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リサイクル技術分科会 報告

2024年7月17日

  • 講演風景①
    講演風景①
  • 講演風景②
    講演風景②
2024年7月4日、第1回リサイクル技術分科会を二酸化炭素排出削減をテーマに開催いたしました。以下に報告いたします。
 
■講演会:「鉄鋼産業でのCO2削減技術」
講演者: 日本製鐵株式会社 技術統括部 部長代理 礒原豊司 氏
鉄鋼製造プロセスにおけるCO2削減技術と取組みについて講演頂いた。先ず、日本の高炉効率は世界一との事だが、日本は省エネ技術を導入尽くしており、更なる省エネ技術の導入予知はほとんどない状況との事。そういった中で同社は、「製造工程で温室効果ガスを最も排出しているコークスによる鉄鉱石の還元プロセス」におけるCO2削減開発に注力しており、コークスでの還元剤を水素へ転換技術や、CCUS(CO2の分離・貯蔵)によって30%以上のCO2削減効果を見込んでおり、スケールアップ等の技術反映を行い、2040年には50%以上のCO2削減と技術確立を目指しているとの事。
講演内容から、水素使用量が膨大となるランニングコストや設備更新におけるイニシャルコストにおける課題があるとの事であったが、技術革新による大幅なCO2削減効果のアウトライン構築は素晴らしい技術力であり、今後の産業技術変革が可能な内容だと感じた。
 
■講演会:「セメント産業でのCO2削減技術」
講演者: 日鉄高炉セメント株式会社 技術開発センター センター長 檀 康弘 氏
セメント・コンクリートにおける低炭素に関する技術開発について講演頂いた。
先ず国内のセメント需要の内訳はCO2排出量が高いポルトランドセメントが70%、CO2排出量が低減された副産物を活用した混合セメント等が30%の内訳となっている。
同社は、溶鉱炉から副生する高炉スラグを混合したセメント製造を主力としており、通常のポルトランドセメントに比べて、製造での石灰石使用量を削減し、CO2排出量を低減したセメントであるとの事。特に、混合セメントの低炭素技術開発について、「材料製造時などの排出によるCO2を抑制」と「積極的に吸収・固定する」を主体に、高炉スラグや飛灰等の副産物の利用比率を上げて、クリンカ生産を低減し、CO2排出量を最大限低減した低炭素製品:ECM等(CO2削減率:60%以上)の製造ならびに市場への導入推進を図る事で、セメント業界全体のCO2削減に寄与する内容であった。
講演内容からCO2削減と併せて、サーキュラーエコノミー(循環社会)にマッチした内容と感じた。
 
■講演会:「CO2削減技術の現状の動向」
講演者: 九州大学 都市システム工学講座 主幹教授 都市研究センター長 馬奈木俊介 氏
カーボンニュートラルに向けて現状の動向と、今後実現しなければならない社会構想について講演頂いた。
今後カーボンニュートラルを実現する為にはネイチャーポジティブ社会の実現が不可欠との事で、特に重要なのがカーボン・生物多様性クレジットの実質化と制度構築による社会全体の自発的改善による成長が必要であるとの事。それを実現するにはCO2、自然資本の基礎データ計測と金額化を図れるツールやサプライチェーン全体で3290項目のESG分析・評価基盤構築(生成AIを活用したリアルタイムで社会リスクを分析する「社会リスク版GPT」の開発が完了)であるとともに、日本は世界的にエネルギー需給率が低い為(13%)、ESG分析によるGX:グリーントランスフォーメーションにて価値を高める政策へ転換していかなければならないとの事であった。
講演内容を聞いてリスクの数値化は、よりカーボンニュートラルを迅速に図る、また課題点を詳細に把握する上で最も重要であると感じた。
 
今回の講演会を通して、世界的に課題であるカーボンニュートラルに対する現況と最新技術を学べた有意義な分科会でした。今後も脱炭素やサーキュラーエコノミーのテーマを中心に魅力的な分科会を計画していきたいと思います。
 

以上
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