活動報告

晶析分科会 報告

2022年3月24日

  • 東京大学 中室先生の講演
    東京大学 中室先生の講演
  • 東京大学 佐々木先生の講演
    東京大学 佐々木先生の講演
  • 慶応大学 志澤先生の講演
    慶応大学 志澤先生の講演
2022年3月11日、第3回分科会として、結晶成長(核生成から結晶形成に至るまで)の計測(可視化)に関する講演会をwebにて開催しました。以下に報告します。

講演1:
結晶/非結晶性物質におけるX線オペランド動態計測 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授 佐々木裕次氏
原子オーダー精度を誇る原子/分子動態オペランド計測技術として回折X線明滅法Diffracted X-ray Blinking(DXB)を提案されている。講演ではDXBの歴史と、本法の高速性が物性研究に必要な理由を説明された。無機材料から有機ソフトマテリアル、そして生体1分子計測までの色々なDXB測定結果が紹介され、DXBは大型放射光施設利用だけでなく小型X線光源でも利用可能なので、装置コンパクト化の可能性にも述べられた。

講演2:
Phase-fieldモデルおよび転位-結晶塑性モデルに基づく動的再結晶シミュレーション
慶應義塾大学 理工学部機械工学科 教授 志澤一之氏
Multi-phase-fieldモデルと転位-結晶塑性モデルを、転位密度を介して連成させることにより、動的再結晶モデルを構築する。このとき、核生成条件、成長粒の界面易動度、格子摩擦応力および転位の平均飛行距離に対して環境温度依存性を導入する。次に、このモデルを純Ni微細多結晶平板における動的再結晶現象に適用し、微視組織形成過程および応力ひずみ応答を再現するとともに、実験結果と比較・検討された。

講演3:
SMART-EM法で探る結晶化メカニズムの詳細
東京大学 総括プロジェクト機構 特任准教授 中室貴幸氏
結晶化は我々の生活から工業に至るまで欠かせない技術である。初等教育の課題でもある結晶化であるが、核形成から結晶成長に至るまでの過程が分子レベルでどのように起こっているのか、という素朴な疑問は科学研究における最先端で未解決の課題である。研究室では、単分子挙動を映像として記録する透過電顕技術(SMART-EM)を開発し、極小サイズの試験管で起こる科学現象の可視化および理解に努めており、講演においてはその一端を概説された。

まとめ
年度末の忙しい時期ということもあり参加者数は少なく、分科会活動を広く知ってもらう必要性があると感じました。講演会自体は、結晶成長過程の可視化について、様々な解析手法が存在し、それぞれの手法についても様々なアプローチからがなされていることがわかり、参加者にとっても有意義な講演会になったと考えます。志澤先生のご講演の際、マイクトラブルがあり、聞き取りずらい点があったところは反省点です。今後も、最新の計測技術については分科会として取り組んでいきたいと思います。

以上
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