土用の丑の日と粉山椒

投稿日:2017/07/26

 

今年(2017年)は7月25日と8月6日の2回も土用の丑の日がある珍しい年です。
この日にウナギを食べようと思いますが、最近の不漁、値段が心配です。

さて、ウナギの蒲焼といえば、粉山椒を欠かすことができません。
たまたま実がなる山椒の木が庭にあり、さらに山椒の木で作った
伝来の擂粉木もあったので、昨年春から今年の土用の丑の日を
目指して粉山椒作りに挑戦しました。

山椒は4月に新芽、5月に小さな花、6月に黄緑色で球状の実が付き、
夏には直径5mmほどの深緑の実になります。
秋口になると棘に気を付けて実を収穫、洗った後1ヶ月余り陰干し、
乾燥した実から茶色の皮を剥ぎ取りました。これが、粉山椒の原料です。
ガラスコップ2杯の実から、その1/4くらいの量の皮しか採れません。

風が冷たくなり、湿度が下がると粉砕です。
皮を少しずつ擂鉢に入れ山椒の木の擂粉木で時間をかけて粉砕、
味噌漉し網でふるい分け、粒子径300um以下の粉山椒にしました。

力と時間をかけての粉砕で、固いといわれる山椒の木製の擂粉木も
擂り面が摩耗しています。山椒の実と山椒の木の粉が混じった粉山椒です。
木の粉混じりとはいえ、香りも上々です。
正月にはおせち料理に使用、試食も済ませました。問題なしです。

そして、いよいよ7月、土用の丑の日も間近。
密閉したガラスの小瓶の中で自家製の粉山椒が出番を待っています
(2017年7月メルマガより)

菜の花漬と花粉

投稿日:2017/05/10

京都には、季節ごとにその季節を代表する漬物があります。
今の季節=春を代表するのは「菜の花漬」です。
発祥の地は滋賀県といわれ、菜の花のつぼみや若い葉・茎を摘み取り、
水洗いをして、食塩で1週間ほど浅漬けにしたものです。
鮮やかな緑の中に点々と黄色い花の色が見られ、
まさに春を感じさせてくれる食べ物です。

しかし、このような形の菜の花漬は比較的新しいものであり、
本来はつぼみではなく満開時の菜の花の穂先を摘み取り、
これを水洗いして数ヶ月漬け込んで古漬けにしたものでした。

主原料の菜の花の黄色に加え、古漬けの過程での乳酸発酵作用によって
全体が黄色になることが特徴です。
加えて、その黄色を鮮やかにするため漬け込みの時、花粉が失われないよう
特に丁寧に扱われ、花粉も主役になっている珍しい食べ物です。
この黄色い古漬けは「黄金漬(おうごんづけ)」と呼ばれ、夏の終わりから秋に
かけて賞味することができます。

そしてもう一つ、粉の効用もあります。
それは菜の花にはビタミンBやビタミンCが多く含まれ、これが花粉症のアレルギー
症状を軽減する効果を持つといわれていることです。
春は「菜の花漬」でスギ花粉症を、秋は「黄金漬」でブタクサ花粉症を、
花粉を以て花粉症を制するというのは大げさでしょうか。
(2017年3月メルマガより)

かんかん地蔵とねずみ小僧の墓

投稿日:2017/03/31

“鐘一つ売れぬ日はなし 江戸の春”、榎本(寶井)其角作
の俳句ですが、景気も悪くないのでしょう。桜の花が咲く中、
大勢の人が繰り出した浅草寺境内が眼に浮びます。
その浅草寺本堂の西北、境内の石塔の下に銭が埋められている
ということからこの名前が付いたといわれる銭塚地蔵堂があります。
そして、その隣には小石などで叩くと「かんかん」と音がする
「かんかん地蔵」が祀られています。昔から、叩いた時に出る石の粉、
これを財布に入れておくとお金が貯まるといわれていたため、
削りに削られ、お地蔵様は形のわからない石像になってしまいました。
今では削ることは禁止、前におかれた小石で叩いてお金が貯まることを
お願いするだけになっています。運がよければ叩いた時に微量の粉が
出るかもしれません。大金を手に入れるより、この粉自体を手に入れる
ことの方がズ~ッと難しくなってしまった、貴重な粉のお話です。
もう一つ、両国の回向院境内には「ねずみ小僧」の墓があります。
ここも激しく削り取られたのか、墓石は二代目となり、墓石の代わりに
削り取り専用の石柱があります。簡単に削れませんが、それを削って
出た石の粉は受験、商談にご利益があるそうです。
(2016.3月メルマガより)

芭蕉の句と米ぬか

投稿日:2017/02/09

時代は元禄、季節は冬、所は現在の東京都江東区、隅田川沿いの芭蕉庵だと思います。
晩年(といっても50歳)の松尾芭蕉翁が詠みました。

寒菊(かんぎく)や 粉糠(こぬか)のかかる 臼の端(はた)

寒菊の小さな花が咲いている庭先、置いてある臼の縁に米ぬかが少し残っている、という
冬の情景が目に浮かびます。

ここに詠まれている「臼」は、抹茶やきな粉を挽く碾(ひ)き臼ではなく、
餅を搗(つ)く時に使う搗き臼です。
この臼に玄米を入れ、杵で搗いて米粒の表面からぬかを落とすのです。
米5升(約7~8kg)に対して500~1000回搗いたといいます。搗いた米はふるい分け、
白米と米ぬかに分けます。上の句は臼の縁に残った米ぬかを読んだものでしょう。

米搗きは結構時間がかかり重労働だったのですが、最近では「道の駅」などに置いてある
コイン精米機を使うと、数分間で済みます。白米は持って帰りますが、米ぬかは、
たいていの人はそのまま残していきます。欲しい人は勝手に持って帰ってよいようです。
そのせいでしょうか。一般に、米ぬかにはあまり関心は払われていません。

米ぬかの色は?粒子径は?その用途は?・・・答えられるでしょうか。
米ぬかは、黄色に近いうす茶色、粒子径は100um前後のふわふわの粉体、油脂、洗剤、
化粧品の原料として、また、ぬか漬け、飼料、消臭材用にも使われ、調理用のレシピも
あるという有用な粉体です。

(2017年1月メルマガより抜粋)

たんばのこゆき

投稿日:2017/01/11

寒そうな京都の北西の空です。山々の向こう、丹波地方
では雪がチラついていそうです。
平安時代後期の同じように寒い日、後に鳥羽天皇となる
幼い男の子が、雪が降ってくるのを見て、《ふれふれこゆき、
たんばのこゆき》と歌っていました。これを聞いた物知りが
「《こゆき》とは、空から落ちてくる雪が、米を臼で搗いて
できた粉を篩でふるっている時に、落ちてくる粉と似ているので
《粉雪》という。その後段の《たんば(丹波)のこゆき》は、
《たんまれ(=溜まれ)粉雪》と歌うのが正しい。(天皇が)
幼いので間違われたのだ」といったことを、御所の女官が
日記に記しました。この話は、徒然草 第181段にある話です。
何となく微笑ましい情景ですが、粉体にたずさわる者としては、
「この粉は、今でいう『新粉(しんこ)』であり、主食用
ではなく、菓子の材料ではなかったか。粉砕後、篩で粗粒子
や異物を除去する開回路工程が行われている。使用されていた
ふるい網の材質は何か、目開きはどれくらいだったのか」など、
別の見方をしてしまいそうな話でもあります。
(2016年1月メルマガより)

