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粉体ハンドリング分科会 報告

2022年3月16日

2022年1月27日、「マイクロカプセルの製造技術と活用事例」をテーマとして第2回分科会をオンラインにて開催しました。以下に報告します。
□技術講演「森下仁丹におけるシームレスカプセル技術」
森下仁丹株式会社 カプセル事業本部 カプセル開発部 部長 西川雄大氏

下記3つに分けて講演頂きました。
1)会社概要
歴史について:1893年創業。1869仁丹を販売開始、1972シームレスカプセル開発開始、以後応用で現在に至る。仁丹とシームレスカプセルとの関連性はとの質問をよく受ける。生薬を銀箔で包む(仁丹)から液体を包む球体カプセル開発(液体仁丹)の挑戦から始まった。以降カプセル中身をオイル、粉体等30年程度かけて基盤技術を獲得した滋賀工場で微小カプセル量産体制確立、非可食分野も研究を開始した。
2)カプセルについて
3)シームレスカプセルについて

□製品紹介1「日油の油脂コーテイング技術について」
日油株式会社 食品事業部 食品研究所第4グループ(機能食品)花田 暁氏

1).会社概要
国内外販売、生産拠点、研究所があり3分野に幅広い事業構成について説明頂く
2).油脂コーテイングとは
有効成分の表面をコーテイングする技術。芯材に熱が掛からないなどの特徴がある
3).油脂コーテイングの効果
徐放性の付与(溶出を抑える)変色抑制、吸湿抑制が出来る
4).油脂コーテイングの応用技術
マルチコーテイング:造粒+油脂コーテイングしたもの。流動性向上、膜剤の付加、耐酸性の付与、有効成分減衰抑制が出来る。
球形化コーテイング:原末を球形化に加工+油脂コーテイング。被膜性能が高い、流動性向上。高い徐放性付与、生体吸収性(ゆっくり吸収させる特徴)
5).油脂コーテイングにより付与できる機能
要望によって吸湿防止、打錠性向上、徐放性付与、接触防止、マスキングができる
6).大師工場の紹介:油脂コーテイング~包装、充填まで処理している

□製品紹介2「球状多孔質シリカを用いたマイクロカプセルの化粧品原料応用」
鈴木油脂工業株式会社 産業製品マイクロカプセル部 主任 柳 達也氏

会社概要、事業内容説明に続き下記説明頂いた。
1).真球状多孔質シリカ【ゴッドボール】
中実タイプと中空タイプの構造制御や多孔性制御可(小から大まで)が出来る
化粧品分野、生活分野で80-90%の使用実績がある
2).多孔質を用いたマイクロカプセル
化粧品業界ニーズ:感触改良、成分を直接肌につけない、徐放性が求められる
内包材:香料、酸化チタン、酸化鉄等
カプセル化方法:水溶液に入れる、出来上がったカプセルに入れる
トリニテイカプセルTC-30T:色沈み防止、UVカット、しわぼかし効果の詳細説明
超微粒子酸化チタン内包マイクロカプセルボール PCボールWT-35H:再凝集防止、性化低減と感触改良が最大の特徴。日焼け止めがメインとのこと。
抗菌剤内包シリカマイクロカプセル PCボールAG-6H:抗菌活性化が特徴

□製品紹介3「潜熱蓄熱材を内包したマイクロカプセルの活用事例と今後の用途展開」
三木理研工業株式会社 開発技術部 立瀬 大輝氏

1967年創業で所在地は和歌山県で繊維用薬剤と缶材用薬剤を製造している。
潜熱蓄熱材とは何か?余剰エネルギーを補足して活用できる材料。建材に使用され物質の状態変化を利用している(個体-液体の変化時の熱収支)
イメージ:住宅建材中に潜熱蓄熱材床に使用した場合、居室温度上昇・下降が緩やかになる。
三木理研工業様では3種類のカプセルの一つが蓄熱カプセルで、製造工程は水に蓄熱材投入攪拌、重合し噴霧乾燥しボードや樹脂に入れている。PMCD(MF樹脂)とAMC(PMMA樹脂)シリーズがある。PMCD活用事例は建材用積層板、蓄熱マスターバッチ、蓄熱シート、寝具等がある。

□製品紹介4「マイクロカプセル技術を応用したプレコートボルトについて」
株式会社スリーボンド 研究開発本部 技術サービス部 本部技術員 辰巳 優斗氏

会社概要は1955年創業で市場と製品別実績の紹介あり、半分が自動車用品(コーテイング材)、プレコートボルト関係は12%。
プレコートボルト(MEC加工)とは、事前に嫌気性封着材を塗布したもの、短所としてべたつき、かぶれ等があったものをMEC技術によりべとつかない省力・少人化した製品。
スリーボンドさんのマイクロカプセルはシェル罪により真物質を外部から保護するもの、刺激による破壊、除法する目的。
製法はPH調整した液に乳化剤・モノマー投入―乳化しメラミンモノマー投入―反応・脱水・乾燥して単離する。
ThreeBond2400シリーズで締付時のマイクロカプセル変化について、エポキシMEC構成とアクリルMEC構成についての説明と製品一覧の紹介いただいた。用途は自動車部品・工作機器など振動耐久が求められる部分や耐薬品性が求められる部分になり、繰り返しての使用は不可。供給体制について説明頂く、注意点は有機溶剤使用の監視が厳しい国がある点。

講演後、海老原代表幹事より、本日の講演、製品紹介いただいた方へのお礼と他分科会からの連絡を説明頂いた後、松坂コーディネータ(京都大学大学院)より閉会の挨拶があり、分科会を閉会しました。

以上
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