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H26年度第1回微粒子ナノテクノロジー分科会 報告

2014年8月27日

平成26年 8月27日(水) ライオン株式会社 平井研究所において、H26年度第1回微粒子ナノテクノロジー分科会が開催されました。

  • 分科会講演聴講風景
    分科会講演聴講風景
  • ライオン㈱平井研究所見学会の風景
    ライオン㈱平井研究所見学会の風景

「微粒子・ナノ材料の分散技術と工業製品への応用」をテーマとして、分散技術の基礎、濃厚系スラリーの評価技術、スラリーの分散方法および導電性カーボンブラックの蓄電デバイスへの応用の4件の講演と、ライオン株式会社平井研究所の見学会およびポスター形式での技術紹介が行われました。

プログラムは下記の通り。

1)「濃厚系スラリー中での微粒子、ナノ物質の分散・凝集挙動の基礎」

東京農工大学大学院工学研究院 神谷秀博氏

微粒子・ナノ粒子を分散させる際に有用な情報であるDLVO理論に基づく液中粒子間相互作用や、粒子表面への分散剤の吸着機構を中心に解説された。

 

2)「濃厚系スラリーの分散性とその最新評価手法」

武田コロイドテクノ・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 武田真一 氏

はじめに、ISO で最近定められた分散性・分散安定性の定義などの基礎的事項の説明した後に、分散安定性を濃厚状態のまま評価する手法が紹介された。この中で紹介された遠心沈降分析法は、遠沈管の各位置における透過率の時間変化から、濃厚状態での分散性の良し悪しや、種々の条件での比較が可能であるため、欧州では本手法での評価が推奨されている。

 

3)「ナノ材料の工業的に利用するためのスラリー分散方法 ~プロセスの観点から~」

ビューラー株式会社 粉砕・分散部 部長 前田真志 氏

ビーズミルによる分散粉砕プロセスの基礎について説明された。微小ビーズを用いることの優位性だけでなく、投入電力や容積電力密度といった数値を用いて、研究開発段階に比べて大量生産ではこれらの値が小さくなることから、微細化にはマルチパス方式にする必要があることが示された。また、実際に分散時間やローターの回転速度が異なる場合でも、質量比エネルギー(単位質量あたりの投入電力)が同一であれば、製品品質がほぼ同程度となることを、実例を用いて紹介された。

 

4)「導電性カーボンブラックの物性と蓄電デバイスへの応用」

ライオン㈱ 化学品研究所 主任研究員 河野洋一郎 氏

はじめに、一般的な導電性カーボンブラックの概略と蓄電デバイス分野で使用するための開発方向性を説明された。多孔性(高表面積)のカーボンブラックは、低添加量でも導電性が発現できる一方で、嵩高くなるために分散性が悪くなるが、ライオン社では低表面積カーボンブラックでも、凝集体構造を最適化すると、少ない添加量でも高い導電性が得られるものを開発したことを紹介された。このカーボンブラックを用いると、粘度特性も改善されるため、製造性も向上する。

 

5) 16:00~17:30 見学会およびポスターによる技術紹介

現在市販されている商品(海外製品も含む)やライオン株式会社の各種事業の歴史の説明と、洗剤製品や歯磨き製品の評価室を見学した。また見学後、ポスター形式で各種導電性材料、粉末洗剤の粒子設計と製造プロセス、錠剤の速崩壊技術、体臭制御のための酸化亜鉛複合粉末、抗菌性粉末による防カビ製品について、説明・紹介された。

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