活動報告
微粒子ナノテクノロジー分科会 報告
2016年9月8日
平成28年8月5日、㈱栗本鐵工所 東京支社にて、第1回分科会として「ナノを取り入れたスラリーの特性や評価の基礎」をテーマに、講演会を開催いたしました。
1) 「濃厚系スラリーの粒子集合状態評価および材料プロセスへの応用」
法政大学 教授 森 隆昌 氏
重力・遠心沈降法や沈降静水圧測定、浸透圧測定、光学顕微鏡による直接観察などで、スラリー中での粒子の集合状態に関する情報が得られることを示し、スラリーの評価方法に適用できることが紹介された。その一例として、リチウムイオン電池正極材料スラリーについて、多成分(ミクロンサイズのコバルト酸リチウムとナノサイズのアセチレンブラック)スラリーの粒子集合状態を上述の評価方法で調べ、第二成分の存在によって単成分の場合よりも分散安定化が可能となり、スラリー段階で電極の微構造が予測できることが示された。
2) 「高濃度マイクロ粒子分散液のレオロジーに対するナノ粒子添加効果」
神戸大学 准教授 菰田 悦之 氏
ナノ粒子の添加によるスラリーの流動性の制御について、凝集性および分散性のマイクロ粒子(2.5μm)に、同じく凝集性および分散性のナノ粒子(25nm)を若干添加した際のレオロジー特性の変化を示した。凝集性のマイクロ粒子の場合にはマイクロ粒子の凝集構造が支配的であるためナノ粒子の添加による変化はほとんどなく、分散性のマイクロ粒子の場合には添加するナノ粒子の特性によって粘度の上昇や弾性を発現することなどが紹介された。
3) 「ビーズミルを用いたナノ粒子スラリーの作製方法」
アシザワ・ファインテック株式会社 石井 利博 氏
ビーズミルを用いたナノ粒子の分散手法について、ビーズの大きさやスラリー濃度、運転条件などのパラメータを変えた場合の分散効率が紹介された。粒子の機能・特性を保持したまま分散するためには数十μm程度のマイクロビーズを用いて、マイルドな条件で分散する必要があることなどが示された。