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環境エネルギー・流動化分科会 報告

2019年7月19日

2019年7月9日、令和最初の分科会を開催しました。今回の分科会では「環境・エネルギー分野におけるAIの活用」をテーマとして、株式会社シタラ興産「サンライズFUKAYA工場」にて、人工知能研究の最前線でご活躍中の東京大学・松尾先生のご講演と、AIロボットを活用した混合廃棄物選別施設見学を行いました。内容を以下に報告します。

  • ②株式会社シタラ興産 設楽社長
    ②株式会社シタラ興産 設楽社長
  • ③見学風景
    ③見学風景
  • ④AI自動選別ロボット(シタラ興産パンフレットより)
    ④AI自動選別ロボット(シタラ興産パンフレットより)
  • ⑤松尾先生講演会『人工知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの-』
    ⑤松尾先生講演会『人工知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの-』
  • ⑥松尾豊先生
    ⑥松尾豊先生
  • 集合写真
    集合写真
第1部では、廃棄物分野におけるAI実装事例として、AI搭載の自動選別ロボット「ゼンロボティクス リサイクラー(ZER)」(フィンランド・Zenrobotics社)を中心とする混合廃棄物の自動分別ラインを見学しました。ZERは識別部(3Dレーザースキャナー、カメラ、各種センサ)と2本のロボットアーム、ベルトコンベヤから構成されており、廃棄物の認識やロボットの制御などにディープラーニングを用いることで、木くずや金属など複数の素材が混在した廃棄物を高精度に自動選別し、コンベヤ両脇に設置された各種投入口へ分別投入します。サンライズFUKAYA工場ではZERが直列で2基設置されており、1基目で対応しきれなかった廃棄物を2基目で確実に分別されていました。ロボットアームは20kg/個までの重量に対応でき、2000個/時の処理が可能ということで、見学時にもかなりの動作速度で分別作業を行っていました(Youtubeにも動画が掲載されています)。
設備の立ち上げ時には廃棄物性状の国内外差異により、性状認識、ハンドリングともに苦労されたとのこと。現在でも選別状況のデータはフィンランド本国とオンラインで共有され、日々分別精度向上が図られています。
ZER導入前は15名で行っていた選別作業を現在2名まで削減でき、また稼働時間も8Hr/日から24Hr連続運転が可能となって、過酷な選別作業からの解放と処理能力の大幅向上が可能となりました。
設備導入に当たっては当初従業員の95%が反対だったそうですが、現在は全員が満足されているとのこと。全国から注目されている最先端の技術に取り組み、メーカーの技術者と対等に話ができる技術レベルにまで精通できているということで、従業員の皆さんが高いプライドと強いモチベーションをもって仕事に取り組まれていました。
なお設備導入費用に関しては、処理能力向上と人件費削減によって数年で元が取れる見込みとのこと。また将来的にはリサイクルしにくい可燃物はサーマルリサイクルを予定、渋沢栄一を輩出した深谷市で廃棄物発電によるエネルギーの地産地消も目指したい、とのことで、設楽社長の熱い想いに感銘を受けました。

第2部では、サンライズFUKAYA工場の会議室にて、人工知能研究の最前線でご活躍中の東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センターの松尾豊教授より、『人工知能の未来 ~ディープラーニングの先にあるもの~』と題して、AI、なかでもディープラーニングを中心にその特長と現在できること、将来のAI適用の可能性と将来像、当分野関係者への提言等々についてご講演いただきました。
今般のディープラーニングによるAI技術発展は、いわば機械に対する『眼』の誕生であり、画像認識とロボット技術の融合により「カンブリア爆発」にも似た技術革新が期待できること、ディープラーニングはトランジスタやインターネットに匹敵する技術変革であること、「深い関数を使った最小二乗法」と考えてよいこと等々大変わかりやすくご説明頂きました。またAI将棋の思いもよらない指し手などを例に、AIによる新たな価値付加・創造、産業各分野における展開の具体的事案等、多大な可能性についてお話しいただくとともに、欧米等に比べて数年の遅れが深刻な日本において、各企業におけるAI導入に向け、企業トップの理解レベル向上、人材育成等の現実的なご提言も頂きました。

第1部、第2部ともそれぞれの質疑応答において活発なディスカッションが行われ、参加者皆さんの関心の高さがうかがえました。
講演・見学会終了後は、熊谷駅近くに場所を変えて技術懇談会を開催、闊達なご意見も頂戴しながら盛況の内に解散となりました。

以上
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