活動報告

トップページ > 活動報告 > 分科会活動 > 微粒子ナノテクノロジー分科会 > H26年第2回微粒子ナノテクノロジー分科会 報告

H26年第2回微粒子ナノテクノロジー分科会 報告

2014年10月24日

平成26年 10月14日(水) キャンパスプラザ京都に於いて、平成26年度第2回微粒子ナノテクノロジー分科会が開催されました。

  • 講演される東京大学・山口由岐夫先生
    講演される東京大学・山口由岐夫先生
  • 分科会での質疑風景
    分科会での質疑風景

微粒子・ナノ材料の活用は製品の高機能化、新機能発現が期待され、関連する研究開発が盛んに進められています。しかし、微粒子・ナノ材料は凝集や飛散性が強く、高濃度利用が難しく、製品への応用はまだ限られています。その機能を有効に活用し、製品応用していくためには、如何に使いこなすかが大きな課題となっており、そのためのキー技術の一つが分散技術であり、濃厚系スラリー利用があります。今回は「高濃度系微粒子・ナノ材料及びスラリー」をキーワードに、大学での最先端の研究開発および産業界での具体的な応用開発と製品化例について、5件の講演を開催しました。

講演プログラムは下記の通り

1)「コロイド濃厚系の分散・混練・塗布・乾燥における非平衡相転移」

東京大学 教授 山口 由岐夫 氏

ナノ材料の利用にあたっては、高濃液相系プロセスが中心となり、ナノ粒子合成とナノコンポジット化が重要であり、コロイド濃厚系の分散・混錬・塗布・乾燥などのプロセスでの制御が製品の性能に深く関係している。これらのプロセスを俯瞰し、濃厚コロイド系の熱力学的安定性や流動安定性と部材のナノ構造からミクロ構造に至る関係性など、非平衡論的相転移の考えの必要性が紹介された。

 

2)「有機系・ハイブリット型太陽電池の歴史と現状」

御国色素㈱ 東京大学先端科学研究センター室 室長 瓦家 正英 氏

再生可能エネルギーにおける太陽光発電への期待は大きいが、さらなる低コスト化、広域利用が求められている。研究開発段階の次世代太陽電池(有機系、ハイブリッド型太陽電池)がその要望に応えうるデバイスとして注目されており、特に、有機系の太陽電池の変換効率が近年、飛躍的に向上してきている。その効率向上は、材料の多孔質による比表面積効果によるところが大きく、微粒子分散制御が重要となっている。効果発現のための微粒子分散系制御方法として、分散機による機械分散、溶媒分散、分散剤、顔料表面改質など具体的方法が紹介された。

 

3)「口腔内崩壊錠の開発経緯と製剤設計 -強度、崩壊性向上の視点から―」

ライオン㈱ 薬品第1研究所 主任研究員 伊藤 武利 氏

口腔内崩壊錠とは、水なしで口中で溶かして服用できる錠剤である。口腔内崩壊錠には錠剤径の小型化と口腔内溶解時間の短縮が求められ、錠剤設計によってそれら性能改善が図られている。ライオン㈱の製品・ストッパEXの開発におけるその錠剤設計結果が報告された。通常は、錠剤硬度と崩壊時間には相関があり、錠剤硬度を保ったまま崩壊時間を短縮することは難しかった。プロセスとして低打錠圧でも強い粒子間結合力を保ち、水の浸透性を確保することが必要であり、マンニトールの結合力向上やタンニン酸ベルベリンの結合力付与などにより改善が図られた。

 

4)「ナノフルイドの実用化に向けて」

東北大学・WPI-AIMR 教授 阿尻 雅文 氏

超臨界ナノ粒子合成技術が実用化段階に近づいており、その技術を適用して、機能性材料をいち早く世の中に出す試みが加速している。その活動の象徴として、平成24年4月に「超臨界材料技術コンソシアム」が発足された。その仕組み、活用など詳細が説明された。最終的なナノフルイド材料、プロセス技術開発だけでなく、その根底にある技術基盤を充実させることが不可欠である。広い分野での材料技術開発を進めつつ、技術基盤の研究を並行して進めることで、基本原理を解明し、支配因子の物性等の情報が蓄積されていけば、新たな材料技術開発のために重要な知識基盤・土台を築きあげることができ、ナノ材料が実用化へと繋がっていく。今後の材料開発について哲学的観点に立った取り組みが紹介された

 

5)「セラミック電子部品における粉体とスラリー設計」

㈱村田製作所 常任顧問 鷹木 洋 氏

セラミック電子部品の軽薄短小化にともない、セラミック素子成形の高精度化が必要になってきている。積層型部品に使われるシート成形について、酸化物原料の粉体特性やスラリー特性の制御の重要性について説明された。微粒子化技術として、より原料粉末の小粒子径化と粒度分布を狭くする(粗粒の減少)制御を行うことと、それに伴う成形技術について、実際の製品をもとに具体的開発結果が紹介された。

PAGE TOP