活動報告
晶析分科会 報告
2023年12月21日
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京都大学大学院 外輪先生のご講演
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大阪大学大学院 吉川先生のご講演
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大阪大学大学院 森先生のご講演
2023年12月15日、第2回分科会として、特殊反応場についての講演会を開催しました。下記に報告します。
講演1. マイクロ流路による流動制御と晶析操作
京都大学大学院 工学研究科 化学工学専攻 教授 外輪健一郎氏
医薬品は比較的生産量が小さいため、バッチプロセスを用いた生産が行われている。しかし、現在ではそのような少量生産プロセスの連続化技術が注目されている。反応工程の連続化にはマイクロリアクタで培われた技術を活用できる一方で、分離精製工程で活用できる技術は少ない。晶析は代表的な分離精製技術であり、その小型連続化技術の開発が望まれている。講演では、マイクロ流路における流体の流動状態に関する解説を交えながら、これまでに開発されてきた様々な連続晶析技術を紹介された。
講演2. レーザー結晶化技術の開拓およびその制御機構の解明
大阪大学大学院 工学研究科 物理学系専攻 教授 吉川洋史氏
これまで先生らは、集光レーザービームを外部刺激とすることで、結晶の核発生、成長、相転移など様々な結晶化現象を時空間制御するための技術開発を進めてきた。またこれらを駆使することで、従来法では難しい形状・構造・サイズの結晶(例:有機電気光学結晶、医薬品結晶、タンパク質結晶、氷など)を得ることにも成功している。講演ではこれらレーザー結晶化技術の概要とその制御機構について解説された。
講演3. Naフラックス法による大口径・高品質GaN結晶成長
大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 教授 森 勇介氏(オンライン)
GaN結晶の液相成長では1万気圧以上の高圧が必要となるため大型装置開発が不可能であった。それがNaを溶液に添加すると40気圧程度での育成が可能になることが、1996年に東北大学の山根先生が発表されて以来、進化を遂げて現在では6インチ以上の大口径化と低転位密度化を実現している。その過程では様々な要素技術が開発されており、GaNウエハ量産において鍵を握る種結晶の開発に繋がった。講演ではその研究開発の歴史を紹介された。
まとめ
3人の講師を招いての講演会および交流会(森先生はオンラインのため欠席)を企画し、企画した側としては非常に良い企画(講演も大変面白い内容)であるにも関わらず、参加者数はいつもと同様で、より多くの人にこんなことをやっているということを周知させる方法について今一度考える必要があると感じました。
本分科会の開催案内は、こちらよりご確認いただけます。