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リサイクル技術分科会 報告

2021年9月21日

  • リサイクル技術分科会 大矢コーディネータより開会の挨拶
    リサイクル技術分科会 大矢コーディネータより開会の挨拶
  • ニッケル協会東京事務所長、住友金属鉱山株式会社 金属事業室 江崎 慎二様の講演
    ニッケル協会東京事務所長、住友金属鉱山株式会社 金属事業室 江崎 慎二様の講演
  • 株式会社VOLTA 営業部 主任 菊田 大樹様の講演
    株式会社VOLTA 営業部 主任 菊田 大樹様の講演
2021年9月8日、第1回分科会として、電池のリサイクル、特にリチウムイオン電池に焦点をあてたリサイクルの動向に関する講演会をwebにて開催しました。下記に報告します。

■講演1「Ni資源・プロセスの動向とLIBリサイクルの展望 」
ニッケル協会東京事務所長 住友金属鉱山株式会社 金属事業室 江崎 慎二 氏

全世界で注目を浴びている「EV車載用LIB」に関連するNi資源の動向とLIBリサイクルに展望について講演頂いた。
LIBに欠かせない金属であるNiは全世界で約7割がステンレスに使用されており、LIB用途に使用されている数値は8%程度(2020年数値)しかないのが現状である。然しながら、EUでは2030年をEV車のみの販売を法令化しており、内30%以上のNi量が必要になるとの試算である為、現在のNi流通量から換算すると非現実なプランであるとの考察であった。また、既に高騰を続けているNi価格を今後益々上昇していくとの事。EV車の6割はLIBコストであり、その内Niコストの占める割合が非常に高い事から、Ni市場の大マーケットを仕切っているインドネシアの動向には更に注視していく必要がある。
LIBリサイクルについて、現在はリサイクルよりもリユース(LIBの能力復元)を行う企業が多く、日産のように既に事業スキームが確立しているところもある。なぜ日本はリサイクルの普及と発展が遅いのかというと、LIBの回収率が低い事(海外へ輸出されるケースが多い)、また国内でリサイクルしようとするとCO2排出量と費用対効果の双方で見合わない事が大きな要因であり、本格的なリサイクル事業として発展するには政府の方針・補助による政策(リサイクル費、回収・運搬スキーム、リサイクル法の制定等)、またCO2排出低減(原子力発電や再生可能エネルギーのインフラ整備)がポイントになる事がわかった。LIBリサイクルは魅力的なテーマであるが、現状は海外マーケットの方が展開と発展性が高い状況。今後は国内外の動向に注視し、分科会活動へ反映していきたい。

■講演会:「VOLTAでの電池リサイクル事業の紹介」
株式会社VOLTA 営業部 主任 菊田 大樹 氏

同社は、資源リサイクル事業の中でLIBリサイクル関連に特化した会社である。主に小型家電に搭載されているLIBを回収し、自社内で処理スキームを確立(加熱処理⇒破砕処理⇒磁選・選別)し、販売まで行っている。車載用LIBについても扱っているが、現在は発生量が少ない為、今後の発生量UPを見越して受け入れ体制強化を行っている。
同社はLIBリサイクルについて、発火や事故事例の多いLIBを扱う上で特に安全性確保に注力した取り組みを行っており、危険対応についてベンチマークを明確化し、安全リサイクルを推進している事から、将来を見据えLIBリサイクルに本格的に取り組んでいる会社であった。
今後は、2025年を目途にブラックマスからNi・Coの価値の高い金属を自社内で湿式精錬システムを導入しビジネス展開を図る計画との事から、当分科会は今後もLIBリサイクル情報を共有していきたい。

今回の講演会を通じて感じたのは、LIBリサイクルには様々な高いハードルがあり、環境側面による実施が難しい状況や、リサイクル手法の確立されていない状況である事がわかった。
然しながら、逆に言えば将来のビジネスチャンスのテーマであり、取り組みや関わり方次第では先行企業になる事が出来るマーケットであると感じた講演会であった。当分科会でも中長期を見据え、LIBリサイクルテーマの企画を継続していきたい。

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