砂盛り

投稿日:2016/12/08

そろそろお正月を迎える準備をする頃になりました。
京都府の南部の山城地方には大晦日から元日にかけて行われる
粉体に関連した風習があるそうです。
これは、家の周りや玄関に通じる道に砂を撒いたり、
玄関先に円錐状に砂を盛るというものです。
砂盛りの上に榊や南天、あるいは松の小枝を差すこともあります。
砂を撒くのは神様が来られる道や家を清めるためであり、
盛った砂は神様の憑代(よりしろ)だそうです。
大阪府東北部、三重県伊賀・北勢地方、神奈川県西部でも
見られると聞きました。
忘れられつつある風習ですが残しておきたいものですね。
そういえば、近くの神社の社殿前にも
砂盛りがあるのを見たことがあります。
初詣の時に確かめてみられてはいかがでしょうか。

さて 先月末に行われました 国際粉体工業展東京2016
たくさんの方にご来場いただきありがとうございました。
その中でも 併催行事の 粉体工学入門セミナー
(入門の入門編)も大盛況でした。
教育部門や分科会でも有用なセミナーや講演を開催しておりますので、
粉体技術を学ぶために、是非ご活用ください!
(2012年12月メルマガ改訂版)

種々薬帳

投稿日:2016/11/22

今年(2016年)も10月22日から11月7日まで奈良国立博物館で正倉院展が開催されました。
この正倉院展では、正倉院所蔵の多数の宝物から数十点が選ばれ公開されます。
2010年の正倉院展では、聖武天皇の皇后であった光明皇后が東大寺の大仏様に献納された
薬物の目録「種々薬帳」が公開されました。そこには、動物由来、植物由来、鉱物由来の
薬物60種類の名前が記載されていました。しかも、そのうちの40種類の薬物が今も正倉院に
保存されているとのことです。

そこで、どのような粉剤がこの「種々薬帳」に記載されているか探してみると、はっきり
「粉」と記されているのは「雲母粉」1種類のみ。あとは粉体と想像される朴消(硫化ナト
リウム)と芒消(硫酸マグネシウム)の2種類、そして、粉砕して用いられたと思われる
寒水石(炭酸カルシウム)、理石(硫酸カルシウム)や龍骨、龍角と呼ばれる化石鉱物系薬物
が約20種類でした。他に、粉に関係のある薬物が無いか探したところ、見つけました!
「鬼臼(キキュウ)」、「臼」という名前がついた薬です。しかし、これは解毒薬(煎じ薬)
になる植物の名前でした。

なお、今年公開された宝物の中にはレアメタル、約1kgのアンチモン塊があります。いったい
何に使われたのか?粉にしてアイシャドウ?しかし、国外で使われた記録はあるものの
奈良時代の日本にはその習慣はありません。では、光電変換素子、電池材料・・・?
(2017年10月メルマガ改訂版)

干し柿と柿霜(しそう)

投稿日:2016/10/21

秋の果物として先ず頭に浮かぶのはカキ(柿)。

そして、秋が深まると干し柿も出てきます。
干し柿の表面には白い粉が付着して(吹いて)いて、
時としてカビと間違われることがありますが、
この白い粉はカビではなく、柿霜(しそう)
と呼ばれる果粉の一種です。

砂糖の何倍も甘いといわれ、
甘いお菓子の少なかった昭和30年ころまでは
干し柿は子供が喜ぶおやつでした。
また、柿霜は甘味料というだけではなく、
口内炎、咳止め、咽頭痛のくすりでもありました。

干し柿は甘柿からはつくれません。
秋が深まって寒くなる頃、渋柿の皮をむき、
日当たりと風通しがよい、
雨のかからない軒先などに紐で吊るし、
半月から1ヶ月ほどおいておくと干し柿になります。

暖かかったり、雨に濡れたりすると、白い果粉ではなく、
緑色のカビが生えたりするので注意が必要です。

最近は道の駅などで干し柿用の渋柿も販売されていますので、
干し柿つくりに挑戦されてはいかがでしょうか。
(2014年10月メルマガより)

早口ことば

投稿日:2016/09/16

食欲の秋に備え口の中のコンディションを整えるため、
歯石除去をしてもらいました。
歯の表面や歯と歯の間の歯垢というのでしょうか、
汚れをとってもらったのですが、
何だか秋風が通るようで口の中がスースー。
うまくしゃべれないのではないかと心配になりました。
「生麦、生米、生卵」、
「カエルぴょこぴょこ三(み)ぴょこぴょこ
合わせてぴょこぴょこ六(む)ぴょこぴょこ」
など早口ことばを試したのですが、口の動きは絶好調。
一安心、「しゃべるぞー! 食べるぞ-!」です。

この早口ことばですが、「粉」という言葉が入ったものもあります。
ちょっと長いのですが、
「紺屋の弘法大師がこの子を抱いて 粉(こ)を喰うて
この子の目に粉(こ)が入って
もうこの子を抱いて粉(こ)を喰うまい」
というものです。
もっとハイレベルになると、
「鴨(かも)米(こめ)噛(か)みゃ
小鴨(こがも)粉(こ)米(こめ)噛(か)む
小鴨(こがも)米(こめ)噛(か)みゃ
鴨(かも)粉(こ)米(こめ)噛(か)む」
というものもあります。
舌を噛まないように注意して、一度挑戦してみてください。
(2014年9月メルマガより)

赤とんぼと揖保川

投稿日:2016/08/04

これから8月にかけて、暑さもピークになります。
それでもお盆前になると、夕暮れ時は少し涼しくなり、赤とんぼも見られ
童謡「赤とんぼ」が頭に浮かびます。
「赤とんぼ」の歌詞は、兵庫県龍野(現たつの市)出身の
作詞家 三木露風が作ったもので、
たつの市の白鷺山公園には「赤とんぼ」の歌碑があり、
その東側には揖保(いぼ)川が流れています。
さて、この白鷺山ですが、昔は粒丘(「いひぼをか」と読みます)
と呼ばれていたようです。
この名前、実は1300年前に編纂された播磨国風土記
に出てくる地名なのです。
風土記によると、この地を支配していた
在地の神さまが外来の神さまと
土地争いをする中、丘に登って食事をした時、
急いでいたため口から飯粒(いひぼ)を
こぼしたのでその丘を粒丘(いひぼをか)と呼び、
そばを流れる川を揖保(いぼ)川と呼ぶようになったとのことです。
あまり粉体と関係がない話のようですが、
民俗学の分野では、風土記の争いの記述は
北播磨の山地を源とする川に流れて来る
粉体=砂鉄の獲得争いを反映したものと言われています。
(2014年7月メルマガより)

