活動報告

トップページ > 活動報告 > 分科会活動 > 環境エネルギー・流動化分科会 > 環境エネルギー・流動化分科会 報告

環境エネルギー・流動化分科会 報告

2023年12月27日

  • ①見学会_貯木場
    ①見学会_貯木場
  • ②見学会_貯蔵乾燥庫
    ②見学会_貯蔵乾燥庫
  • ③見学会_乾燥庫熱風吹出口確認
    ③見学会_乾燥庫熱風吹出口確認
  • ④見学会_ガス化棟
    ④見学会_ガス化棟
  • ⑤見学会_集合写真1
    ⑤見学会_集合写真1
  • ⑥見学会_集合写真2
    ⑥見学会_集合写真2
  • ⑦講演会_聴講風景
    ⑦講演会_聴講風景
  • ⑧講演会_笹内講師
    ⑧講演会_笹内講師

2023年12月14日、今年度第2回目の分科会として、和歌山県内のバイオマス発電所の見学会及び講演会を開催しました。当日は12月にもかかわらずコート不要の暖かさで、まさに見学会日和でした。以下に概要を報告します。
 
1)新宮フォレストエナジー
今回の見学先「新宮フォレストエナジー発電所」は、2021年に運転を開始した、地産地消型の木質バイオマス発電所である。間伐材や低質材などの未利用材を燃料として、地域の森林資源を有効活用し、地域循環型のエネルギーシステムを構築している。
当発電所では、年間約2万トンの原木(主にヒノキとスギ)を発電所から約50km以内の紀南地域から集材、自社工場でウッドチップに加工・乾燥して、約1,680kWの電気(約3,900世帯分)及び約3,400kWの熱(温水)を供給している。林地残材や製材所で規格外となった原木のほか、枝葉やバーク(樹皮)等も購入対象として、未利用木質資源に適切な価値をつけることで地域経済の活性化を図ると同時に調達コストを抑えている。また、チップ工場と乾燥機を併設することで、燃料供給元で加工・乾燥工程を負担することなく、間伐材・低質材の流通量を増やすことができるため、地域の素材生産会社及び林業者の事業拡大を通じた森林整備の促進に役立つとのことであった。
当発電所では、墺)Syncraft 社製のスクリュー式熱分解炉(炉内温度500℃)、浮遊固定層ガス化炉(850℃)等から構成されるガス化CHP設備と、Jenbacher社製のガスエンジン(4台)を備え、発電効率29%、総合エネルギー効率は約85%を誇る。こちらの発電所では、従来のガス化設備につきもののタールトラブルは運転開始以来皆無であり、スクラバ排水もpH調整のみで河川放流基準を満足する水質とのことであった。
副産物として発生した炭化物は、バイオ炭として製紙会社・セメント工場向け燃料、製鉄所コークス代替の還元剤、除湿材原料炭などとして販売されている。また、変わったところでは貯留・乾燥設備から排出される蒸気から芳香剤原料を回収する試みも行われたそうである。ヤード内は木の香りに包まれており、素直に得心がいった。
新宮バイオマス発電所の総工費は約30億円。現状FIT(\40/kW×20年)でなんとか採算ぎりぎりだが、この発電所を中心にして地域の事業を興していくことを目的としているとのことであった。
 
2)講演会「日本のバイオマスガス化発電の最新の状況」
新宮バイオマス発電所から新宮市の文化複合施設「丹鶴ホール」に会場を移して、PEO技術士事務所代表取締役の笹内謙一氏に「日本のバイオマスガス化発電の最新の状況」と題して講演いただいた。
講演では日本国内における木質バイオマス発電の現状と、主要ガス化炉の特徴に関する技術解説、日本のガス化発電おける課題等についてお話しいただいた。現状、国内のバイオマスガス化炉は、FIT制度の制約により小型ガス化発電装置が採用されているが、そのほとんどが欧州製であることや、欧州では性状や形状が規格化されたペレットを使用するのに対して、日本では木材を自前で破砕したチップを用いる事例が多いこと、そもそも樹種が異なる等の違いがあるにもかかわらず欧州のガス化発電システムをそのまま使用することにより問題が生じる事例が多いこと等を分かりやすく解説いただいた。また日本でのトラブル解消の試みについてもお聞きすることができ、バイオマスガス化発電技術の貴重な情報を得ることができた。質疑応答でも会場からの質問や技術論議が大いに盛り上がり、大変有益な講演会となった。
 
この度は受入可能人数の関係で、申込みいただいた方々全員にご参加いただけなかったことを心よりお詫び申し上げます。
設備見学にご対応頂いた新宮フォレストエナジーの方々、並びにご参加頂いた皆様に御礼申し上げます。
(今回の見学講演会はPEO笹内様にご尽力頂きました。)
 

以上

本分科会の開催案内は、こちらよりご確認いただけます。

PAGE TOP