活動報告
バイオ粒子プロセス分科会 報告
2026年2月25日
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01基調講演
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02情報交換会
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03集合写真
まず、基調講演として当分科会コーディネータでもある大阪公立大学大学院の野村先生に「コロイド科学的技法を駆使した農薬送達システムの開発」についてご講演いただきました(写真1)。本講演では、大腸菌、酵母、植物病原菌の胞子嚢、植物細胞、農業害虫の細胞など、多様な生きた細胞を対象とした、界面現象(付着・取込み)をコロイド科学と微粒子工学の手法に基づいて解析した研究成果が紹介されました。加えて、農薬が作用するプロセスを踏まえ、農薬成分を封入した微粒子の表面電荷や付着性といった界面特性を、目的の細胞に合わせて精密に設計し、それに効果的に作用させる送達システムの構築技術について、わかりやすく解説いただきました。
続いて、三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社 農業化学研究所 副所長の駒井様による会社紹介が行われ、その後、同社 技術アドバイザーの大河内様より、「農薬製剤技術の発展と今後の展望」と題して、農薬製剤技術の役割から歴史的な発展、現在主流の技術、さらには将来の展望までを体系的にご説明いただきました。また、粒子径分布を制御して散布時の飛散を抑え、環境負荷や使用者曝露を低減する「DL粉剤」、粒状製剤をPVAフィルムに封入し、水田に投げ込むだけで散布が完了する「ジャンボ剤」など、粉体技術を応用した製剤開発事例もご紹介いただきました。
さらに、同社 生産技術部の山本様からは「農業用殺菌剤ペンチオピラドの粒子径分布がその薬効に与える影響」と題して研究成果をご紹介いただきました。懸濁型製剤において、有効成分の粒子径分布や分散状態が薬効に影響を及ぼすことが示され、加えて、散布液が葉面で乾燥した後の粒子径分布を考慮した処方設計の重要性が指摘されました。
講演後の見学会では、粉粒体・液体の形態の各種農薬製剤サンプル、分析機器、小型粉砕機・混合機などの粉体処理設備をご紹介いただきました。また、試験用水田で実施された「ジャンボ剤」の散布実演では、農薬の拡散挙動を実際に確認することができ、大変貴重な経験となりました。さらに、ダニ、ハエ、蚊、ゴキブリなど、農薬評価用害虫を飼育する専用室も見学しました。
見学会終了後は、会場を近隣の会議場に移し、情報交換会を開催しました(写真2)。参加者同士の交流が活発に行われ、親睦を深めるとともに、講演内容や見学に基づく意見交換も盛んに行われました。参加者にとって大きな刺激となる、有意義な時間となりました。
このように、農薬製剤の研究から実地試験に至るまで、一連の開発プロセスを総合的に学ぶことができたことは非常に有益でした。多岐にわたる内容が有機的に結びつき、意義深く、非常に興味深い分科会となりました。
以上
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