半夏生

投稿日:2016/06/29

おなじみの粉体=小麦粉を使った代表的な食品であるうどん、
うどんの日が7月初めにあるのをご存じでしょうか。年によって
7月1日なったり、2日になったり、変わります。変わる理由は、
うどんの日を夏の最初の雑節、半夏生(はんげしょう)の日と
しているからなのです。そして、半夏生は夏至の日から11日目
ということになっていて、その夏至は年ごとに動くため、うどん
の日も動きます。
この半夏生は、その年の田植を終わる日でもあり、この日には
天から毒気(有害浮遊粒子?)が降るといい、井戸に蓋をして
農作業を休む日でしたが、麦の収穫期にもあたり麦粉、小麦粉と
関係がある日でもあります。
近畿地方では、この日に蛸を食べる風習が残っていますが、
もう一つ、つぶし小麦と、もち米を混ぜて搗いた小麦餅にきな粉
をまぶして半夏生餅として食べる地域もあります。関東地方でも、
半夏生に小麦餅を搗き、焼き餅にして食べる風習があるようです。
さらに、讃岐うどんで知られる香川県讃岐地方では、半夏生の頃
にうどんを打って食べるという風習があり、これに因んで7月初め
の半夏生が「うどんの日」として制定されたそうです。
(2016年6月メルマガより)

送粉者

投稿日:2016/04/26

暖かくなるにつれて、さまざまな花が咲きだしました。
それらの花に誘われて色々な蝶やハチがやってきます。
小学生だった頃、理科の時間に「蝶々やハチは、花から
蜜をもらい、その代りに花粉を運ぶ」ということ習ったのを
思い出される方も多いと思います。

しかし、その花粉をオシベからメシベに運び、受粉をさせる
昆虫を含む動物を「送粉者(そうふんしゃ)」と呼ぶという
ことは余り知られていません。

蝶やハチをよく見ると、肢や胴体に毛が密生していて、
花粉が付着しやすくなっています。ハチの仲間には、その毛を
震わせ、帯電させて花粉を付着させたり、肢先が花粉を
持ちやすいような形になっているものもいます。カタツムリや
ナメクジは、そのねっとりとした体の表面に花粉を付けて
運びます。そのほか、ヤモリやトカゲ、コウモリ、鳥、サル
なども送粉者となります。中には花の蜜だけ採って、花粉を
運ばない盗蜜者もいますが、区別をつけにくく、やはり
送粉者と呼ばれるようです。

送粉者として馴染みが深い蝶やハチは、一匹が運ぶ
花粉の量は少ないのですが、受粉という面から見る非常に
効率がよく、個体数も多いので、果物など農作物の栽培には、
その存在を欠かすことができません。
(2016年4月メルマガより)

お水取り

投稿日:2016/03/01

早春、奈良東大寺では毎年、「お水取り」で知られている
修二会の法会が行われます。練行衆と呼ばれる十一名の僧侶が、
人々が犯す様々な過ちを二月堂本尊の十一面観音の前で懺悔
するのです。今年(2016年)で1265回目、前年の12月から始まり
2月の半ばから前業、3月1日から14日までが本業という法会です。

本業では、先に堂に上る準備役の一人を除いた十名の練行衆が
午後7時に二月堂に向かいます。暗闇の中、その道を照らすため
10本の「お松明(たいまつ)」と呼ばれる大きな松明が焚かれ、
童子と呼ばれる人々がそれを担いで石段を登っていきます。
そして堂上に着くと、欄干に沿って、松明の火の粉を撒き散らし
ながら回廊を駆け抜けるのです。欄干から堂の下に向かって、
まさに「粉を散らすように」火の粉が落ちていきます。
浴びると、その一年無病息災に過ごせるといわれている
「ありがた~い粉」です。

ニュースなどで見られる「お水取り」は3月12日のことで、
この日は籠松明という大型の松明11本が焚かれ、最も勇壮な
火の粉の乱舞シーンが見られる筈ですが、例年大混雑、遅く
行くと二月堂近辺にも近づけません。見物には3月1~11日の
平日がお奨めです。
(2016年2月メルマガより)

寒晒(かんざらし)

投稿日:2016/02/17

今年は大雪も降り、まだしばらく寒い日が続くようです。
さて、寒い季節を象徴する言葉として「寒晒(かんざらし)」
という言葉があります。

日本独特のスイーツとして白玉がありますが、
冷温設備の無かった時代、白玉の材料である
白玉粉は厳寒期にしか作れませんでした。
その工程は、冬の冷たい水でもち米を洗って水を切り、
水挽き(みずびき)=一種の湿式粉砕、水を加えながら
石臼での粉砕=して、出てきた懸濁液を布袋で受け、
さらに冷水に晒しながらきめ細かな細粒分のみを絞り採って、
それを寒風に当てて天日乾燥するというものです。
これを「寒晒」と呼んでいます。
聞くだけで思わず震えが来てしまいますね。
しかし、この冷水を使った粉砕と布による分級、
そして冷水に晒す灰汁抜き、寒風による乾燥という、
冬の寒さの中での工程が白玉の滑らかな舌触りと
独特のマイルドな味を生み出すそうです。

夏のスイーツとしての白玉は、
白玉粉を水でこね、丸い団子にして蒸し、
それを冷水で冷やし、砂糖や蜂蜜で作った蜜を、
時には甘い茹で小豆をかけていただきます。
九州の島原地方では、今でもこの白玉スイーツを
「かんざらし」呼んでいて、
白玉粉が寒い季節に作られていたことをうかがわせます。
(2014年2月メルマガより)

粉を使った遊び

投稿日:2016/01/18

粉を使ったお遊びのご紹介です。
ぜひ、ご家庭でお試しください。

まず、ふたの付いたガラスコップのような透明容器
(カップ酒の容器やふりかけごまの容器が適当)を用意します。
この容器の底から1/3~1/2位の深さのところまで
細かめの乾いた砂(砂は粗目の味噌こしを通すと1mm以下なります)
を入れ、そこに正月飾りに付いている南天の実や
センリョウの実を3~4個、5~10mmの大きさの
小石2~3個を加え、スプーンで砂を掘って底の方に送り、
その上に砂をかけ、表面を平らにして準備完了。

容器にふたをして、水平方向に2~3回/秒の速度で
10~20秒間振ると、下方にあった実や重い小石も
砂の表面に浮いてきます。
容器を横に寝かせて振っても同じように
実と小石は表面に浮いてきます。
よく見ると砂そのものも、粗い粒が上層に、
細かい粒が下層になっています。
振る方向を垂直方向にしても、
時間はかかるものの同じことが起こり、
振り方によって実や石の運動パターンが
変わっていることも分かります。

この現象、粉体分野では「パーコレーション分離」、
あるいは「ブラジルナッツ効果」として知られています。
なぜこのようなことが起こるのか、頭の体操にどうぞ。
(2014年12月メルマガより-改訂版-)

