活動報告
リサイクル技術分科会 報告
2018年11月28日
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リサイクル技術分科会 見学会の様子1
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リサイクル技術分科会 見学会の様子2
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リサイクル技術分科会 見学会の様子3
まず初めに、三菱マテリアル株式会社 九州工場のセメント製造部門を見学しました。同社のセメント製造部門では、各種産業から排出される様々な廃棄物・副産物を資源として、年間400万ton以上の有効利用しており、年間のセメント生産量は国内最大規模の700万tonを製造している工場であり、且つ、独自開発した処理システムを採用し、廃プラ・廃タイヤや下水・排水汚泥、廃石膏ボード粉、建設汚泥、汚染土壌などの廃棄物を安定して大量にリサイクルしている工場です。見学会では、原料工程、焼成工程、仕上工程を順に見学させてもらい、特に焼成工程のメイン設備である5本の大型キルンは国内最大規模のインパクトを肌身で感じるとともに、今後更なる廃棄物利用の展開について市場ニーズと重要性を感じた見学会でした。
その後、丸屋商事株式会社 北九州事業所に移動し、常務取締役 石田 一聖様に「山口、九州北部のセメント産業の発展とその廃棄物利用について」と題し、山口、九州北部のセメント産業における歴史と廃棄物利用への展開について講演いただきました。同地域では日本のセメント生産量の約48%(2016年現在)が製造されており、廃棄物利用については早くから各産業から排出されているスラグやフライアッシュなどの再利用が行われてきた地域です。そういった背景から現在の日本では、発生量の多い廃プラや廃材等含め、かなり高い水準のリサイクル率で推移しています。しかしながら、ゴミ発生量という面で見ると、統計では日本人一人当たり320kgと世界第1位と断トツで発生させてしまっている地域です。(2位:フランス180kg/人、3位:ドイツ150kg/人、4位:アメリカ110kg/人)
今後の日本の課題は、リサイクル率を上げる事より、廃棄物の発生量を減らす(REUSE(再利用)⇒REFUSE(やめる))事を考えていかなければいけない、という事が具体的な指標からよくわかり、今後のリサイクルにおける市場動向を注視していく事が必要と感じた講演でした。
引き続き、見学先となった同社北九州事業所は、産業廃棄物の処分業の許可を取得し、金属くずをはじめとした様々な産業廃棄物の中間処理を行っており、これまで処理困難であったセメント工場から発生する金属と廃プラスチックの混合物の物理選別を行う事業所です。特に選別の肝となる“光学選別機”を導入し、金属と廃プラスチックの混合物における精度の高い選別が可能となり、金属は金属として、プラスチックはセメント工場の燃料エネルギー代替としてリサイクル処理している様子を見学しました。様々なマテリアル選別工程に依って日本のリサイクル水準を高めている事が良くわかる見学会でした。
今後は、先の講演会であったニーズへの対応(REUSE(再利用)⇒REFUSE(やめる))に依って、リサイクル市場がどのように変化していくのかを考え、分科会の計画・推進を行っていきたいと思います。