活動報告
晶析分科会 報告
2019年10月29日
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[講演1]大久保先生のご講演
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[講演2]銅谷先生のご講演
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[講演3]清水先生のご講演
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[講演4]射場先生のご講演
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[講演5 ]道下先生のご講演
[講演1]リチウム資源をめぐる現況と生産技術動向
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 金属資源技術部 生産技術課 大久保 聡氏
現在、炭酸リチウム・水酸化リチウムなどのリチウム化合物が正極材などリチウムイオン電池部材の原料として需要増の一途をたどっている。リチウム資源は主に南米などの塩湖からのかん水あるいは豪州などからのスポジュメン鉱石からなる。リチウムの利用形態としては主にかん水・鉱石を濃縮・精製して粉末状の炭酸リチウムに変換し、それが出発原料となって様々な用途向けの化合物などに加工される。講演ではリチウム化合物をめぐる需給動向などの現況および生産・精製方法につき概略的に述べられた。
[講演2]二次電池材料に関わる反応晶析技術
月島機械株式会社 開発本部 研究開発部 銅谷 陽氏
ナノ~サブミクロンサイズの一次粒子を凝集成長することで得られる球状粒子体を利用する事象は多く、電池・触媒・医薬・化粧品等の機能性材料において散見される。これらは水酸化物、炭酸化物等の前駆体を形成し、焼成もしくは溶融工程を経て結晶体となるが、元素配置、粒子形状、粒子密度、細孔・表面積等の物性は前駆体時の影響を受ける。講演では二次電池正極活物質前駆体を例に工業晶析との関わりを紹介すると共に渦流式微粒子晶析装置を用いた小径粒子製造例を紹介された。
[講演3]粉体加熱設備のご紹介
株式会社ノリタケカンパニーリミテド エンジニアリング事業部 ヒートテクノ部 清水厚詞氏
技術の飛躍的進歩に伴いリチウムイオン電池を取り巻く環境は変化し続けている。現在ではスマートフォンや車載向けに加え、電子タバコ・掃除機など多種多様な業界へと技術展開・拡販されている。株式会社ノリタケカンパニーリミテドでは、洋食器製造で培った技術を応用し、リチウムイオン電池の製造工程で必要な焼成炉及び乾燥炉を手掛けている。講演ではその加熱設備について紹介された。
[講演4]革新電池における新材料への期待
トヨタ自動車株式会社 先端材料技術部 電池材料技術・研究部 担当部長 射場英紀氏
急速に進展する自動車の電動化に対応するために,HVやEVなど電動車ごとの機能特性を備えた電池が大量に必要とされている。これらの電池の革新は、その構成材料に依存するところが大きい。HV用として大量に普及しているNi-MH電池や、次世代の電池として期待の大きい全固体電池やアニオン電池に関して、それぞれの材料に対する研究事例を紹介された。
[講演5]ガス吸着法・水銀圧入法による電池材料の比表面積・細孔分布評価
株式会社島津製作所 グローバルアプリケーション開発センター 道下 晃氏
比表面積・細孔分布による電池材料の測定例を紹介する。測定原理はガス吸着法、水銀圧入法でガス吸着法は原材料の評価、水銀圧入法は電極などの構造評価に利用されている。またその他、粒度分布などの粉体評価装置による電池材料のアプリケーションについても紹介された。
5人の講師の先生方からLiイオン電池の材料設計に関わるご講演あるいは計測技術についてご紹介いただき、最新技術動向について学習できたことは参加者にとっても有意義な会となったと考えられます。晶析技術は様々な技術分野に利用されているので、今後もよりたくさんの方々に参加してもらえるよう企画・運営を行っていきたいと思います。