スポーツと粉

投稿日:2016/01/06

毎年1月15日に一番近い日曜日、京都の三十三間堂では
通し矢の行事が行われます。
江戸時代までは何本の矢を射ることができるかを競って、
最高は一昼夜で一万本以上の記録があったそうです。
最近では通し矢ではなく、「弓の引き初め」が主となり、
成人を迎えた若い女性が大勢参加します。

和弓では、矢を射る時に右手の指を保護する
ユガケという皮手袋のようなものを着けますが、
さらに、その上にギリ粉というすべり止めの粉を塗ります。
松脂を煮詰めて固めたものをすり鉢や乳鉢で粉にしたものです。
もみ殻の炭の粉を混ぜることもあります。
また、左手にはふで粉という粉を付けることもあるようです。

このようなすべり止めの粉は多くのスポーツでも使われてます。
よく知られているところでは、野球のピッチャーが使う
ロジンバッグがあります。
この中に入っている粉は炭酸マグネシウム、松脂粉、
高分子樹脂粉の混合粉です。
他には体操、重量挙げ、陸上の投てき競技などでも
使われますが、炭酸マグネシウムが主成分のようです。

受験シーズンも本番、お知り合いに受験される方おられましたら、
これらのすべり止め粉をプレゼントされてはいかがでしょうか。
多くはスポーツ用品店で買えますよ。
(2014年1月メルマガより)

亥の子餅

投稿日:2015/10/21

10月14日から16日の3日間、インテックス大阪4,5号館
で開催された当協会主催「粉体工業展大阪2015」は、
10月14日 2,596名、10月15日 2,583名、10月16日 3,389名、
3日間合計 8,568名と多数の方々にご来場いただき、大盛況
のうちに閉幕することができました。ご出展、ご来場の皆様
には誠にありがとうございました。
次回は、2016年11月30日(水)-12月2日(金)に
東京ビッグサイトで「国際粉体工業展東京2016」が開催
されます。ぜひ多くの企業の皆様にご出展いただきますよう
お願い申し上げます。
国際粉体工業展東京2016の詳細については、
公式サイト http://www.powtex.com/tokyo/ をご覧ください。

さて、粉体工業展大阪が終わり、気がつけばもう10月後半
ですが、旧暦の10月(現在の10月後半から11月にかけて)は
亥(い)の月と呼ばれます。
亥の月と言えば、高校時代の10月、駅伝の練習で田舎道を
走っていた陸上部員が後ろから追いかけてきたイノシシに
追突され、怪我をしたことを思い出しました。校内からは
「そのイノシシを駅伝に出場させろ」の声が上がりました。
さて、このイノシシ、神様の御遣いでもあり、京都の護王
神社では狛犬ではなく狛猪が奉られています。毎年11月1日
には亥の子祭りが行われ、ゴマ(黒)、あずき(赤)、クリ
(うす黄)の粉を混ぜて亥の子餅が搗かれます。同じ頃、
和菓子屋さんの店頭でも、イノシシの姿に似た亥の子餅が
見られます。亥の月、亥の日、亥の刻(2015年は11月19日
午後10時ころ)、これを食べると無病息災、火厄除け、
子孫繁栄の願いが叶うとされています。本来、亥の子餅には
上記の粉に加え、もっと色々な粉を混ぜるようですが、
どのような粉を混ぜるかは特に決まりは無く、それぞれの店
でいろいろ工夫されているようです。
(2015年10月メルマガより)

粉もんの本場 大阪

投稿日:2015/09/24

10月14日~16日、粉体工業展大阪2015がインテックス大阪
で開催されます。ご来場をお待ちしております。

さて、開催地の大阪は、さすが粉もん(コナモン)の本場、
地元のお寺の名前がついた粉まであります。その一つが白玉粉
なのですが、関西では観心寺(河内長野市)粉と呼ばれています。
さらにもう一つ、もち米の干飯を粉砕し、粒々を含んだ粉にした
道明寺(藤井寺市)粉と呼ばれる粉もあります。観心寺粉は
各種団子に、道明寺粉は関西風の桜餅に姿をかえて和菓子店で
売られています。

加えて大阪には、粉というよりは粒を使ったというべき
でしょうか、「粟おこし」というお菓子もあります。「粟」と
いいながら粟ではなく、米を蒸して餅状にし、これを薄く
伸ばして乾燥してから粒子径1mm程度に粉砕、整粒して少量の
ゴマ、生姜、黒砂糖など加えて、さらに混合。そして、熱して
溶かした砂糖や水飴にこの混合物を練り込み、固めてから、
食べやすい板状や角形にしたものが粟おこしです。昔からの
お菓子ですが、最近はもっと粒々の粒子径が大きいバニラ味、
アーモンド味、ピーナッツ味などもあり、人気があります。

粉砕、乾燥、分級、混合、混練、成形と数々の粉体操作を
経て作られ、粉体操作の固まりとも云えるこのお菓子、大阪の
おみやげとしておススメです。
(2015年9月メルマガより)

粉浜

投稿日:2015/09/07

今年も、インテックス大阪で
粉体工業展大阪2015【10月14日(水)~16日(金)】
とAPPIE産学連携フェア2015【10月15日(木)】
が開催されます。
今回はイベントの会場が、下の階と上の階という、
ごくごく近い場所での開催になりますので、
ぜひとも両イベント共にお越しいただけますと幸いです。

さて、その粉工展の最寄駅「中ふ頭」からニュートラムに乗って15分、
終点「住之江公園」で下車、東北に徒歩15~20分のところに、
「粉浜」という町があります。(有名な住吉大社の近くです)

地名の由来は、
「昔、このあたりは住吉大社で使う材木を
陸揚げした海岸、木(こ)の浜から来た」とのこと。
粉と関係無し、残念!と思いきや、
「砂が細かい海岸だったので粉の浜」という別説もありました
(ちょっと余計な話、今は海から離れていますが、
その昔、遣隋使、遣唐使を乗せた船は住吉大社の傍から出港しました)。

地元粉浜商店街には、やっぱりありました、
たこ焼き屋さんやお好み焼き屋さん。
もちろん食べました、たこ焼きに加えキャベツ焼きというものまで。
さらに家庭用品店には「粉つぎ」という
計量カップのようなものがありました。
ご存じでした?これ。
粉を出し汁で溶いた生地をたこ焼き器の
丸いくぼみに注ぐ容器です。
さすが「粉もん」の本場、大阪、奥が深そうです。
粉体関係者として、粉浜も見逃せません。
粉体工業展大阪2015見学のオプションとして
粉浜訪問を加えられてはいかがでしょうか。
(2013年9月メルマガより-改訂版‐)

