漆蒔絵

この季節になると日本人形店の店先に五月人形が飾られ、
目を楽しませてくれますね。
その人形の背後には大抵、漆蒔絵の金屏風が置かれています。

漆蒔絵とは、木地の表面にウルシを何度も塗り、
さらに文様を描いて、それが乾かないうちに
金属粉や貝粉などを撒いて文様に光沢、
色などを付けていく日本の伝統工芸の一つです。
金・銀・銅・白金・錫やそれらの合金、雲母、
青貝などの貝類の粉が使われます。
金の場合、高純度のものは軟らかく粉砕は難しいのですが、
少量生産なので地金をヤスリで磨りおろしや、
金箔を細かく切る方法で微粒化しています。
その他の材料では乳鉢などでの粉砕する方法も採られます。
目標とする粒子径は概ね数ミリメートル~50マイクロメートル程度、
ふるい分けで分級され、粒子径ごとに号数つけられていますが、
中には1マイクロメートル以下のものもあります。
金粉では粒子径だけでなく、粒子形状も制御して製造、
分別され、文様の光沢や輝きなどに変化を与えるため
使い分けられていることです。
代表的な形状として、球形に近い丸粉と呼ばれる基本的なもの、
キラキラ感が強いやや膨らんだ小判型のもの、
ツヤの少ない扁平状のものなどがあります。

この粉体の特性を利用した蒔絵、漆蒔絵は、
美術館だけでなく日本人形店や漆器店でも目にすることができます。
(2014年4月メルマガより)

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