活動報告
微粒子ナノテクノロジー分科会 報告
2019年11月26日
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微粒子ナノテクノロジー分科会 神谷コーディネータの挨拶
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講演会の様子
以下結果概要を示します。
1)「Introduction of “State Key Laboratory of Biochemical Engineering, Institute of Process Engineering, Chinese Academy of Sciences”
Prof. Guanghui Ma (馬 光輝) 氏 (日本語講演)
中国科学院(Chinese Academy of Science:CAS)は、研究所(Institute)106、地方支社(Branche)12、3大学、キーラボ(Key Lab)89、センター47、植物園13、標本貯蔵所26及び400を超えるスピンオフ企業から成る巨大科学研究組織である。馬教授は、プロセスエンジニアリング研究所(Institute of Process Engineering: IPE)に所属し、バイオケミカルエンジニアリングのキーラボの責任者を務める。講演では、キーラボにおける研究開発内容の概要が紹介された。研究開発はバイオ材料の合成とそのプロセスデザインからシステム化及びスケールアップまでを網羅している。これまでの大きな成果は、コーンストローの製造、メンブレン分離技術開発やワクチン生成技術開発などである。また、クロマトグラフ用メディア(gigaporous media)やワクチン生成用触媒(biocatalyst)などの基礎研究開発も紹介された。
2) Hollow multi-shelled structures particles: Synthesis and applications
Peof. Dan Wang (王 丹) 氏
中空多重セル構造体(Hollow multi shelled structure: HoMSs)の合成とその応用についてが紹介された。HoMSsとは、異なる材質・組成の中空多重シェル構造を持つ粒子状材料であり、一個体で一つ以上の機能を発揮することができる。リチウム二次電池(LiB)の活物質、多機能(ダブル)触媒、電磁波吸収体、太陽電池触媒やDDSなど多くの分野での適用が検討されている。
3) Biomimetic formulation engineering for anticancer therapy
Prof. Wei Wei 氏
均一粒径かつ自己蛍光特性を持つキトサンナノ及びミクロ粒子の医薬適用についてが紹介された。キトサンミクロ粒子は付着性、吸着性、分配性、生分解性が粒径に依存し、異なる特殊医薬要求にも応えることができる。また、キトサンナノ粒子は有糸分裂阻害系抗がん剤のキャリアとしてのFSテストを実施している。これらキトサンナノ、ミクロ粒子は有効な医薬応用が期待できる。
4) Manipulating cell transport for simultaneous systemic and gastrointestinal immune responses via oil-in-polymer particles
Dr. Yufei Xia 氏
優れたワクチン製造を目的とした、油中ポリマー粒子系エマルジョン手法の研究開発についてが紹介された。このエマルジョン法は優れた相分離性能を発揮し、ワクチンの免疫体の培養などに活用できる。本手法で合成するワクチンは強固な予防接種への応用が期待できる。
5) Exploration of 2D graphene oxide as advantageous biomedical delivery systems
Dr. Hua Yue 氏
革新的な生医学的放出システムに応用可能な2Dグラフェン酸化物の研究開発が紹介された。この平板状ミクログラフェン酸化物はハイレベルの抗原吸着性、細胞内保持効果及び自己融解性などのユニークな特性を発現し、ワクチン放出やDDSなどへの適用が期待できる。