新規鉱⼭の鉱⽯をスピーディーに高精度な予測を実現しているとの事(2024年9月特許出願)。また、本研究成果を様々なリサイクルへ展開すべく、AIプロジェクトチームを組み、企業連携を図り、各種選別装置のAIモデル開発およびビジネスモデルの構築に力を入れているとの事だった。
 
■講演会②:「物理選別技術の最前線」
講演者: 北海道大学 工学研究院 環境循環システム部門 教授 伊藤真由美 氏
鉱物資源⽣産の現状・将来と選別予測のためのAI開発について講演を頂いた。日本での金属生産は世界3位であるが、原料(鉱石)のほとんどを輸入に頼っているが、昨今の自動車EV化や半導体製品の急増に伴い、世界的に非鉄(Cu等)の需要が増大している状況である。その状況の中で、品質の悪い中規模鉱山が増えている中で微粒子化した鉱石の掘削工程における選鉱技術革新が求められている。
そういった背景の中、同大学では、選鉱分野として難処理鉱石の選別手法の開発として超微粒希土類鉱物のキャリア磁選技術、微粒黄銅鉱(3μm)の選別回収法の浮選技術に力を入れており、またNEDO事業として昨今話題のプラスチックの高度比重選別と自動化をテーマとし、選別技術の高度化および資源化開発を行ったとの事。本書で紹介した開発研究は一部であるが、選鉱・リサイクル・資源環境分野への適用可能なプロセス開発に日々邁進しているとの内容であった。
 
■見学会: 工学研究院 環境循環システム部門 研究室
広吉教授、伊藤教授、また大学院工学研究院 川村教授の研究室の施設見学会を行った。先ず、川村教授の研究室について、同大学は資源系教育コンソーシアムを構築し、人材育成の一環として、VRを用いた360度の3D炭鉱視察体験を行った。大規模鉱山を大きなスケールで外観確認出来るだけでなく、内部の詳細までまるで現地に行っているかのような臨場感で体感する事が出来た。
 
次に伊藤教授の研究室について、鉱石の選別研究施設を見学した。破砕機、ボールミル、磁力選別機、ハイドロサイクロン、浮選機、遠心分離機、講演であったジグ選別機、流動化装置(水筒圧)等の選別試験装置があった。尚、試験機に用いる治具等は全て3D設計し、3Dプリンターで製作しているとの事であった。
 
最後に広吉教授の研究室について、講演で説明のあったAIを用いた浮選技術の研究施設を見学させて頂いた。特にリサイクル精度向上のポイントである薬液によるケミカル改造(表面改造)を用いた技術に詳しく学ぶ事が出来た。
 
今回の分科会は、今年度に副コーディネータに就任頂いた伊藤先生のアテンドを頂き、初めて北海道大学の工学院で開催する事が出来ました。資源工学とリサイクルというテーマの最前線を学ぶことが出来て、理解の深まる、大変に良い分科会でした。

以上

本分科会の開催案内は、こちらよりご確認いただけます

PAGE TOP