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H26年度第1回粒子加工技術分科会 報告

2014年6月9日

日時:平成26年6月6日(金) 9:30~16:30
場所:塩野義製薬株式会社 摂津工場
参加者:81名

塩野義製薬㈱摂津工場長 古家喜弘様より会社概要と工場について説明いただいた。その後、経口固形製剤棟(208棟)を見学した。摂津工場は昭和43年に建設された歴史ある工場であり、緑豊かな工場である。208棟は平成20年に竣工した新鋭の工場で、塩野義製薬の主力製品の生産をしている。中間自動倉庫を建物の中央に配し、人とものの動線の分離を徹底的に行い、製造装置は見学者通路からよく見える配置としている。また、治験薬製造ラインを併設し、R&Dとの融合を図るとしている。また、見学会での15分程度の質疑応答で、6人からの質問が出された。
<講演会>
●講演1●「凍結乾燥プロセスの理論的解析による品質向上と工程時間の短縮」
塩野義製薬㈱ 製剤研究センター 川崎英典氏
医薬品製造において凍結乾燥技術は確立された製造法といわれているが、凍結乾燥プロセスの制御手法も十分ではない。大容量の乾燥では乾燥テーブルの部分部分でのばらつきが起こるのが普通であり、その方法は統計的なものに頼っていた。そこで、凍結現象に着目し、伝熱係数の推定に始まり、スケールアップ実験を行い、最適な乾燥プロセスを設定した。さらに、新規氷核形成技術(大きく、揃った氷晶をドライアイス煙で作成)を使い、時間の短縮、品質の均質化を図ったと解説された。

●講演2●「滑沢度に対する加振移送特性評価をはじめとする新たな工程分析技術」
大日本住友製薬㈱ 製剤研究所 村上貴之氏
従来の打錠用顆粒の流動性評価は、安息角、圧縮度、オリフィスからの流出速度、せん断セル法などがあるが十分ではない。特に少量の滑択剤を添加した顆粒の流動性の差を捉えるのは難しい。ここで、加振移送式流動性測定装置(標準処方フォーラムで紹介)で行った内容を紹介し、有用であることが示された。
●講演3●「長剤薬局の現状と未来 ~臨床薬剤師の現場から~」
豊中市薬剤師会副会長 ㈱グリーンメディック代表取締役 多田耕三氏
調剤薬局も地域の多数の医療機関からの処方箋を持ち込まれる。その結果調剤薬局が統計分析の場になりつつある。今回は糖尿病に関する患者と薬局のアンケートを元に地域医療と在宅医療について説明したい。特に、三方良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)の精神で、医療機関と薬局と製薬会社が、患者様を通してよい関係になることが望まれると解説した。

●講演4●「ー軸圧縮成形に対する―考察―原料粒子径と圧縮速度が充填率と成形体強度に及ぼす影響」
岡山大学工学部物質応用化学科 教授 後藤邦彰氏
医薬品の錠剤製造には、一軸圧縮成形法が使われている。この現象を粒子特性を元に解析した例は見当たらない。今回粒子径を変え、圧縮速度と成形体強度の関係を実験的に検討した。その結果、成形体強度の減少傾向は凝集体粒子径により規格化した相対圧縮速度で統一的に評価することができた。このように、基礎的な面と実際の操作とを関連付けることにより、より確実な、製剤操作・製剤装置の設計が可能となると解説された。

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