活動報告

トップページ > 活動報告 > 分科会活動 > 環境エネルギー・流動化分科会 > 環境エネルギー・流動化分科会 報告

環境エネルギー・流動化分科会 報告

2024年9月25日

  • (一社) 共生エネルギー社会実装研究所所長 堀尾先生のご講演
    (一社) 共生エネルギー社会実装研究所所長 堀尾先生のご講演
  • 住友金属鉱山(株)佐藤様のご講演
    住友金属鉱山(株)佐藤様のご講演
  • 中央大学理工学部 教授 三苫先生のご講演
    中央大学理工学部 教授 三苫先生のご講演
  • 名古屋大学 未来材料・システム研究所 教授 成瀬先生のご講演
    名古屋大学  未来材料・システム研究所 教授 成瀬先生のご講演
  • 講演会の様子
    講演会の様子
2024年9月17日(火)、「持続可能な社会のための適正な環境エネルギー技術」と題して講演会を、中央大学のリアル会場とWEB参加者を結ぶハイブリッド型の講演会として開催しました(中央大のWebex Eventsを利用)。2022年の講演会に引き続き、イベント管理サービス「Peatix」を使用し、参加者からの申込受付・決済をオンラインで実施しました。冒頭、分科会名誉コーディネーターの幡野先生に各発表のイントロダクションをして頂き、長副代表幹事の司会進行のもと各講師先生方のご講演を拝聴しました。以下に講演の内容を示します。
 
《講演1》
『環境エネルギー分野における適正技術の課題』  (一社) 共生エネルギー社会実装研究所所長/東京農工大学名誉教授 堀尾正靭 先生
 適性技術論の歴史や危機的気候変動の実例を分かりやすく例示頂くとともに、日本のエネルギー戦略の問題点等を交えながら、適正技術の選択の重要性をご講演頂いた。適正技術は、社会や地域のニーズ・環境への適合という観点と社会的公正という観点の両面を満足する技術であること、また、その適正性は時代により変化するものであるということを念頭に、化石燃料依存の近代化モデルが終了したという現況を踏まえた適正技術を選択することの重要性をご説明頂いた。また、CCSや水素・アンモニア活用、FCVやEVなど個別技術や各技術の適応シナリオの評価事例と課題についてもご紹介頂いた。日本の脱炭素の進展のためには適正技術の選択とあわせて、本格的な脱炭素地域の創出が必要であり、実効性のある中間的支援組織の構築も含めた地域ガバナンスの再構築が早急の課題であるとのお考えもご提示いただいた。
 
《講演2》
『Carbon Neutralにおける蓄エネルギーの姿~蓄電池を主としたエネルギー蓄積について~』 住友金属鉱山(株)・分科会幹事 佐藤健司 様
太陽光発電や風力発電の時間的エネルギーの偏在を均す方策として、その重要性が高まっている蓄エネルギー技術の実情と課題についてご講演頂いた。現在、エネルギーの一時貯蔵として適用されている揚水発電に変わり、地理的制約が少なくコスト競争力が高まりつつある蓄電池の採用が増えてきていることや、鉛蓄電池の長寿命化品やEVバッテリー再利用の実例をご紹介いただいた。あわせて、地理的に偏在する再生可能エネルギーを広く使うためには広域送電網の構築が課題であること、EV車の100%普及を阻む理由として、電池材料であるNi不足や変電・送電の設備増強がいたるところで必要になること等のお考えをご提示いただいた。また、電気分解による水素製造は製造効率が低いことから広く普及するのは難しいこと、一方、アルコールは貯蔵が容易で扱いやすいなど普及が期待できる変換物質であることをご説明いただいた。
 

《講演3》
『持続可能な社会を支える革新的な土壌浄化技術の新展開~PCBから乾式除染へ、そしてPFAS処理へ~』
中央大学 理工学部人間総合理工学科 教授 三苫好治 先生
金属カルシウムと酸化カルシウム(CaO)を混合微粉砕して製造されたナノカルシウム(nCa)による汚染土壌処理に関する最新研究成果をご紹介いただいた。PCBs汚染土壌処理においては、ラジカル反応により無害化が進むことや、その反応にはCaO中の水分が大きな役割を果たすこと、攪拌することで無害化の温度が低温化できることが示された。重金属汚染土壌処理においては、nCaとリン酸カルシウムを併用することで、ヒドロキシアパタイト被膜が形成されることや経時的に生成される炭酸被膜により重金属が不溶化されるというご説明があった。これに加熱を加えることで、PCBsと重金属の複合汚染土壌の迅速無害化が可能であることも示された。また、放射性セシウム(Cs)汚染土壌処理においては、Feを含むnCaの活用により、微粒子に含まれるCsが磁選可能となり除染に有効であるとのご説明があった。併せて、問題として広く知られるようになったPFASの無害化技術への展開に関するお考えもご提示いただいた。
 

《講演4》
『RDFや木質バイオマスペレットの爆発・火災事故』 名古屋大学 未来材料・システム研究所 教授 成瀬一郎 先生
バイオマス発電所において、最近、爆発・火災事故が増加している。本講演では、山陰地方、中部地方、北海道のバイオマス発電所で生じた爆発事故の原因調査結果についてご講演を頂いた。いずれも木質ペレットを燃料としている施設であり、各施設で生じた爆発は、燃料である木質ペレットから発生した微粉バイオマスによる粉塵爆発である、もしくはその可能性が高いとされている。着火源は、燃料に含まれる異物とコンベヤの衝突や摩擦、ベルトコンベヤとカバープレートの接触による発熱の可能性があるとのご説明があった。また、コンベヤの速度や燃料の落下高さによる微粉の発生状況やコンベヤ速度と摩擦熱の関係など原因調査の過程で得られた実データもご紹介いただくとともに、定期的な清掃による搬送コンベヤ内の粉塵の堆積防止の重要性もご説明いただいた。
 
各講演後、副コーディネーターの岐阜大学教授の小林先生に総括いただいて閉会となりました。また、講演会の終了後、中央大学の食堂をお借りして技術懇談会を実施しました。講演会では時間の都合上質問することができなかった内容を講師の先生方に質問するなど有意義な情報交換の場とすることができました。
講師の先生方、リアル会場、WEB合わせご参加いただいた皆様、中央大学のスタッフ、関係者各位に心より御礼申し上げます。
 

以上
PAGE TOP