活動報告
粒子積層技術分科会 報告
2022年7月14日
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サイエンス・スクエア、展示ルームの見学
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サイエンス・スクエア、展示ルームの見学①
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①実験室の見学
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②実験室の見学と実習
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講演① 産総研デバイス技術研究部門 明渡 純 様
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講演② NIMS エネルギー・環境材料研究拠点 全固体電池グループ 太田 鳴海 様
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講演③ キヤノン株式会社 R&D第一技術開発部 久保 健太 様
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粒子積層技術分科会 瀬戸副コーディネータより閉会の挨拶
2022年7月4日(月)、産業技術総合研究所デバイス技術研究部門・明渡純様にご協力いただき、「粒子噴射積層と全固体電池への応用」をテーマに分科会を開催しました。まず初めに、事務局より12/7~9に開催される“国際粉体工業展東京2022”の案内を行った後に、正コーディネータの九州工業大・山村先生より開会挨拶を行ないました。続いて乾式による粒子積層技術の一つであるエアロゾルデポジション法に関する講演および展示ルーム・実験室の見学を産業技術総合研究所デバイス技術研究部門・明渡様に、全固体電池の高容量化に向けたシリコン負極材料に関する講演をNIMS エネルギー・環境材料研究拠点 全固体電池グループの太田様に、また電子写真技術の全固体電池作製への応用に関してキヤノン株式会社・久保様に講演していただきました。講演概要を以下に示します。
1) 「常温衝撃固化現象を活用したエアロゾルデポジション法とその応用」
産業技術総合研究所デバイス技術研究部門 明渡 純 様
エアロゾルデポジション(AD)法では、室温環境下で密着強度が非常に強いセラミックス膜を高速形成できるため、実用化が始まっている。本講演では、AD法の特徴や成膜メカニズムを述べるとともに、応用例についても紹介された。また講演後にはサイエンス・スクエアにおいて、AD法を用いた事例(フレキシブル色素増感型太陽電池や半導体製造部材チャンバー内部コーティング)を見学する(【見学写真①】)とともに、実験室でAD法によるセラミックス膜形成の実演および参加者による膜強度の確認(【見学写真②】)を行い、講演での内容退官でき、理解を深めることができた。
2) 「全固体電池用高容量Si負極としてのSiナノ粒子積層体の可能性」
NIMS エネルギー・環境材料研究拠点 全固体電池グループ 太田 鳴海 様
リチウムイオン電池で負極材料に使用されているカーボンに比べて、シリコン(Si)は高容量化が実現できるため、負極には現在、5~10%程度のシリコン(Si)が材料として使われている。Siは充放電の際に体積変化が大きく応力割れを生じるために、ナノサイズ化することが有効であるが、同時に還元分解しやすくなるため保護膜で覆うなど電極作製が難しいという問題がある。一方、固体電解質を用いる全固体電池ではこれらの問題を考慮しなくてよく、本講演ではSiナノ粒子をスプレー塗工してナノ粒子膜を合成し、膜構造や電極特性を評価するとともに、優れた放電特性やサイクル安定性を得ることができることが紹介された。
3) 「粒子制御技術を用いた全固体電池成形プロセス」
キヤノン株式会社 R&D第一技術開発部 久保 健太 様
電子写真技術において従来の静電現像/転写プロセスを非静電で行うことにより、トナーの配置制御・画質改善が実現できているが、この粒子の単層配置技術を全固体電池の成形プロセスに活用できることが紹介された。本プロセスは、粒子の配置制御や面積/厚み/形状が制御できるため、任意のデザインの電極構造を成形できるだけでなく、溶剤を使用しないドライプロセスであるため、まずは全固体電池の材料評価や電池の設計・試作ツールとして活用なども期待できることが示された。
講演会終了後、粒子積層技術分科会・瀬戸副コーディネータより閉会の挨拶を行い、無事に終了いたしました。
本分科会の開催案内は、こちらよりご確認いただけます。