オシロイバナ

投稿日:2015/08/24

「暑いっ!」としか言葉が出てこない日々が続きますが、
それでも日暮のころ、草むらに赤、白、黄の可憐なラッパ型
の花を見かけるようになりました。花が咲く時間から、英語
ではFour O’ clock、中国語では洗藻花、日本語では夕化粧、
別名オシロイバナと呼ばれています。
1~2週間咲き続けるのですが、花が落ちてしばらくすると、
ガクにあたる部分に直径5mm位の丸い、黒色の実がつきます。
爪で割ると胚乳が出てきます。普通、胚乳は固まりですが
オシロイバナの場合、これが粉なのです。この粉の成分は
主にでんぷんであり、ニキビや吹き出物の治療のため、
これを水で捏ね、1日数回患部に塗っていたとの話も聞きます。
江戸時代には水銀や鉛化合物の白子(おしろい)の代用と
しても使われていたようですが、水銀や鉛の危険性の認識が
薄かったのでしょうか、オシロイバナの白子はあまり普及
しませんでした。しかし、近年まで女の子がママゴトでおしろい
として使ったりしていました。このように、女性になじみの
ある花ですが、花が細長いため、長い口吻を持つ大型のスズメガ
も寄ってくるので、女の子に悲鳴をあげさせたりもします。
オシロイバナは生命力が強く、黒い実(種)を庭に撒いて
おくと、次の年には花が咲き、花粉とは違った粉、胚乳粉を
楽しむことができます。
(2015年8月メルマガより)

 

月月粉

投稿日:2015/08/10

「月月粉」、これは何の名前かお分かりになりますか?
読みはYueh Yueh Fungで、
日本では夏とあまり関係が無いと思われています。
しかし、アイルランドには”The last rose of summer”
という民謡(日本名は”庭の千草”)もあります。

ということで、上の答えはバラの名前ですが、
このバラはオールドローズと呼ばれる種類に分類され、
名前からわかるように中国系です。
四季咲きなので夏でも見られるかも知れません。
花は直径8~10センチ、八重でピンク、
樹高は1m足らずです。
「月月粉」の意味は「永く続くピンク」、まさに名前のとおりです。
中国系のバラには「月月粉」の他に
「一棒粉」、「粉粧楼」、「香粉連」など
「粉」の字が付いた名前のものがあり、
これらはすべてピンクの花を咲かせます。
中国語ではピンクのことを「粉紅色」と書くそうで、
ここからピンクのバラには「粉」のついた名前が多くなったようです。

ところで、漢和辞典を見ると「粉」の文字には
石灰粉の意味もあり、そこから白色を指すこともある
と書いてありました。
白色と紅色を混ぜるとピンクになる
という中国語は合理的ですね。

(2013年8月メルマガより)

わらび餅

投稿日:2015/07/29

うだる様な暑さの京都からお届けしております。

この時期 日が暮れてほんのすこーし涼しくなると
♪わらび~もち の売り声が聞こえてきます。
軽トラックのスピーカを通しての売り声ですが、
昔は屋台を引きながら「チリン、チリン」と
鐘を鳴らして売っていたとのことです。
やっぱり鐘の音の方が涼しそうですね。

昭和30年ころまでは、関西地方では、
屋台で買えるわらび餅、白玉、志がらき(しがらき餅)などは、
夏を感じさせる手軽なスイーツとして親しまれていました。
わらび餅はわらびの地下茎を臼ですりつぶして
水簸で精製したわらび粉(最近はわらび粉入手難のため
甘藷でんぷんなどを混ぜた混合粉)から、
白玉は精白したもち米を水に漬け、
柔らかくして磨砕、乾燥した白玉粉から、
志がらきはもち米を蒸して冷やし、
乾燥後、粗く砕いた道明寺粉とよばれる粉から作られます。

いずれも食べる時は、砂糖やきな粉などを
まぶすというように粉との関係が深いものです。
志がらきは、最近なかなか見られませんが、
わらび餅や白玉は今でもポピュラーなものですね。

夕涼みのひと時、原料の粉の製造工程に思いを馳せながら、
やさしい日本の味を楽しみください。
(2013年7月メルマガより)

 

はったい粉

投稿日:2015/07/02

それは年配の人にはなつかしい、粉のおやつでした。
世の中があまり豊かでなく、子供たちにもなかなかお菓子
が与えられなかった昭和20年代~30年代の初めまで、京都
の町の家々には農家のおばさんが「はったい粉ありますけど」
と言って売りに来ていたと聞いています。お母さんが
それを買って、少しだけ砂糖をまぜて、おやつとして
子供に食べさせてくれました。

この「はったい粉」、関東地方では「麦こがし」と
呼ばれていたそうですが、その名前からも分かるように
大麦の粉=乾煎りした大麦を石臼で挽いて粉にしたものです。
麦の収穫期に合わせ、初夏になると出てきたようです。

最近、スーパーでも見かけることがありますが、香りは
よいものの、甘くはありません。そこで砂糖を混ぜたの
ですが、やはり、あまりおいしいとはいえません。しかし、
昭和30年代初めに小学生だったおじさんに御馳走したところ
「このまずさがうまい」と訳の分からないことを言いながら、
100g入りの袋の1/3くらいを食べてしまいました。
「吸うと咳き込むから、粉を吸い込まないように食べること、
コツが要る」との解説つきでした。
(2015年6月メルマガより)

七夕と「粉」

投稿日:2015/06/12

今までもご紹介していますように、
伝統的な年中行事にしばしば粉が関係することがあります。
今回は七夕、ただし、粉といっても「こなもん」です。

平安時代、七夕の日には、米の粉と小麦の粉を混ぜて水で練って、
縄のような形にして油であげた麦縄(むぎなわ)
という菓子を食べる風習がありました。
元は中国から来た厄除けの行事だったようで、
七月七日に縄状の索麺(さくめん)という
麺=麦縄(むぎなわ)を食べました。
この索麺が素麺(そうめん)に変化して、
日本でも七夕の日には素麺を食べるようになったということです。

現在の素麺は小麦粉を塩水でよく練って生地を作ります。
その生地を押し広げて、延ばし、熟成させ、
そしてまた引き延ばして熟成という
作業を繰り返して作ります。
周囲の温度が低いとよく延び、
口当たりも良くなるといわれています。
そのため、昔は寒い季節に作られていたようです。
使用するのは小麦粉の中でも良質のでんぷんを含み、
タンパク質が10%以下の中力粉です。

暑さに向かう七夕の夕べ、
口当たりのよい冷たい素麺もいいですね。
(2014年6月メルマガより)

吹上浜 砂の祭典

投稿日:2015/06/02

6月というのにこの暑さ。
夏が来るのが恐ろしい、、、事務局です。
夏といえば、夏休み。
海岸で砂の山を作ったり、自分の周囲を砂の壁で囲ってお城にしたり、
楽しかった思い出は尽きません。
これは正に粉体成形や粉体ハンドリングの技術。

思えばその頃から粉体に縁があったようです。
砂山や砂の城は子供の遊びですが、最近は大人までがこの分野に進出。
札幌の雪まつりには及びませんが、砂で数メートルの高さの建造物、
人物やキャラクターの砂像を作るイベントが全国各地の砂浜、
砂丘で開催されています。
場所が水辺で材料が砂であるため開催期間は
普通4月から8月にかけての1週間くらいです。
有名なところでは毎年5月に開催される
鹿児島県南さつま市の「吹上浜 砂の祭典」があります。
今年(2015年)第28回が5月1日から31日に開催され、
国内のみでなく海外からもプロの砂像作家が参加して
作品の出来栄えを競いました。
中には高さ10メートルを超す砂像(砂の彫刻)もあったようです。

