活動報告
リサイクル技術分科会 報告
2025年3月19日
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見学会の様子①
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見学会の様子②
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集合写真
■見学会:「廃蛍光ランプ・乾電池リサイクル工場見学」
見学先: 株式会社 ジェイ・リライツ
同社は、使用済み蛍光ランプおよび乾電池のリサイクルを主な事業としている企業(野村興産グループ)である。2023年度の年間処理実績は、蛍光ランプが1,366トン、乾電池が791トンであり、産業廃棄物だけでなく一般廃棄物も受け入れているとの事。今回見学させていただいたリサイクル工場では、水銀使用製品廃棄物である使用済み蛍光ランプ(組成内訳:ガラス92.2%、鉄・ニッケル3%、アルミニウム・銅2.4%、蛍光体2.4%、水銀数mg)を以下の工程で処理し、ガラス、金属原料(口金)、レアアース原料、水銀を回収・リサイクルしている。
1)破砕工程
2)洗浄・乾燥工程
3)解砕・磁選工程
4)焙焼工程(水銀回収)
また、使用済み乾電池については、以下の工程で処理し、金属原料、亜鉛地金原料として回収・リサイクルを行っています。
1)形状・手選別(一次電池と二次電池に仕分け)
※二次電池は仕分け後、専門業者にてリサイクル。
2)焙焼工程(水銀回収)
3)解砕・磁選
同社は「九州から水銀廃棄物の適正処理に貢献する」を企業方針として掲げ、グループ全体で水銀の再資源化に取り組んでおり、資源循環とビジネスを両立している企業だと感じた。
■見学会:「ソーラー(PV)パネルリサイクル工場」
見学先: 株式会社 リサイクルテック
同社は、近年のグリーンエネルギー普及に伴い増加するソーラーパネル廃棄物のリサイクル事業を確立している企業である。2023年以降、ソーラーパネル廃棄物は50万トン(パネル換算:1,500~2,000万枚)発生すると試算されており、同社は独自技術の高度リサイクル処理ラインを開発し、マテリアルリサイクル率82%を誇るリサイクルプラントを建設した。
同社のソーラーパネルリサイクルシステムは、選別工程と乾式処理を組み合わせたラインである。具体的には、以下の工程を経て、各資源の回収を行っている。
1)熱分解炉による一次焼成(樹脂分解)
2)熱分解炉による二次焼成(炭化)
3)高度選別ライン(粒度、風力、振動選別ライン)による
各金属(アルミニウム、銀、銅)、ガラス材の選別
特に、熱分解工程では、樹脂分の熱分解ガスを設備の熱源としてサーマルリサイクルすることで、エネルギー効率の向上を図っている。
同社は、来るソーラーパネル廃棄物の大量発生を見据え、2030年までにライン増設を計画している。また、同技術のリサイクルシステムを他社へのライセンス・設備販売することで、市場全体でリサイクル事業の成立を目指しているとの事で、低炭素化社会への貢献だけでなく、サーキュラーエコノミーへの展開・構築まで考えた先進的な企業であった。
■見学会:「廃電子機器リサイクル工場」
見学先: 株式会社 アステック入江 FM事業部都市鉱山リサイクルセンター響工場
同社は、転炉ダストから鉄粉や塩化鉄液を製造・販売する事業をメインとしている企業である。今回見学させていただいた響工場は、「都市鉱山リサイクル」をメイン事業とし、使用済みのパソコンや携帯電話等の家電製品から回収される廃電子回路基板に含有している有価金属の再資源化を行っている。響工場における都市鉱山リサイクル工程は以下の通りである。
1)回収した廃基板を電子部品分離装置(HS)にて熱処理(過熱水蒸気等)を行い、ハンダ除去および電子部品の分離・回収
2)AIを用いた光学選別機(AIS:エーアイセレクター)にて貴金属含有部品毎に選別
3)同社が得意技術とする湿式プロセスにて貴金属を抽出・回収
また、同社は市場活性化と資源循環社会への展開を図るべく、資源のない日本にとって、一度生産され、消費・使用された後の廃棄製品は重要な資源であることを、都市鉱山からの再生金メダル作製によって強くPRしている。2020年東京五輪のメダル製作や各競技団体へのメダル採用など、大きな反響を呼んでいる。このように同社は積極的に市場を巻き込んだ資源循環社会への活動を行い、自社で資源リサイクルを主体的に行っている素晴らしい企業であった。
今回の分科会は、昨今話題のサーキュラーエコノミーに関連するテーマであり、具体的に事業化している企業を見学することができた。資源循環とリサイクルがマッチした内容であったことから、会員だけでなく非会員の出席者も多く、盛況な分科会を開催することができた。次回以降も、市場ニーズとリサイクル技術、事業を絡めた内容で計画していきたい。
以上
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