活動報告
合同分科会 報告(粉体ハンドリング&計装測定)
2025年12月17日
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開会挨拶
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基調講演①
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製品紹介①
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基調講演②
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製品紹介②
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基調講演③
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製品紹介③
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基調講演④
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製品紹介④
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閉会挨拶
2025年12月2日、粉体ハンドリング分科会および計装測定分科会の合同分科会として、「超音波振動の発生と粉体物性・特性測定、粉体ハンドリングへの応用」をテーマとした合同講演を行いました。以下に報告いたします。
基調講演と企業からの製品紹介講演を各4件ずつ行った。基調講演1件と企業講演1件をまとめて1セッションとし、合計4セッション行った。
第一セッションでは、京都大学の松坂先生より、粉体に超音波を利用する際に知っておくべき基礎事項について詳しくお話頂いた。粉体の挙動を解析するには,現象の観察が何よりも重要であり、試行錯誤に頼らず,論理的なアプローチを行うと,時間と労力を大幅に短縮して開発を進めら
れること、超音波振動に関しては,振幅,振動数,共振,伝播距離,発熱に対して適切に対処すれば,粒子の付着を低減するための強力なツールとなり、粉体ハンドリング全般に対して、多くの可能性を秘めていることをお話し頂いた。企業講演では、株式会社カイジョーの長谷川氏より、超音波洗浄機についての話があった。超音波洗浄機は20kHz〜3MHzの周波数の超音波が用いられていること、超音波洗浄機による分散はキャビテーションによる物理⼒が主となっていること、周波数が低い超音波は分散傾向になりやすく、⾼い周波数は凝集傾向になりやすいこと、超音波を照射した液中は定在波が発生するため、音圧の強弱ムラが発生するなどをお話頂いた。
第二セッションでは、東京大学の森田先生より、超音波の基礎と応用デバイスの最新の研究結果についてお話頂いた。超音波の発生に用いられる圧電素子の発見、応用の歴史など、粉体関係者にも興味深い話であった。強力な超音波を得るには、通常、共振を利用するが、この方法ではkHzオーダーの特定の共振周波数でしか使えない。そこで、楕円形のブロックで超音波を1点に集めることで、MHz領域の様々な周波数で大きな振幅を得られるようになったとのこと。粉体業界にも応用できる可能性が示唆された。企業講演では、株式会社アントンパールジャパンの水俣氏より、超音波を利用した密度計・濃度系の紹介があった。
第三セッションでは、日本大学の河府先生より、超音波振動による粉体ハンドリングの講演があった。高濃度低速空気輸送では、輸送動力が低減でき、粒子速度が遅いほど効果が大きいこと、閉塞状態からの脱却効果が大きいこと、摩擦低減効果としては、表面振動は粒子材料、音圧は粒子径により効果が変化すること、超音波振動を利用した分離・分級が可能なこと、超音波マニュピレーションでは、粒子径が小さい場合は音響流、大きい場合は音響放射力の影響が支配的であること、流動層では、最小流動化速度を低減でき,管内径が小さいほど効果が大きいこと、液中分散では、キャビテーション発生により,分散しやすくなること、溶存酸素量が大きいほどキャビテーションが発生しやすいが、子速度は遅くなることをお話頂いた。企業講演は、株式会社セイシン企業の山岡氏とユーシー・ジャパン株式会社の土濃塚氏より、ふるいなどに取り付ける超音波振動装置の紹介があった。
第四セッションでは、武田コロイドテクノ・コンサルティング株式会社の武田先生より、超音波減衰法による液中粒子径分布測定の原理と応用についての講演がった。超音波減衰を起こす各要素について、説明があり、どのような原理で粒子径分布やゼータ電位が測定できるのかについてお話頂いた。企業講演では、三洋テクノス株式会社の李氏より、超音波方式の粒子径分布・ゼータ電位測定装置の紹介があった。
所感
・同志社大学東京サテライトオフィスでの技術講演会は、例年、計装測定分科会の単独行事として行ってきたが、本年度は超音波をテーマとして扱うため、粉体ハンドリング分科会と計装測定分科会の合同開催として行った。これにより、本年は、過去最高の参加人数となった。
・超音波の発生、応用デバイス、付着防止への応用、密度・濃度・粒子径分布・ゼータ電位などの測定への応用まで、非常に幅広い分野での講演を集めた。
・参加者からは、非常に勉強になったとのご意見を数多く頂いた。
・講演会後には、参加者を交えた両分科会メンバーでの懇親会が盛大に行われ、今まで比較的交流の機会の少なかった分科会同士の貴重な情報交換と人脈形成の場となり、有意義な交流が見られた。
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