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リサイクル技術分科会 報告

2024年2月20日

  • 見学会風景
    見学会風景
  • 講演会風景
    講演会風景
  • (講演資料抜粋)ASRリサイクル工程
    (講演資料抜粋)ASRリサイクル工程
  • 集合写真
    集合写真
  • 首里城 火災後の回収残骸
    首里城 火災後の回収残骸
  • 首里城 回収された赤瓦
    首里城 回収された赤瓦
  • 首里城 正殿の復旧状況(骨組み)
    首里城 正殿の復旧状況(骨組み)
  • 首里城 「素屋根」正殿を再現した壁面ペイント
    首里城 「素屋根」正殿を再現した壁面ペイント
2024年2月15日、第2回分科会として、沖縄でリサイクル事業を展開しておられる拓南商事株式会社、拓南製鐵株式会社のリサイクル事業に関する講演・見学会を実施しました。以下に報告いたします。
 
■講演会:「沖縄県内のリサイクル情勢と拓南商事の取組みについて」
講演者: 拓南商事㈱ 取締役副社長 平田 要 氏
同社は、鉄・非鉄スクラップならびに家電・自動車リサイクル、産業廃棄物処分を中心に行っている創業70周年の企業である。設立経緯は、戦時中の「鉄の暴風雨」と呼ばれた沖縄戦で日米両軍が投入した鉄の量は300万トンを超え、鉄くずの残骸を沖縄の資源として回収・リサイクルする事業として今の拓伸会グループが誕生したとの事。現在は、「鉄にこだわった事業体」を構築し、グループ8社で回収・解体・リサイクル・製品化の一連工程を手掛けている。
 
自動車リサイクル法制定に伴い、島国である沖縄県では処分費用が高騰し、廃自動車の不法投棄が大量に増加した経緯から、同社は2001年にASR再資源化工場を立ち上げ、非鉄金属の回収ならびにシュレッダーダストのリサイクル化を行っている。ダストリサイクルの主はRPF材への転用がメインだが、同社の研究開発により2016年に助成事業を活用し、自動車プラリサイクルを構築。自動車内装材のメインであるPPを選別・回収を行い、プラ製品の再生化、エコ商品(シートベルトのエコバック等)へ展開し、リサイクル用途を広げている。
 
また、本島での建設事業活性化による沖縄特有の赤瓦原料不足の改善を図るべく、自動車ガラスを用いた赤瓦リサイクル研究に着手している。余談ではあるが、火災による復興が必要の首里城は未だ復旧建設中であり、益々赤瓦の原料(クチャ)不足が深刻化していくと思われ、長期スパンでリサイクル材による赤瓦活用を目指し、研究開発を継続取組みしている。
 
今後の課題について、未だ回収率は低目である廃自動車のPHEVやEV車のバッテリー処理を含めた処理・リサイクルや、太陽光パネルのリサイクルシステム確立との事であった。
 
■見学会:「家電リサイクル工場、ASR再資源化施設」
見学先: 拓南商事株式会社
講演で説明のあったリサイクルプラントの施設見学をさせて頂いた。
先ず家電リサイクル工場では、一般回収されたテレビ、洗濯機、エアコン、冷蔵庫等の家電の選別ラインおよびリサイクルスキームを見学した。特に2022年に導入した竪型の大型シュレッダーはエアコン22台/h相当の大量処理が可能な設備であり、また破砕された家電の選別ラインは省人化が図れた工程・装置ラインであった。
 
ASR再資源化施設は、破砕選別ラインと減容固化ラインに分かれ、1,600t/Mの処理能力を有している。同社で再資源化されたダストは化石燃料の代替燃料としてRPF化、回収した鉄・金属はグループ会社の拓南製鐵㈱の電炉によって鉄筋等に再生されている。また講演内容で聞いた通り、実際に廃自動車の解体を見せて頂いたが事前にPP回収(インストルパネル、ドア、リアトリムカバー等)を解体時に積極的に回収し、シュレッダーダスト発生量の低減を図っていた。
 
沖縄という特徴ある地域でのリサイクル情勢という事で講演・見学会を実施させて頂いたが、同社は現行発生する廃棄物に対して、リサイクル研究・展開(赤瓦の再生取組み、琉球ガラス・防草材・花鉢等の水平リサイクル)を積極的に取組み、リサイクル率の向上を常に考え、今後のサーキュラーエコノミー、SDGsを目指している素晴らしい会社でした。
 

翌日、16日は、拓南商事株式会社の講演会にてあった赤瓦の原料不足問題について、2019年に大火災によって甚大な被害を受け、復旧に多くの赤瓦を使用する首里城の視察を幹事にて行ったので下記に報告します。
1)火災内容
2019年10月31日に発生した火災により、首里城正殿をはじめする9施設が焼失。火災は約11時間にわたり燃え続けた後に、鎮火。
 
2)復興予定
2026年に完了予定。
建築中の正殿を雨風や埃から守るための建物「素屋根」。この素屋根の中に、工事の様子を間近で見られる見学エリアを設け、工事の解説パネルや火災の残存物、復元に使用した木材などの展示し、見て・触れて・学べるような配慮があった。
 
3)視察報告
春節の関係から外国からの観光者が多く見受けられた。
首里城の景観は、復興完了まで約2年あるとはいえ、かつての観光スポットのような感じはなかった。下記写真のように正殿は壁面ペイントで再現されており、火災影響の展示物によって被害状況をわかるように配慮されていた。焼失した破片や建造物の残骸は生々しく当時の被害の大きさが甚大なものと強く感じた。
復興状況としては、骨組みがようやく形になってきたというところで後2年足らずで復旧完了しそうなように思えなかった。また原材料不足の影響もありそうに感じたが、作業に掛かっている人員が少なく、人手不足の方が影響しているように思えた視察会であった。
 

以上

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