粒子加工技術分科会 報告

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2020年2月21日、第4回粒子加工技術分科会として、講演会を富山県農協会館にて開催しました。シミックCMO株式会社にて開催予定であった見学会は、コロナウィルス感染拡大リスクの非常事態により、やむなく中止としました。下記に講演会の詳細を記します。

講演1:「シミックCMOが取り組んでいる新規製剤技術」シミックCMO株式会社 技術戦略部 音田和也 氏
シミックCMOと業務提携しているAprecia社の3Dプリンター製剤の解説があった。同社は打錠工程を不要とし5秒で崩壊するOD錠を開発した。また、1000mgの高用量OD錠を世界で初めて認証取得し、米国で販売している。他方で協業提携しているシンクランド社と複合型マイクロニードル技術を共同開発している。当該技術により、中空のさまざまな形状をもつニードルを設計することができ、投与量の調節を容易とする経皮製剤へ適用できる。シミックCMOは新規な技術を積極的に導入し、従来では不可能であった治療の実現化に取り組まれている。

講演2:「リポタンパク質変異体点眼の可能性」富山県立大学 工学部 医薬品工学科 村上達也 氏
高密度リボタンパク質(HDL)にはコレステロール排出促進、抗酸化作用があり、HDLに含まれるコレステロール量は心血管疾患リスクと負の相関を示し、善玉コレストロールと呼ばれる所以である。また、HDLは高い生体適合性を示し、疎水性薬物に対して高い親和性を示すことからHDLをドラッグキャリアとして利用する研究がさかんである。村上氏らが開発するHDLをキャリアとした点眼剤は失明原因世界1位である加齢黄斑変性症をターゲットとし、送達効率や滞留性向上をキャリアサイズ等を調整することにより達成されている。また、抗酸化作用をもつHDLキャリアのみでも治療効果が発現するという興味深いお話もあった。

講演3:「高活性医薬品製造におけるリスクベースアプローチ」旭化成ファインケム株式会社 ライフサイエンス営業部 山浦勇二 氏
GMP基本要件のひとつである共用設備における交叉汚染防止はICH Q9に基づくリスクマネジメントの観点からリスクベースで管理することが要求されている。ISPEは医薬品製造におけるGMP要件と産業衛生要件に関するベースラインガイド「Risk Based Manufacture of Pharmaceutical(通称、Risk MaPP、規制当局の動きに伴い現在2nd Edition)を発行している。ご講演ではRisk MaPPが提唱する交叉汚染/産業衛生リスクマネジメントの手法について解説いただいた。ご講演中の「暴露対策には『科学的根拠に基づいた』リスクベースアプローチが必要である」が印象的であった。

講演4:「製剤設計のむかし・いま・これから ーダイナミックケイパビリティの挑戦ー」 
アステラスファーマテック株式会社 富山技術センター 保地毅彦 氏
新薬開発の難易度は上昇している一方で世界の新薬市場は拡大が予想され、特にがんや免疫系疾患等のアンメットメディカルニーズの高い疾患領域では早い製品開発・製品上市が望まれている。このような背景のもと、製剤設計のスタイルにも変革が必要となっている。保地氏からは周辺環境の変化に対応できる自己変革能力(ダイナミックケイパビリティ)の解説や自社製品であるプログラフを例に挙げられ、治療対象や周辺環境の変化に対する変革への取り組みについて解説いただいた。その中で、「変わることはゼロからの出発ではなく、保有する技術や知見をいかに伸ばすかが重要である」と述べられ、誰でも変革に着手できる可能性を感じた。

以上
カテゴリー: 活動報告, 粒子加工技術分科会