環境エネルギー・流動化分科会 報告

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2020年12月10日~11日、今年度第3回目の見学・講演会を実施しました。
今回はいわゆる新型コロナ第3波が到来する中での開催となりました。このような状況下での見学会開催可否に対しては、関係者間で議論を重ねました。今回は見送るほうが良いのではという意見がある一方、10月26日の首相の所信表明演説以後、グリーンな復興を目指す技術開発・実装の加速が求められており、その為に先進事例等の検討を進めていくことは不可欠であること、またサイエンスを基に適切な対応を実施して、感染防止の実績を示すことができれば、今後の対応に道筋をつけることにもつながる、ということで、政府や協会の指針に準拠しつつ、分科会としての意志を重視して、予定通り見学講演会を実施することを決断しました。
開催にあたっては以下の感染防止対策を徹底しました。
①頻繁な検温 ②バス乗降毎回の手指消毒 ③マスク着用(高性能マスクKN95配布) ④対人距離確保(バス:定員の半分) ⑤密閉空間内の私語自粛 ⑥食事時のマウスシールド(配布)着用 ⑦COCOA導入推奨 ⑧参加者からの感想の報告時には毎回マイクをアルコール消毒 ⑨技術懇親会の中止
このような対応を取ったうえで実施した見学・講演会について以下に報告します。
(今回の見学会は、当分科会前幹事で現バンブーエナジー技術部長の笹内様にご尽力頂きました。)

1)バンブーエナジー:バイオマス発電プラント見学と堀尾先生ご講演
1日目はバンブーエナジー(株)にて、我が国で最初の本格的なORC(オーガニック・ランキン・サイクル)熱電併給設備を備えたバイオマス発電プラントを見学するとともに、当分科会前コーディネータの堀尾正靭東京農工大名誉教授にご講演いただきました。
バイオマス発電プラントはストーカ式のバイオマス燃焼炉と熱媒油ボイラ、ORC発電設備からなり、約1MWの発電と2.6MWの熱媒油供給、4.3MWの温水供給実績を有しています。総合エネルギー効率は約85%と高い性能を実現されていますが、ORC発電採用に当たっては熱の有効利活用がポイントになるとのことでした。
主燃料の竹は燃焼速度が速く、炉内でクリンカを形成して熱交換器閉塞や燃焼阻害を引き起こし、また竹が含む塩素により炉内の耐熱鋼が低寿命化する等の課題がありましたが、ここではバークとの混焼による灰性状調整及びORC適用による熱交換器の表面温度低下で上記の問題を解決しています。また無破砕の生バークの燃焼性は非常に悪いのに対して、竹は着火性が良好で燃焼性が良いことから、両者を混合することで予定外のメリットが生まれています。竹とバークはバイオマスの中では厄介者ですが、両者を掛け合わせることでプラスの効果が得られたそうです。同社の山田取締役からは、採算的には厳しいが社会問題化している荒廃竹林の問題解決及び竹・バークの処理に悩む地元への貢献を図りたい、と熱い想いをお聞かせいただきました。
笹内技術部長から設備の詳細説明をいただいた後、堀尾先生から「CO2排出実質ゼロへの道とバンブーフロンティア事業(略称)の意義_地域に根差した竹資源総合利用システムの社会実装」と題してご講演いただきました。バンブーエナジーを中核とするバンブーフロンティア構想が実現に至った経緯やNEDO実証事業の概要、竹を含む国内バイオマスの利用量に関する状況把握と合わせ、2050年脱炭素・エネルギー自立が経済的に成立すること等大変興味深い研究内容をご提示いただきました。また、バイオマス事業成功にはアントレプレナーのエネルギーが必要であり、バンブーフロンティア事業成功のカギは確かな独自技術に加え、自発的な意欲と地元との協定を自治体が間に立って進めたことも勝因である、とのお話も伺うことができました。

2)大仁産業:木質バイオマスガス化発電設備
2日目は大仁産業(株)にて木質バイオマスガス化発電設備(49kw等)を見学しました。
地元小国杉の未利用間伐材を原料とする木質チップを燃料として、電力供給と熱利用(菊芋乾燥)を行っています。ガス化炉は独・LIPRO社製の2段ガス化炉を採用、乾燥・熱分解工程と燃焼工程を分割することによって、ガス中のタール成分を抑制し、生成ガスは浄化工程なしでエンジンに供給可能となっています。また独立の還元部を常に低温レベルで制御してスラグの発生を抑制し、運転の安定性・安全性が高いガス化炉となっています。
今回のLIPROガス化炉の導入にあたっては直接ドイツの社長とやり取りしながら、自社で国内の運搬、設備設置、運転、維持管理を実施されています。ホッパなど周辺機器は自作されているようで、様々な箇所でコストダウンの工夫が見られました。日頃重厚長大なプラントを見慣れている参加者からは、新たな気づきが得られたとの意見も聞かれました
現地で佐藤社長より導入に至る経緯等を伺いましたが、この場所でバイオマス事業を普及させることで、未利用間伐材に燃料としての価値を持たせ、林業活性化に貢献することでSDGsの模範になるようにとの会長の強い意志のもと、売上げの半分にあたる額を投資されたそうです。採算性だけで考えると小規模規模での事業は厳しいが、森林資源、労働力の地域化、町内に木質チップバイオマスボイラ導入が進むなど、地域に対して導入した意義があった、とのことでした。

今回2社の見学を通じて、バイオマス活用が地元の熱い想いに支えられていることが実感できました。一方で2050年ネットゼロ達成のためには、小規模のバイオマス利活用を事業として普及させるための更なる方策が必要であると感じました。

前回、前々回に引き続き「技術懇親会」は中止といたしましたが、関係各位ご協力のもとフィジカルな見学会で新型コロナ感染者を出すことなく無事に開催することができました。参加者の皆さんからは現実の見学会でなければ得られないものが得られた、との感想も頂くことができました。
今回適切な対策を徹底することで感染防止を実現できた、というひとつの実例として、今後の対応の参考になれば幸いです。
難しい状況の中、多数ご参加頂いた皆様をはじめバンブーエナジー(株)、大仁産業(株)の方々、協会並びに関係各位のご協力に感謝いたします。

カテゴリー: 活動報告, 環境エネルギー・流動化分科会