粉体の扱いと芸術感覚に自信のある方は、
お近くの砂像コンクールに挑戦されてみてはいかがですか?
世界の舞台があなたを待っているかもしれません。
(2013年6月メルマガより-改訂版-)

日本人形と粉

投稿日:2015/05/22

人形店の前を通りますと、ひな祭りまでは「雛人形展示中」、
端午の節句の頃までは「五月人形展示中」という張り紙が出て
いました。張り紙は無くなったのですが、まだ、鎧や兜が置いて
あり、それに誘われ、店に入りました。乗用車1台と同じくらい
の価格という人形など見て回っていると、ピピッと感じるものが
ありました。石臼の摺り面の目のパターンをデザインした表彰盾
が置いてあるではありませんか。銘板には伝統工芸関連の協会創立
15周年記念の「新商品コンクール 知事賞」と刻してありました。
店のご主人も人形と石臼の関係は「わからない」ようですが、
日本人形の修理には粉が欠かせないとおっしゃっておられました。
人形の手が外れそうだと、「寒梅粉」という米粉を水で練った糊
で接着し、顔や頭の部分の傷、ヒビ、欠けなどは「桐粉」という
桐の木の粉を寒梅粉の糊で練ったペーストで埋め、その上から
「胡粉」を塗るそうです。この「桐粉」には種々の粒子径のもの
があり、修理対象によって使い分けられていることや、目や口の
色があせている場合には、墨や紅粉で「化粧直し」されることも
教えていただきました。
説明されたご主人自身も「粉を使うことが多いですな~」と
感心しておられました。
(2015年5月メルマガより)

疑似粉体(ウドン粉)

投稿日:2015/05/12

昨年経験した、疑似粉体のお話です。
モロキュウ、かっぱ巻き、サラダ、漬物、
楽しみにして栽培していたキュウリがやられました。

梅雨に入る前の今頃、葉っぱが大きくなり始めた時、
その葉っぱの表面が白い粉を吹いたようになりました。
園芸店に相談すると「ウドン粉病です」との宣告。
早速、粉で粉を制そうと重曹(炭酸水素ナトリウム、
これも粉体です)を買って散布しましたが、
茎全体に広がったこのウドン粉が、隣の茎も、
またその隣茎にも、というように手遅れ、全滅状態です。
残念!粉にやられたか、と少し気落ちをしましたが、
園芸店に聞くと「これは粉ではなく、白色のカビ」
ということでした。
防除法は、水撒きを絶やさず、土に栄養をあたえ、
適度に剪定して風通しをよくすることだそうです。
そんなことより、「一番よいのは、
少し値の張る強い苗を植えること」というアドバイスです。
手間と肥料や苗の値段を考えると、
スーパーでキュウリを買ったほうがよいのかもしれません。
しかし、自分で育て収穫したものはやっぱり美味しい。
今年はウドン粉にやられないように再挑戦です。
(2014年6月メルマガより)

鱗粉(りんぷん)

投稿日:2015/04/27

春本番、アゲハチョウやクロアゲハには少し早いようですが、
よく見ればモンシロチョウやシジミチョウなど馴染みのある蝶々
は飛んでいます。
 捕った蝶々の翅を指でつまむと、粉が付きました。鱗粉です。
この鱗粉を実体顕微鏡で見ると、花びらのような形状、大きさは
長径で約0.1mm、短径はその半分、0.05mmくらいです。花びら
と同様、根もとは細くなっています。翅側にはソケットと呼ばれる
ポケットが規則正しく並んでおり、ここに鱗粉の根もとが差し
込まれ、ちょうど瓦が重なるように並んでいます。鱗粉はその
色素によって翅を発色させていますが、その他に撥水、発香、
保温などの役割も果たしています。
 一方、南米に生息するモルフォ蝶は、その翅の青色金属光沢で
有名ですが、鱗粉はモンシロチョウなどと同程度の大きさながら
形状はもっとシンプルです。しかも、その表面には200nm間隔で
格子状のヒダが刻まれていて、独特の青色金属光沢はその微細
格子構造による反射光の干渉によって生じる構造色であり、色素
によるものではありません。
(2015年4月メルマガ)

むぎふるい

投稿日:2015/04/15

寒い春が続くなぁと思ったら突然の夏日など
気候に対応するのが苦しい、、、と思う事務局です。

5月後半から梅雨に入るまでの頃は
麦の収穫期ということから麦秋と呼ばれます。
昔は、収穫された麦を「箕(み)」という農具を使って、
人力で麦の実と麦殻とを分けていました。
箕は竹ひごで編んだ柄の無い大形のちり取りといったものです。
この箕の中に麦の実と麦殻が混じった収穫物を入れて
頭の上に掲げ、風上に背を向けて立ちます。
もちろん屋外です。そして、ちり取りのすくい口に当たる
平らな面を風下に向け麦の実と麦殻の混合物を流し落とすのです。
すると軽い麦殻や異物は風で飛ばされ、
麦の実だけが体の傍に落ちることになります。

お気づきのとおり風力分級、分離操作にほかなりません。
箕の材料は樹枝、樹皮、つるなど、
穀物は米、麦、豆、粟などと色々ですが、
この作業は世界中で共通と言われています。

東京国立近代美術館にはこの作業を題材にした、
菊池契月画伯の「むぎふるい」という有名な絵画が所蔵されていて、
作業の様子がよくわかります。
この絵は、
http://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=2153
でご覧になれますよ。
(2013年5月メルマガより)

漆蒔絵

投稿日:2015/04/03

この季節になると日本人形店の店先に五月人形が飾られ、
目を楽しませてくれますね。
その人形の背後には大抵、漆蒔絵の金屏風が置かれています。

漆蒔絵とは、木地の表面にウルシを何度も塗り、
さらに文様を描いて、それが乾かないうちに
金属粉や貝粉などを撒いて文様に光沢、
色などを付けていく日本の伝統工芸の一つです。
金・銀・銅・白金・錫やそれらの合金、雲母、
青貝などの貝類の粉が使われます。
金の場合、高純度のものは軟らかく粉砕は難しいのですが、
少量生産なので地金をヤスリで磨りおろしや、
金箔を細かく切る方法で微粒化しています。
その他の材料では乳鉢などでの粉砕する方法も採られます。
目標とする粒子径は概ね数ミリメートル~50マイクロメートル程度、
ふるい分けで分級され、粒子径ごとに号数つけられていますが、
中には1マイクロメートル以下のものもあります。
金粉では粒子径だけでなく、粒子形状も制御して製造、
分別され、文様の光沢や輝きなどに変化を与えるため
使い分けられていることです。
代表的な形状として、球形に近い丸粉と呼ばれる基本的なもの、
キラキラ感が強いやや膨らんだ小判型のもの、
ツヤの少ない扁平状のものなどがあります。

この粉体の特性を利用した蒔絵、漆蒔絵は、
美術館だけでなく日本人形店や漆器店でも目にすることができます。
(2014年4月メルマガより)

