第1回リサイクル技術分科会 報告

スライドショーには JavaScript が必要です。

平成29年6月6日、北九州市の国際会議場及び株式会社アステック入江にて第1回分科会を開催しました。講演内容と見学会について下記に報告します。

  • 講演会1:「産官学連携と北九州でのリサイクル技術開発」
    講演者: 北九州市立大学 国際環境工学部 教授 大矢仁史氏

大矢先生の産総研(学園都市つくば)での22年間のリサイクル研究から、現在の北九州における研究までを自己紹介の形で説明。合わせて北九州の概要に関して解説いただきました。続いて北九州市の誕生に至るまで、歴史的背景も含めながら解説。地元の参加者すら初めて聞く内容でした。

日本の3大財閥が、三井、三菱、住友であったように、筑豊では、麻生、安川、貝島という3大財閥が存在していた。豊富な石炭資源を抱えたこの地区から、どのような流れで、鉄鋼、セメント産業が栄えていったのかを解説。
リサイクル産業において、産学官の連携は不可欠。理想や夢を追う大学。現実や利潤を追う産業界。それらを融合させる法令類を制定する官庁。そして北九州にはリサイクルに興味を持つ石炭、鉄鋼、セメントに関連した企業が非常に多い。
大学や企業の技術に加えて、国や地方自治体が支援していく政策でも官に期待するところは大きい。
地球上の資源量は一定である。 (一部宇宙に持ち出さない限り)そこには地下資源と地上資源が存在する。地下資源は採掘を繰り広げていく限り、いつかは枯渇する。地上資源はストックされていく。だから採掘から地上資源のリサイクルに切り替えていく必要がある。
リサイクル(3R)は、社会的背景により変遷している。当初は環境制約や処分場制約による重厚長大な集中型処理のみであった。
近年は、資源やエネルギーの枯渇によりレアメタルが高騰し、良質に精密にリサイクルする必要が生じてきた。
北部九州地区では、多くの環境研究支援組織が存在する。多くの企業とのコラボ研究で様々な技術開発が行われている。ここに行政機関の政策が後押しすることで、産官学連携での理想的なリサイクル技術開発が実現する。
加熱水蒸気によるリサイクルビジネスとして、「めっき樹脂のリサイクル」をテーマに北九州市の環境未来助成事業を実施した。
アステック入江での実証実験の紹介。次の講演内容の前解説として基本的な原理を紹介。

■講演会2: 「貴金属回収を含む都市鉱山開発」
講演者: 株式会社アステック入江 FM事業部 部長 井上英二氏

株式会社アステック入江の会社概要、事業紹介を最初にいただきました。その中でFM事業に関しての紹介がありました。

FM八幡工場は、新日鐵住金八幡製鉄所構内にある。製鉄製造で発生する製鋼ダストをリサイクルし「良質な鉄粉を製造」する。そしてそれを使って、エッチング廃液を「塩化鉄液リサイクル」している。これはエッチングメーカーより有償で廃液を引き取り、100%リサイクルしてエッチング液として同メーカーに販売する事業。
もう一つは「都市鉱山リサイクル」を行っている。廃電子回路基板に加熱水蒸気を使い各部品を分離する。金属メッキ部品より「塩化鉄液リサイクルプロセス」により金、銀、銅等のレアメタルを取り出す。塩化鉄液による貴金属回収プロセスにおいては、各金属のイオン化傾向により順次金属別に抽出されていく仕組みが解説された。自社でリサイクル金メッキメダルを製造しており、各テレビや雑誌等、数々のマスコミからの取材を受け、現在も放映や掲載がされている。
NIMS(物質・材料研究機構)での都市鉱山メダルプロジェクトは、2020年の東京オリンピックで、携帯などから回収した貴金属でメダルを製作することが正式に決定している。アステック入江は、携帯から金の抽出を行う部分を担うこととなった。

■見学会 :「塩化鉄による貴金属リサイクル事業/還元材としての鉄粉精製プロセス他」
見学先:株式会社アステック入江 工場内にて

講演会で井上氏より解説された各現場を実際に工場内で見学しました。
都市鉱山(廃基板)から実際に金が抽出され、濾布一面に黄金が現れる場面も目前で見ることが出来ました。
品質の差はありますが、ほぼ平均的に、都市鉱山(廃棄された携帯電話や電子部品、基盤類)5kgから、約1gの金が回収できます。南アフリカの有力な金鉱山でもこの40分の1程度であるが故に「都市鉱山」と呼ばれるのも納得がいきます。
ちなみに日本国内の都市鉱山に埋蔵された金の量は、世界第一位で、全世界の約16%に相当します。

我々は資源リサイクルの重要性にもっと耳を傾け、理解と行動をしていくことがこれからますます必要だと強く感じました。

以上
カテゴリー: 活動報告, リサイクル技術分科会