粒子積層技術分科会 報告

2021年3月3日、分科会運営委員会の協力のもとZoomにて、「湿式粒子積層技術と応用」をテーマに第1回分科会をWeb開催し、25名の方にご出席いただきました。まず初めに、副コーディネータの金沢大・瀬戸先生より挨拶を行うとともに、事務局よりWeb開催に関する注意事項および10/13~15に開催される“粉体工業展大阪2021”の案内を行いました。続いて、湿式塗布工程で非常に重要となるスラリー中での分散・凝集の制御、塗布する際の噴霧液滴の飛行工程や液滴衝突時の濡れ広がり、および粒子が規則的に配列したコロイド結晶に関して、4名の先生方にご講演いただきました。講演概要を以下に示します。

1.講演内容
1) 「可逆的分散凝集技術を用いたフレキシブルシートのバインダーレス成形」
兵庫県立大学大学院工学研究科 佐藤根 大士 先生
粒子が分散したスラリーで粒子が堆積すると再分散させることが難しい。そこで本講演では、高分子分散剤と塩濃度を最適化して緩やかな凝集(ゲル)を積極的に形成させることによって、軽い振盪で液状に戻るスラリーの製法が紹介された。続いて、このスラリーに添加剤を用いて可塑性を付与することにより、フレキシブルシートを作製できることや、非水系でも本手法が有効であることが示された。

2) 「平面に衝突する液滴の濡れ広がり」
弘前大学理工学研究科 城田 農 先生
インクジェットなどの液滴噴霧プロセスによって粒子積層を行う際には、基材に衝突した際の液滴の挙動や、濡れ広がりが非常に重要になる。本講演では、衝突時の液滴の分裂や、濡れ広がる際の気泡混入などの現象を、動画を交えながら紹介された。液滴の衝突現象の支配的な無次元量およびエネルギー収支の観点から現象を整理し、液滴衝突物性を応用して粘度計測が可能であることが示された。

3) 「自動車用噴霧塗装における数値シミュレーションの利用」
九州工業大学大学院 工学研究院 物質工学研究系 応用化学部門
齋藤 泰洋 先生
自動車製造ラインで大きな割合を占める塗装工程(電着塗装~塗装検査)の中で、今回の講演では本塗装に使用されている回転霧化静電塗装において、塗料液滴の飛行を数値解析した結果の説明があった。回転霧化静電塗装は塗着効率が低いが、噴霧粒子を4分類して低下因子を評価し、非塗装面近傍で気流に液滴が「同伴」することが支配因子であることを特定し、液滴の粒度分布によって液滴の飛行を制御するために用いるシェーピングエアおよび電場の効果的な操作条件が示された。

4) 「コロイド結晶薄膜の可能性 ~フォトニック結晶及び構造色材料としての~」
国立研究開発法人物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点光機能分野
コロイド結晶材料グループ グループリーダー   不動寺 浩 先生
粒子を規則配列させたコロイド結晶は、色素や顔料に起因しない色(構造色)を有するため、塗工や光学材料として利用できるが、本公演では膨潤や変形による構造力の変化を利用したひずみ計測への応用が紹介された。またオイル被膜法によるコロイド結晶は、品質は非常に高いものの作製に時間がかかる(1日から数週間)が、電気泳動堆積(EPD)法を用いることにより、品質はオイル被膜法にやや劣るものの、数分程度でコロイド結晶が得られること作製できることが示された。

講演終了後、粒子積層技術分科会・山村コーディネータより閉会の挨拶および当分科会の今後の活動概要の紹介を行い、閉会いたしました。

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