「豆粉(きなこ)地蔵」と花見

投稿日:2015/03/20

お花見の季節が近づいてきました。
関西の方、限定になるかもしれませんが、粉+花見の紹介です。

場所は、平忠度(たいらのただのり)が
「さざなみや 志賀の都はあれにしを 昔ながらの山桜かな」
と詠んだ滋賀県大津市の長等山(ながらやま)です。

京阪電車「浜大津」駅から国道161号線を京都に向かって約50m、
右側に「三井寺力餅」という看板の掛った明治2年創業という
瀟洒な店があります。
一口大の餅を3つほど串に刺して、
たっぷりの青きな粉をまぶした、この「力餅」。
その舌触り、味、一度食べたら忘れられません。
これを買ってください。

そして、さらに京都方向に徒歩10分足らず。
京阪電車「上栄町」の小さな駅の側から
車1台が漸く通れる山道を5分ほど登ると、
間もなく近松寺というお寺が見え、その手前に
「豆粉(きなこ)地蔵」という掛け額の小さなお堂があります。
中にはお地蔵様らしからぬ石仏の坐像が。
聞けば、自分の食べたきな粉をお地蔵様にも
食べていただくと頭がよくなるそうです。

そこで、先ほど買った「三井寺力餅」の包みを開いて食べ、
きな粉をお地蔵様の口に塗ってから、
道なりに長等山に向かい桜見物となります。

この道、裏道で、まさに穴場、
勝手に「きな粉・花見ルート」と名付けて楽しんでいます。
粉体関係者にもお勧めです。
(2015年3月メルマガより)

たんぽぽ計画

投稿日:2015/03/09

もうすぐ春ですね。
春になると野原にはタンポポが見られますが、
この黄色い花の名前をつけた「たんぽぽ計画」をご存じでしょうか。

これは、宇宙空間を移動する生命体や有機化合物の存在を探るため、
国際宇宙ステーションに搭載した捕集装置で
地上200~400キロメートル上空の微粒子を捕えようとする実験計画です。
残念ながら2015年までは実現に至っていません。

この空間領域にある固体は引力により地上に落下し、
大きいものは隕石、小さなもの(通常1ミリメートル以下)は宇宙塵と呼ばれます。
宇宙塵の落下量は年間数万トンといわれ、
この数字を見ると、「粉が空から降ってくる」と錯覚しそうですが、
地球の表面積が約5億平方キロメートルですから
1平方キロメートルあたり年間数十グラム/年程度とごく僅かな量といえます。

宇宙塵の起源は、彗星が伴う微粒子、小惑星、
月や火星などの惑星に隕石が落下した際に、
舞い上がる微粒子などと推定されています。

もし、それら天体に生命体あるいは有機化合物があり、
微粒子に付着して宇宙を移動しているならば、
それを捕集して分析すれば地球外生命体の存在を
検知できる可能性が出てきます。
(2014年3月メルマガより)

砂かけ祭り

投稿日:2015/02/26

二十四節気の一つ「雨水(うすい)」は2月19日です。
この頃、雪が雨に変わって農作業を始める時期とされ、
古い神社ではその年の豊作を祈る神事が行われます。
中には、粉=砂を使った豊作祈願神事もあります。
その一つ奈良県河合町の廣瀬神社で毎年2月11日に
行われる御田植祭、別名「砂かけ祭り」に行ったことがあります。
当日の午後、拝殿前に砂を敷き、そこを田圃に見立て、
田男と牛が田植えの所作をします。
その後、周囲の参拝者を目がけて砂をかけ、
かけられた人も砂をかけ返し、広場は砂をかけ合う場に化します。
参拝者も場馴れしていて、パーカにゴーグル、
マスクを着用、ブーツまで履くという
完全装備で砂をかけ合い豊作を祈ります。
その完全装備の一人(砂かけマニアのようでした)から、
「もう一つあるでー」と、2月17日の夜に行われる、
鈴鹿市の夜夫多(やぶた)神社の「午(うま)の砂かけ祭り」
のことを聞きました。
こちらも、境内に砂を敷き、そこを田圃に見立て田男が田打ちをし、
人が中に入った馬が代掻きをするそうですが、
集まった氏子は豊作を願い、
この馬に派手に砂をかけて騒ぐというお祭りだそうです。

砂かけマニアもよいのですが、この話をしてくれたお兄さん、
その夜の祭りの後、完全装備でコーヒーを買うためコンビニに入ったところ、
店員さんが非常ベルを押しそうになったそうです。

たしかに、、、店員さんの気持ちもわかりますね。
(2015年2月メルマガより)

鬼祭り

投稿日:2015/02/17

今回は鬼祭りのお話。

赤鬼、青鬼、大鬼、小鬼、横縞の衣装を着た鬼が大暴れ。
境内に集まった氏子や見物人に粉を浴びせます。
女性であっても容赦なし、中には「これで今日のファンデーションは省略!」
と豪語されるオネーさんも?
ともかく、もうムチャクチャです。
頭から粉をかぶって大人も子供も真っ白になって逃げまわり、
粉がモウモウ、まさに阿鼻叫喚とはこのことでしょう。
浴びると、その年は病気にならないという
ありがた~い粉なのですが・・・。
実は、タンキリ飴を撒いているのですが、
飴よりも取り粉の方が圧倒的に多いので
このようなことになるのです。
豊橋市の東北部、石巻神社の里宮で
毎年4月の第一日曜日に行われる鬼まつりです。
海外でも7月にドイツで、12月にはスペインで
同じようなイベントがあるそうです。
特にスペインは小麦粉に加えて玉子もかけ合うそうです。
ハードなのをお好みの方はそちらに
お出かけしてみてはいかがでしょうか?
(2013年3月メルマガより)

うぐいす粉 と うぐいすの粉

投稿日:2015/02/05

二月といえば、梅に鴬、それに何といってもうぐいす餅!
甘く煮た小豆を漉し餡にして、もち米粉を水で練って
蒸した求肥(ぎゅうひ)でウグイスの形に包み、
さらにうぐいす粉をまぶしてつくります。
うぐいす粉は、またの名前を青きな粉といい、
青大豆を臼で挽いて粉にしたものです。
ウグイスのようなうす緑色の粉で、
うぐいす餅の味を引き立てます。思わず、つばゴックン。
いっぽう、「うぐいす粉」と似た名前の「うぐいすの粉」
という伝統的な化粧品もあります。
ウグイスのなどの野鳥の糞を集め、乾燥して粉にしたものです。
水で練って顔にぬれば、肌がツルッツルッになるそうですが、
口には入れないほうがよいようですよ。
(2013年2月メルマガより)

お土砂(歌舞伎のなかのおはなし)

投稿日:2015/01/20

もうしばらくすると、梅の花の便りが聞こえる頃になりました。
東京にお住まいの方は湯島天神の梅の開花で、
春が近いことを感じられると聞いたことがあります。
昨年(2014年)の新春、京都の南座では、
「松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)」
という歌舞伎の公演がありました。
「松竹梅」という新春に関連する言葉と「梅と湯島」
という早春を感じさせる言葉の入った演目のとおり、
正月明け、春を感じさせるお芝居です。
さて、このお芝居の序幕・「吉祥院お土砂(どしゃ)の場」では、
真言の加持・祈祷によって人に振りかけると
かけられた人の体がグニャグニャになるという
パワーを持った白砂「お土砂」という粉体が
重要な役割を果たします。
主人公の一人「紅屋長兵衛」が、この「お土砂」を悪党にかけ、
ヒロイン「八百屋お七」を誘拐しようという
企みを防ぐのですが、関係のない人にも
「お土砂」をかけてしまい、大騒ぎになるという筋書きです。
本当はもう少し複雑な内容で、歌舞伎には珍しい喜劇調。
「お土砂」という粉体も出てきて、
粉体関係の方にもなじみ易いお芝居です。

(2015年1月メルマガより)

ダイヤモンドダスト

投稿日:2015/01/07

寒いですねぇ。京都市内では時折日が射すのですが、
北山を見ると灰色に煙っています。
雪が降っているようです。
何だか暗い風景で、思わず「さぶ~」という言葉が出ます。
一方、京都よりずっと寒い筈の北海道の内陸部では、
逆に明るく美しい「ダイヤモンドダスト」が
見られたことがニュースになっています。
この現象は10℃以下の晴れて寒い朝、
空気中の水蒸気が凍ってできた氷の結晶に
日光が当たりキラキラ光って舞い落ちるもので、
これも一種の雪降りといえます。
結晶形は主として六角柱や六角板状、
粒子の大きさは大よそ30~500μm、細氷とも呼ばれています。
もっと気温が低い-30℃以下になると、
氷霧という現象もあるそうです。
その時の氷粒子の大きさは10μm以下、
空中に浮遊するので霧のように見えるとのことです。
それにしても、空中浮遊の氷粒子の大きさの測定は難しいでしょうね。
(2013年1月メルマガより)

お雑煮と粉

投稿日:2014/12/26

師走です。何となく慌ただしい気分になりますね。
そうこうしているうちにお正月、
日本中がお雑煮をいただいて新年を祝います。

このお雑煮、各地でいろいろバリエーションがあり、
日本中同じではありません。
大まかに言えば、お雑煮に入れる餅は、
東日本は角形、西日本は丸形です。
また、近畿地方は白味噌仕立て、
それ以外の地方では、小豆汁もありますが、
大部分はすまし汁のようです。
中に入れる具はそれこそ、地域ごとにバラバラです。

そのお雑煮バリエーションの中にやっぱりありました!
粉を使ったお雑煮、奈良のきな粉雑煮です。

このお雑煮は、甘い白味噌仕立ての汁の中に
大根、ニンジン、サトイモ、それに焼いた
(焼かないこともあります)丸餅を入れて
煮立てたものです。
これを椀によそっていただくのですが、
丸餅だけは椀から取り出し、
砂糖をまぜたきな粉をまぶしていただきます。
白味噌ときな粉を付けた餅は想像されるように甘い、
でも美味しい!
きな粉の黄色は稲の稔った田んぼを
表しているとも言われています。
情緒がありますねぇ。
(2013年12月メルマガより)

粉引

投稿日:2014/12/11

熱燗が恋しくなる頃なりました。
日本酒党の方なら「粉引」という名前をご存じかもしれません。
「こひき」と読みますが、お酒ではなく、徳利、ぐい呑み、
盃などで隠れた人気のある酒器の名前です。
本来は、李朝のころ全羅南道付近で始まり、
その後日本に伝わって茶道の茶碗(粉引茶碗)として
知られるようになった焼物です。
材料となるのは比較的鉄分の多い、砂混じりの粘土です。
これで作った素地にカオリナイトを含んだ鉄分が少ない
白土(微粒粘土のスラリー)をかけてから素焼きにします。
焼くと表面は薄い茶色になりますが、鉄の含有量によって
色調は変わるようです。
この素焼きの素地に釉をかけて焼くのですが、
釉はクリ、クヌギなどを燃やした灰や硅石の微粉から
調製したスラリーです。焼きあがると柔らかい白い色調となり、
白い粉が吹き出したように見えるところから
「粉引」あるいは「粉吹(こふき)」という名前が
付いたとのことです。
唐津、有田、京都、美濃など各地の窯元で作られ、
手ごろな価格で手に入るものもあります。
粉引茶碗や粉引マグカップなどもありますが、
これらを酒器としてお使いになる時には、
飲み過ぎに注意が必要です。
(2013年11月メルマガより)

かぎろひ

投稿日:2014/11/25

微粒子に関係した名前が付いた電車があります。
小田急の”あさぎり”や
時刻表には載っていませんが、近鉄の”かぎろひ”がそれです。
この”かぎろひ”という名前は、万葉集巻1-48の
柿本人麻呂が軽皇子の狩りの供をして阿騎野に
泊まった時に作った歌、

東(ひむがし)の
野に炎(かぎろひ)の
立つ見えて
反見(かへりみ)すれば
月西渡(つきかたぶき)ぬ、

から採られたものです。
「炎」とは何? かげろう?黄道光?朝焼け?と
いう有名な論争がありました。
結局、狩りの季節なので初冬、
時刻は月が西にあるので夜明け、
「炎」が東に見えるので日の出直前の情景、
ということから、空気中の微粒子による太陽光の散乱、
東の空が赤く染まる朝焼けが”かぎろひ”であり、
歴史的背景も考慮すると、
この歌が詠まれたのは、
692年11月17日(旧暦)の午前6時頃、
今の奈良県宇陀市大宇陀付近とまで特定されました。
これにちなみ、毎年旧暦の11月17日には、
宇陀市のかぎろひの丘・万葉公園にて
「かぎろひを観る会」が開催されるとのことです。
(2014年11月メルマガより)

石巣比売神

投稿日:2014/11/06

古事記の中に・・・
~~「因幡の白ウサギ」を助けた大国主命
(オオクニヌシノミコト)は、その後も兄神のイジメを受け、
赤熱した大石をぶつけられ命を落とされました。
そこでキサガイヒメという神様が貝殻を削って粉をつくり、
ウムギヒメという神様は貝が吹き出す清水でこれを溶き、
母乳のようにして大国主命の体に塗ったところ蘇生された~~
という粉に関連したお話を見つけました。

これは古代の薬つくりを反映した話ともいわれているそうです。
このほか、古事記には国生みをされたイザナミ、イザナギが
お生みになった神々の中に石巣比売神(イワスヒメノカミ)
という石や石の粉(砂)の神様の名前も見えます。

粉体の技術は歴史が長いですね!
古いけれども奥が深くて、
まだまだ進歩・発展している技術でもあります。
(2012年11月メルマガより)

そばと石臼

投稿日:2014/11/05

10~11月は秋そばの収穫期。
収穫されたそばの実から殻や石を除き、
粉砕とふるい分けを繰り返すと新そば粉になります。
このそば粉を使って新そばが打たれます。
秋の新そばは風味が高いと言われますが、
石臼で手引きするとさらにおいしくなるそうですよ。

身近なところに 粉体の技術が生かされていますね。
(2012年10月メルマガより)